【ぐるなび私の「感動！グルメ」】来栖けい

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フードライター

僕が美味しいものに目覚めたのは、５歳のとき。親に連れられていったフランス料理店のデザートに出たドーム型をしたあめ細工のお菓子にうわーって感動したのがきっかけです。以来、美味しいものを食べることにはまってしまい、これまでに6000軒以上の店を食べ歩いてきました。基本的に1店1度（何度も行ってたら凄いことになるし、第一無理です）、あっ美味しかったな、と思ったらまた行きます。でも、だいたい2回目は最初の感動はありません。だから、僕が３度行った店というのは、そうとう美味しいところです。ここで紹介するのは、3回どころかもう何度も以上行っているお気に入りの店。そこには、５歳のころと同じように僕をおいしさとたのしさでわくわくさせてくれる感動がいっぱいです。

自宅でくつろぐように有名シェフの家庭料理を

レ・ストゥディ
（スペイン料理/東京・内幸町）

▲タパス４種類

▲豚とろ肉のモルーノ

「小笠原伯爵邸」や「ピンチョス・ベポ」で新しいスペイン料理を展開してきたホセ　シェフのプライベート・レストラン。「レ・ストゥディ」とはスペイン語で書斎という意味らしく、この店は1部屋しかありません。そして、お客さんは1日1組、10人で20万円というのが基本。ここでは、ホセさんの家に招待されたようなとてもくつろげる雰囲気のなかで、彼が子供のころに食べたスペインの家庭料理の味を、おまかせのコースで食べさせてくれます。ワインも充実しているから、これで1人2万円は、安いんじゃないかと僕は思います。イベリコ豚のコロッケとか、焼いた下仁田ネギの天ぷらとか、かなり美味しいです。いろいろ新しいアジを手がけてきたホセさんだからこそ、味の原点にたどり着いたって感じで素直に美味しい。パーティとかアットホームな感じで楽しめて、おすすめですね。

楽しい驚きがいっぱいの2組限定レストラン

アロニア・ド・タカザワ
（オートクチュール/東京・赤坂）

▲締めにラーメン

一日2組限定のレストランです。フレンチやスパニッシュを中心に世界のありとあらゆる要素が入っていて、その独創的な感性には舌を巻いてしまいます。雑誌などでは“オートクチュール（特別な・記念日）レストラン”と呼ばれて紹介されていますが、僕はここの料理はほかならぬ「タカザワ料理」と思う。それくらいシェフの感性がすごいんです。一品一品食べる人を驚かせる演出マジックがあるんです。僕がはじめてこの店に行ったとき、メニューリストの中ほどに「偽デザート」、そして終わりのほうに「また？」って書かれていて「何だろう？」ってビックリしました。そしたら、プリン、ブランマンジェ、シュークリームに見立てたレッキとした料理が運ばれてきたんです。つまりこれが「偽デザート」なんですね。そして一番最後のデザートで、今度は本物のプリン、ブランマンジェ、シュークリームが登場。なるほど、だから「また？」って書いてあったんだ、と笑っちゃいました。シェフ自身が「美味しいのは当たり前。もっとお客さんに楽しんでもらいたい」という気持ちでいるから、料理の内容から、盛り付け、ネーミングにいたるまで遊び心のあるコース料理は、おいしいね、楽しいねと、訪れた人に感動をくれますね。インテリアも素敵だし、特別な日にお邪魔したい店です。

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プロフィール

フードライター
来栖　けい
1979年9月26日埼玉県生まれ。
幼い頃からおいしいものに敏感で、神奈川に移り住んだ15歳の時より、本格的な食べ歩きを始める。レストラン、洋菓子、和菓子、パンetc・・・・、
全てのジャンルを深く追求しているため、どのお店でも気になるもの全てを食べ尽くす。人並み外れた「舌」「胃袋」「食への愛情」で食べることに全神経を注いでいる。

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