東京名店食べ歩き、伊、寿司、中華、中華からの居酒屋で〆る

【連載】マッキー牧元の「ある一週間」 第19週  日本を代表する食道楽の一人、マッキー牧元さん。彼はどんなものを食べて一週間を過ごしているのか。「教えていいよ」という部分だけを少しのぞき見させていただく。

Summary
1.予約の取れない寿司と名シェフのイタリアン
2.中華の名店二選
3.最後は南千住の大人気居酒屋へ

12月16日一軒目「山田宏巳シェフ渾身の鰻料理」

カリリッ。香ばしい皮に歯を立てる。
むりむりむりっ。歯は、凛々しい肉体に吸い込まれる。
豊かな脂の甘さが、舌の上に流れ込む。
今まで食べた、どの鰻料理にもない感覚だった。

半身に開いた鰻には、品の中に豊穣を求める味である。
しかし丸のままの鰻には、丸のまま魚にかぶりつく、命を食らう瞬間があって、気分を上気させる。
「食らってるぜ」と叫びたくなる、コーフンがある。
ガルムと蜂蜜と白ビネガーを混ぜた、甘酸っぱいタレや、実山椒のアクセントも心憎い。
いやそれよりも、天然鰻の骨をだましだまし丁寧に、長時間かけて抜き取って生まれたコーフンに感謝したい。

イタリア料理 リストランテ・ヒロソフィー 銀座

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4F
電話番号
03-5537-5855
営業時間
火18:00~L.O.21:00、 水~土12:00~L.O.14:00、ディナー18:00~L.O.21:00、 日12:00~L.O.15:00
定休日:定休日 月曜
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/g60vpajr0000/
公式サイト
公式ページhttp://www.hirosofi.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

12月16日二軒目「非売品の肉まん」

その肉まんはさりげない。
形もどうだっという大きさではなく、普通である。
だが口をあんぐりと開けて噛んだ瞬間に、皮の香ばしさに気づいてニンマリする。
といって、その後に、肉のアンがうまさを主張してくるわけではない。
アンのうまさの品が、皮との一体感を生み出していて、あれ?もう食べてしまったんだと思うほど、するりと食べ終えてしまう。
つまり素直な美味しさである。

皮の厚さを均一にし、皮の香りを邪魔しない旨みのあるアンを作り、皮とアンの量の均整をとりながら空洞は作らない、素直な味である。
でも今の時代、この素直さをきちんと出せる人はいない。
だから食べ終えて、もう一個食べたくなってくるのだ。
浅草「龍圓」の肉まん
どうやら非売品らしいが。

龍圓

住所
東京都台東区西浅草3-1-9
電話番号
050-5486-7883
営業時間
火~日・祝前日・祝日
ランチ 12:00~13:30
※ラスト入店が13:30です。

火~日・祝前日
ディナー 18:00~20:30
※ラスト入店が20:30です。
定休日:月曜日
第1火曜日
※月曜日が祝日の場合は営業
ぐるなび
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12月18日「仕事ということ」

それを舌に乗せると、てれんと舌に横たわり同化するように消えていく。
脂が豊かなのにきれいで、醤油のうま味と丸くなじんで、心を濡らす。
鮪カマの脂のヅケである。

さらには鴨川のカワハギを固めたカワハギの肝で挟んで〆、その肝を裏ごしてまぶす。
そこにはふつうの肝和えとは違う、陶然たるなにかがあって、体の力が抜いてしまう。

さらには、鱈から取り出した白子を直ちに漉して、練り、昆布だしとウニの汁に横たえる。
一口食べると、白子は純粋を極め、旨みの余韻だけを残して体に溶け込んでいく。
その刹那、ふと親の味が、鱈のみずみずしさや優しさが、舌をかすめる。

炙った鯖は、どこまでも凛々しく、皮ぎしの脂が口に流れ込むが、これまたさらりと消えてしまう。
きれいな脂というものは、切ないのだな。

こんなにも鮟肝とは、甘かったのか! と叫ばせるほど、余市の鮟肝は甘いのだが、その甘みは自然で、微塵もこれ見よがしではない。
甘さからすべての不純物を取り去った澄んだ甘みに、心が痛い。
淡路の黒い海草を食べて育ったために、本来は赤ウニながら「黒ウニ」と呼ばれる希少なウニは、赤ウニより濃密で、熟した危険な色香がある。
もうやめて。と言いながら堕落していく自分が、なんとも愛おしい。

鮨 三谷 (スシ ミタニ)

住所
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-22-1
電話番号
03-5366-0132
営業時間
17:00~20:30、土・日 17:00~18:30
定休日:定休日 月・第3火曜
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/4tutuc1r0000/
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/pages/%E9%AE%A8-%E4%B8%89%E8%B0%B7/148921768474469

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12月19日「腐乳とからし菜」

したたかな腐乳が、からし菜に問いかける。
練れた旨みといやらしい香りをからめながら、もっと一緒に高みの登りたいと、問いかける。
シャキッと凛々しい音を立て、からし菜は答える。

みずみずしい青々しさとかすかな辛味を忍ばせながら、腐乳を受け止めて、自らの強さを鼓舞する。
これはもう酒ではない、ご飯を呼べ。
この二人の抱擁を、白き熱々ご飯で受け止めろ。
銀座「赤坂璃宮」腐乳炒芥菜。

赤坂璃宮

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル5F
電話番号
050-3491-0761
営業時間
月~土 ランチ:11:30~15:00(L.O.15:00) 日・祝日 11:30~16:00(L.O.16:00) 月~土 ディナー:17:30~22:00(L.O.22:00) 日・祝日 16:00~20:30(L.O.20:30)
定休日:年中無休 ※(年末年始を除く)
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/g043401/

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12月20日「良き客と良き店主」

「二度手間ですいません。レモンもください」。とツレが気を利かしたら
「お客さんなんだから、わがままどんどん言ってくださいねぇ」と、やっちゃんが渋い声で答える。
「最近お客さん物忘れのひどい人が多くて、さっきなんか『ほらあの場所どこだっけ、ほら品川の先、先よ。ああ八百屋!』っていうから
「え?」って聞き返したら
『だから八百屋よ』。って、堂々という。
『それって青物横丁?』って聞いたら
『そうそれ!』ってんだからわらっちゃうよ」。

いい肴があって、いい酒があってというのが、良き酒亭の条件だけど、それより大事なのは、良き客と良き店主。
愛され愛して夜は更け、酔いに酔われて癒される。
ちくわ磯辺揚げ、ハムカツ、ソイとスズキ、カンパチ刺身、マカロニとポテサラ相盛り、ほうれん草胡麻和え、ナマコ、あん肝、オムレツ。「丸千葉」のオールスター

分厚いちくわが歯に食い込む。
青海苔と油の香りが鼻に抜けて、胃袋を鷲づかむ。
ちくわのちくわたるほの甘みが追いかけて口を満たす。

笑う笑う。
すぐまさビール。くいっといけばまたちくわに箸が伸びる。
口を大きく開けて頬張る感がたまらない。
エメラルドのごとく青海苔が輝き、ちくわ磯辺揚げにありがちな、貧相感が微塵もない。
「丸千葉」のちくわ磯辺揚げは、下手な食べ物ながら、尊厳がある。

丸千葉 (マルチバ)

住所
〒111-0021 東京都台東区日本堤1-1-3
電話番号
03-3872-4216
営業時間
14:00~21:00
定休日:定休日 水曜・年末年始.
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/jt3ektzd0000/

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