【連載】観光的、ではない京都人の日常メシ1泊5食巡り

京都市内中心部に住み日本中のグルメを知り尽くし、メディアに引っ張りだこの賢人・門上武司さん。あらゆるガイド本で扱われるこの街にもまだまだ穴場、しかも日常価格で楽しめる店がある。京都に1泊したらそんな店をフルコースでめぐりたい。1泊の京都で5回も味わえる、「知らない京都人の日常メシ」とは?

Summary
・日本中のグルメを知り尽くした賢人のセレクト
・観光客が知らない京都
・いざという時のお役立ち

京都に着いたら四条烏丸の正統派洋食店へ。

京都は観光客が多い土地。四季それぞれに風情があり、これからだと11月の紅葉の時季に観光客が増えるというのがここ数年前までの話。ところが近年、時季を選ばず京都観光に訪れる人達が増えている。特に海外からの観光客の増加には眼を見張るものがある。
それゆえ、著名な飲食店は常に満席状態。私をはじめ、京都に暮らす人たちにとってやや肩身の狭い状態となっている。行きつけの店を増やしておかないと、いつもの空間を確保できないことだって十分に考えられるわけだ。

そんな悩みは京都に住む多くの人が持っていると思われるが、ある日、映像作家で食いしん坊の仲間が密かに教えてくれた店がある。室町通松原上ルの洋食屋「グリル葵」だ。「あそこの海老フライは食べてください」とのサジェスチョンを受け、海老フライを注文した。
マダムは「うちの海老は頭から食べてもらえるように、新鮮で質のいいのを仕入れています」と誇らしげに語る。「有頭海老フライ、クリームコロッケ、ビーフ焼肉風」がセットになったランチを頼んだ。確かに、そのマダムの言葉通り、海老は頭から口に入れると、味噌の味わい、香ばしさと甘みが一気に広がった。「特選和牛ビフカツと貝柱フライのセット」のスペシャルランチもあり、こちらも捨てがたい。昼に京都に着いたら、まずは足を運んでいただきたいランチである。

<メニュー>
日替わりランチ 1,000円
スペシャルランチ 1,250円

グリル葵

住所
〒600-8424 京都府京都市下京区室町通松原上ル高辻町607-2 関ビル1F
電話番号
075-353-6868
営業時間
11:30~L.O13:30.、17:30~L.O.21:00
定休日:定休日 第2・4日曜・祝日
公式サイト
公式ページhttp://www.grill-aoi.com

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

夜は、石垣島・「辺銀食堂」出身のご主人が営む居酒屋へ。

夜は御幸町姉小路下ルの「ブランカ」という居酒屋をお薦めしたい。ここは以前、胡麻豆腐を販売、さらにその前は街の豆腐屋さんであったという。マスターは東京や石垣島で仕事をした経歴の持ち主で、石垣島では「辺銀食堂」で働いていたという。「辺銀食堂」のオーナー夫妻とは仲良くしている僕としては最初から親しい感覚を覚えてしまった。
料理はアジアンテイストと懐かしい居酒屋メニューが上手く調和を保っている。「とりわさとセセリのナムル」や「タイ式温春雨サラダ」、さらには「キモヤキ」などが魅力的だ。キモヤキは白肝とシナモンの香りが見事にマッチ、歯を入れたあとにトロリとにじんでくるコクと旨みにはすっかりやられてしまった。ご主人、東京時代の仕事先が青山の「cay」だったと聞いて、またまた話は盛り上がり、まるで見えない糸に導かれているような気がする。こういう意図しない出逢いっていうのも店を訪れる楽しみの一つだと思う。

<メニュー>
キモヤキ480円など

ブランカ

住所
京都府京都市中京区御幸町三条上ル丸屋町334
電話番号
075-255-6667
営業時間
18:00~23:00
定休日:定休日 日曜
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/berangkat2014

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中心部から少し北上し、鴨川にほど近い喫茶でモーニングを。

気持ちのよい目覚め。少し遅めの朝食をとるために向かいたいのは中心部から少し離れた喫茶店へ。河原町丸太町東、鴨川に近い場所にある「喫茶いのん」に向かう。「ここの朝食は値打ちありです」という噂に違わず、京都の定番には飽きたという人にはお薦めしたい店だ。メニューはトーストセット、チーズトースト、ピザトースト、たまごトーストなど多彩。この日は、たまごトーストセットにした。
窓の外には緑が広がり、店内も余裕のある空間造りで開放感がある。たまごトーストは玉子のコクを受け止めるべく、トーストされたパンは非常にしっかりとしている。さらにコーヒーの深い味わいは見事な技の賜物だと感じた。朝食に美味なるコーヒーが登場すると胃袋は喜び、やる気が起こってくる。

喫茶いのん

住所
京都府京都市上京区丸太町通東三本木東入ル俵屋町463
電話番号
075-255-3315
営業時間
9:30~L.O.17:50
定休日:定休日 不定休
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/%E5%96%AB%E8%8C%B6%E3%81%84%E3%81%AE%E3%82%93-621138151340987/timeline/

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ランチタイムは卵好きな関西人らしい天ぷらを

鴨川の河川敷を午後のプランを考えながら南に歩いてゆく散歩もいい時間だ。四条通りに差し掛かるあたりで上の通りに上がり西に向かって歩く。昼に訪れてみたい穴場は室町高辻の天ぷら屋「有馬」である。私が最初にこの店を訪れたときのこと、一般的な天ぷら定食を食べようと思っていたのだが、限定10食の「こだわり卵の天ぷら定食」というのが目に入り、迷わずこれにしたことを憶えている。
卵の天ぷらなのだが、これがまさに温泉卵状態に揚がっていた。そこに小エビのかき揚げもつく。最初は、卵の天ぷらを食べ、白いご飯を口に含む。卵のコクが口中に残っている中にご飯の甘みがプラスされる。卵好きの関西らしく?実は生卵までついているので、卵かけご飯も楽しめる。つまり、天ぷらをおかずとして卵かけご飯を食べるというわけだ。脂分が加わることで、卵かけごはんもいつもと違う味わいになるのが楽しい。
カウンターの向こうでベテランのご主人が脇目もふらず天ぷらを揚げる姿は非常に美しく映る。次に行くなら、10食限定の天重もお薦めしたい。

旬菜天ぷら 有馬

住所
〒600-8424 京都府京都市下京区室町通高辻上ル山王町572
電話番号
050-3464-0634
営業時間
ランチ:11:30~14:00(L.O.13:45)、ディナー:17:30~22:30(L.O.22:00)
定休日:毎週木曜日 第1水曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/epdnx4g90000/

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京都の旅のシメは、ラーメンで

ランチを食べ終え、午後はゆっくり河原町界隈を歩く。3年ばかり建て替えに時間を要していたファッションビル「BAL」が夏にオープンし地階の二層が丸善&ジュンク堂書店である。ここでしばらく本を探したり、各階に点在するショップを散策するといい。地元に帰る前、少し早めに軽く食べるなら、やはりラーメンか。いま、京都でもっとも注目を集めるラーメン店、3月にオープンしたばかの「とうひち」とした。ここは中心から少し離れた北山通りより北、玄琢という場所だが、わざわざ訪れたい。
ここは鶏白湯がお薦めなのだが、昼夜限定15食ずつで売り切れとなる。シンプルな塩らぁめんもお薦めだ。澄んだスープからは想像できない濃厚な味わいは、大げさではなく背筋が伸びるほどの驚き。このスープは鶏と生揚げ醤油を使うとのこと。まろやかでありながら、ガツンとインパクトもある。自家製麺の麺との相性も素晴らしい。これはリピート必至。運が良ければ、鶏白湯もぜひ。

今回紹介したのは、まだ観光客がどっと押し寄せる店ではない。普段着の京都を訪れるための5軒はいかがだろうか?

※門上武司さんのスペシャルな記事『恥をかきたくない人のためのオトナの京都の遊び方【うつわ編】~何度通っても常連になれない貴方のために~』はこちら

らぁ麺とうひち

住所
〒603-8475 京都府京都市北区大宮北箱ノ井町33-6 セルリアンハイツ1F
電話番号
075-432-8818
営業時間
11:00~14:30、18:00~21:00
定休日:定休日 火・第3水曜
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/sr4b96pd0000/
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/%E3%82%89%E3%81%81%E9%BA%BA%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%B2%E3%81%A1%E8%97%A4%E4%B8%83-1389347368050422/timeline/

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