タルトは甘いスイーツだと決めつけている人が多いだろう。ところが、『What a Tart!』のタルトにはイチゴやクリームは見あたらない。昨年11月に表参道にオープンしたこちらのお店ではフルーツではなく肉や魚介、野菜がごろごろと入った食事系のタルト「セイボリータルト」を提供する、日本初の専門店なのだ。手軽なうえにヘルシー、それになによりおしゃれだと若い女性を中心に人気となっている。
新感覚のタルトだが、実は欧米では日常的に食べられているのだ。
初めての出逢いはNY
筆者がニューヨーク旅行中、マンハッタンの南側を散歩していると住宅地の真ん中に温かい電飾が印象的なカフェを見つけた。その名も「Once Upon a Tart」。アンティークな扉をあけると、見たことのないタルトが。おすすめを注文すると、半熟たまごがこぼれ落ちそうなアメリカンサイズのタルトが登場。セイボリータルトと初めての出逢いだった。ホウレンソウとタマネギが詰まっていて、サラダも付き、1個でもう満腹。店前のベンチでダンディーなおじさんが新聞を手にタルトを頬張っている。店内には、地元のおばあさんやおしゃべりに夢中のママ友たちも。みんな気取らないスタイルでタルトを楽しんでいるのが印象的だった。
「What a Tart!」では、NYのセイボリータルトより小振りでおしゃれ。食材には保存料や加工品を使わず、生地には一切バターを使用していないとのこと。豆腐やスーパーフードなんかも入っていて、ヘルシー志向。日本で開店するにあたって、「食材にこだわる女性に、おしゃれにおいしく楽しんでもらいたい」と工夫したから、NYで出逢った家庭的なタルトとは違うセイボリータルトとして誕生したのである。
まぁ、なんてタルトなの!という店名どおりの豊富なラインナップ
一番人気は「ローステッドアップル&ブルーチーズ」のタルト。ブルーチーズピカンテと豆腐をあえたベースに、バルサミコ酢で煮詰めたエシャロットがアクセントになっている。
さっぱりした食感で、季節によって林檎の酸味や甘みが変化するのも楽しそうだ。「シラーや、重めの赤ワインに合わせていただきたい」と、ワイン好きの店長・河村周子さんのおすすめは、赤ワインとのマリアージュ。いつものチーズをかわいいタルトに変えるだけで、家飲みワインも楽しさがアップすること間違いなし。昼過ぎには完売してしまうから、お早めに!
朝9時のオープンとともに、毎日買いに来る常連さんもいるのが「パエリヤ」。タルトの上は、ムール貝やあさり、えびの魚介でぎっしりと埋め尽くされている。
ベースは、あさりの茹で汁で炊いたスーパーフード「キヌア」が。食物繊維や鉄分たっぷりなのがうれしいキヌアだが、プチプチとした食感も楽しんでもらいたい。小さいけれどメインディッシュにもなる一品。ランチやディナーをちょっと華やかに演出もできるし、パーティーの差し入れにすれば喜ばれること間違いなし。
日本ではあまり見かけないが、欧米では人気がある「クラブケーキ」は、本場アメリカのレシピに木綿豆腐を加えている。ぷりっと詰まったズワイガニの旨みにはパクチーの香りが合うのだ。
味に深みが出るのは、レッドペッパー、クローブ等10種類以上のスパイスでできた「オールドベイシーズニング」を使っているからだとか。クリスピーに仕上げられた生地にもセロリが隠れていて、フィリングの上にはフレッシュパセリが。たっぷりの香草が爽やかな、まさにパクチスト必食!のタルトだ。熱々のクラムチャウダーと合わせて、女子会のお供にいかが?
食材にこだわった個性的なタルトは常時12種類。全てが手作りだからだろうか、どこか母が作った家庭料理のような優しさも感じる。
その日の気分やシーンに合わせて選べるから、時間がないときの手軽なランチにも使えるし、ちょっとしたホームパーティーの食卓を彩ることもできる。
もうすぐ春。3月より登場する旬のたけのこやアスパラガスなど春野菜を使ったタルトを持って、さぁ、お花見にでかけよう。
(取材・文/植木祐梨子)
<メニュー>
ローステッドアップルとブルーチーズのタルト 550円
パエリヤ 550円
クラブケーキ 550円
ランチセット (タルト2種、サラダ、ドリンク) 1,450円
※価格全て税込
※タルトのテイクアウト可
What a Tart!
- 電話番号
- 03-6427-7031
- 営業時間
- 9:00〜18:00、18:30〜バー営業。タルトのイートイン、テイクアウトOK
- 定休日
- 定休日 土・日・祝
- 公式サイト
- http://whatatart.jp
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。