天神から30分。有名芸能人を多数輩出した街、久留米がアツい!
【連載】「私を"はしご酒"に連れてって(福岡で)」第五夜 福岡の酒飲みは1軒では帰らない。ほぼ必ず2軒目に行くし、2軒目を出たら次の店…。職住近接ゆえ終電や終バスを逃しても笑顔で楽しく飲んでいる。“はしご酒”文化が根付くこの街の遊び方を毎回伝授いただく。
- レストラン
- バー
- 久留米
- 焼鳥
- 福岡
- 餃子
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- Summary
- 1.街が変化する前に訪れたい久留米
2.すべて徒歩10分圏内!ハシゴ4〜5軒可能
3.23時前まで飲んでいても余裕で福岡に戻れる
久留米と福岡の2拠点生活
今回の案内人は、福岡県久留米市出身で、現在は久留米と福岡の2拠点生活を送る松本秀高さん。高校卒業後、久留米で洋服の販売職に就いた後、1年間ヨーロッパを放浪。帰国後、東京のアパレルメーカーに就職し、企画・生産を学んだ。今から約10年前に福岡に戻り起業。現在は、アパレルの企画やデザインを行う傍ら、時間を見つけては友人たちと漁に出て、漁獲物を知り合いの飲食店に届け、一部の飲食店店主からは“漁師”とも呼ばれている。
「薬院に事務所を構えて以来、お客様や友人との外食が増え、はしご酒が増えました。地元・久留米は以前より静かな街になってしまいましたが、焼鳥やラーメン、うどん、そして餃子など、久留米グルメと呼ばれるジャンルの店はまだまだ元気。今回は敢えて地元・久留米のはしご酒をご案内します!」
タレに特長のある餃子専門店「娘娘」へ
1月某日。16時に西鉄久留米駅で待ち合わせ、駅から歩くこと約10分。最初の目的地である「娘娘(にゃんにゃん)」に到着した。
「久留米は餃子店がたくさんあるけど、古くからあるのは、ここと『五十番』と次に行く『又兵衛』の3軒が有名です。以前、実家の寿司屋がこのすぐ近くにあったので、物心ついた頃からこの店の餃子を食べていました」と、松本さん。
先代の時代から数えると、まもなく創業70年を迎えるという老舗で、現在は2代目のご夫妻と息子さんの3人で営む。メニューは、「焼餃子」「水餃子」とアテ3品ほどと至ってシンプル。まずは、「焼餃子」と「水餃子」を注文した。
この日は、共通の友人でもあるdressingライターの生野朋子さん(写真中央)も参加。
餃子は焼餃子、水餃子ともに1人前20個700円(写真は各2人前)。
この店の餃子のいちばんの特長は“タレ”。
一般的な醤油ベースのタレに、なんと刻んだ生ニラとゴマをたっぷり入れる。餃子のひだの部分に生ニラとゴマをたっぷり乗せていただくのが“娘娘”流だ。
「このタレが何ともいえないですよね。私はしっとりした食感の水餃子が好き。あっさりしているので、どれだけでも食べられてしまいます」。
「昔は刻みネギだったけれど、ネギが高騰した時期があってね。たっぷりのせて食べて欲しいと思って、その頃にニラに切り替えました。その前から『ニラ刻んで〜』って言う常連さんもいたし、今ではこれを楽しみに来られるお客様が多いですね」と、お母さんが教えてくれた。
娘娘 (ニャンニャン)
- 電話番号
- 0942-32-9359
- 営業時間
-
14:00〜23:00
定休日:定休日 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
次々と友人が合流! これぞはしご酒の醍醐味です
「そろそろ西鉄久留米駅に着きま〜す」と、メールが入ったのは、2軒目に訪れた「又兵衛(またべえ)に到着して少し経った頃。
電話の主は、第二夜に登場した「Yorgo(ヨルゴ)」の川瀬シェフ(写真右)だった。松本さんも「Yorgo」のファンで、自分が釣った魚を届けたり、休みにご飯を食べに行ったりする仲という。
「中学の先輩のお店ということもあるし、ここも物心ついた頃から通っています。この店は、餃子だけでなく、焼鳥もいただけるのも嬉しいところ。餃子、焼鳥は必ず注文します」と。
(右)大きな丸い鉄板で焼かれた「焼餃子」(9個430円)が登場。表面はパリッ、中はとろ〜りとした食感。
(左)久留米といえばの「ダルム(小腸)」は1串120円。アルファルファが添えられているのも珍しい。
昭和39(1964)年、東京オリンピックの年にオープンして以来、その歴史を重ねてきたが、まもなく区画整理のため、一番街アーケードへの移転が決まっているという。
「この渋〜い感じが好きだったので寂しいですね」と、松本さんもしんみり。
そろそろ、次の店へ……と店を出た頃、仕事を終えたばかりの「とどろき酒店」の轟木渡さんが合流。ナチュールワインが好きな松本さんは、轟木さんとも親交があり、餃子好きの轟木さんと久留米の餃子を巡るのは、今回が初めてではないそうだ。
お食事処 餃子とやきとりの又兵衛
- 電話番号
- 0942-34-2405
- 営業時間
-
18:00~翌1:00
定休日:定休日 火曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
昭和の風情を感じる懐かしい空間でナチュラルワインと餃子を楽しむ
商店街を歩き、次の店へ向かう。
3軒目に訪れたのは、西鉄久留米駅のそば、六ツ門町あけぼの商店街の路地に佇む「てん屋」。いつ訪れても常連客でいっぱいの人気店だ。
▲モチッとした食感の水餃子(8個420円)
これまでの2軒とは異なり、比較的新しいお店で、夫婦ふたりで営むアットホームなお店。
▲「蒸しタン」(1,050円)など、リーズナブルな価格も嬉しい。
「餃子も美味しいけれど、ここに来ると、餃子に加え『蒸しタン』を注文します。柔らかくてとても美味しいんです」。
ほかにも、朝引きの手羽先やズリ刺し、チンゲンサイ炒めなど、一品料理が充実。最近は、ナチュラルのワインにも力を注いでいるそうで、ナチュラルワイン好きの5人は、ボトル2本を軽く飲み干してしまった。
ひとくち餃子 てん屋
- 電話番号
- 0942-32-8099
- 営業時間
-
17:00~24:00 (L.O.23:30)
定休日:定休日 木曜
- 公式サイト
- 公式ページhttp://10ya.net/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■終電前に立ち寄りたい、久留米の歴史を語る老舗バー
実はこの後、1軒の時点で間に合わなかった「Yorgo」の川瀬さんと「轟木酒店」の轟木さんとともに、再び「娘娘」に戻った。
そして、この日最後の店となるバーへ向かう。
その店とは、久留米でも老舗中の老舗、「ニッカバー熊(くま)」。
昭和32(1957)年に創業し、まもなく60周年を迎えるこの店は、トリスバー全盛の頃から営業しているとあって、レアなオールドボトルも展示されている。
年齢を聞くと誰もが驚く名物女将、竹下とし子さんは、久留米の街を長きに渡って見てきた方。
「昔の久留米の話を聞くのが好きで、寄らせてもらっています。子どもの頃から気になっていた看板のお店で、おとなになったいま、ようやく行けるようになりましたね」。
この日は、フレッシュなグレープフルーツを使ってつくるソルティドッグからシングルモルトへ。
「そろそろ終電が…」との声に我に返り、慌てて駅へと向かった。
ニッカバー熊
- 電話番号
- 0942-32-8935
- 営業時間
-
19:00~24:00
定休日:不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
無事、西鉄久留米駅から福岡(天神)へ向かう23時23分の急行に乗り、この日のはしご酒は終了。
今回訪れた店は全て徒歩10分圏内にあり、6時間あれば4〜5軒は巡ることができる。
「久留米は一軒一軒に味があり、やっぱり落ち着きます。天神から特急で30分。福岡から久留米はけっこう近いので、ぜひはしご酒をしに久留米に来て欲しいですね」と、松本さんは笑顔で語ってくれた。
撮影=中西ゆき乃
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