叉焼に驚愕! 白金の超人気中華、ロウホウトイが密かに復活
【連載】小石原はるかの「いま、飲みにゆきます」 六軒目 トレンドに詳しく、「東京最高のレストラン」から「東京カレンダー」などに至るまで、引っ張 りだこの小石原さん。そんないろんな店を知り尽くした彼女が愛している店とは?ホントの、いい店うまいい店に飲みに行っていただく。
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- Summary
- 1.東京を代表する中国料理店の復活
2.今回はオーナー自らが厨房に
3.テーブル1卓だけの空間
愛しのミラグレーン様(©日邦薬品工業)に加え、ビフィーナS(©森下仁丹)、エビオス錠(©アサヒフードアンドヘルスケア)を常備し、体調に応じて日々摂取。自作の米麹甘酒はもちろん毎朝毎晩。……といった具合に、アルコール摂取時のダメージ対策に余念のない小石原です、こんばんは。
が、これだけやっても、ダメなものはダメ(©ウルフルズ)な日も、往々にして、ある。
だって、人間だもの(©相田みつを)。
そんなときに施すとっておきの荒療治が、カレーライス+濃い目のミルクティーのコンボ。そんなもの、食べられるのか?と訝る声多数であることは承知の上。しかし、な〜んでか、な〜んでか(©堺すすむ)、効くのです、これが(※個人の感想です)。
二日酔いからの復活の秘策は人それぞれでしょうが、私の場合、この組み合わせをキメるとほぼほぼ奇跡の復活!→辛かったことをケロッと忘れてまた飲む……のループに突入するわけで。ほとんどビールしか口に入っていかないわけで……(©黒板純@「北の国から」)。
キーワ−ドは「復活」。
1月上旬のある昼下がりに、北里大学・大村智特別栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞に湧く白金北里通り商店街をほてほてと歩いていた。この通りにかつて在り、人気を博したチャイニーズ『ロウホウトイ』は、既に建物ごとまったくの別物になってしまっていて、跡地の前を通るといつもちょっとさびしい気持ちになる。ただ、『ロウホウトイ』があった頃から、道路を挟んで斜め向かいにお弁当を扱う売店があり、2年前に本店が突如として閉まった後もそちらは続いていて、どうやら昼間だけこぢんまりと営業しているようだ、と気づいてはいた。が、なんとなく反対側の歩道を歩いてばかりで、立ち寄る機会なきまま早幾年(©仰げば尊し)。
ところが、その日はふと、お店がある側を歩いたのだ。なぜか。すると、表に「ワインと中国小皿料理」と書かれた小さな黒板がさりげなくて立てかけてある。夜の営業時間も書いてある。え? え!? えーーーーーーーーーー!
こういう時ばかりは、すぐやる課(©マツモトキヨシ)に変貌。その日の夜に急行してみれば……、ほんとにやってる!
『ロウホウトイ』、そして同じく今は無き『ロンフウフォン』のオーナー・森田賢一さんがそこにいた。うわー、うわー、お久しぶりです!!!
店内には、10人くらい座れる大きなテーブルが1卓。そして奥の厨房とテーブルの間にはレジの機能を果たすテーブルがあり、そこには『ロウホウトイ』の頃からお店にいた、ママさんの姿も。「パワースポットだからそこに座って!」
と、ママさんのすぐ向かいとなる、壁際の席を勧められ、迷わずそちらへ。
が、ここで脳内に大きな疑問符が浮かぶ。果たして、誰が料理を作っているのか? なぜなら、『ロウホウトイ』が前触れなく閉まった理由として「料理人たちが香港に帰ってしまったかららしい」という噂を聞いていたから。新たなスタッフを雇ったのか、いや、だとしたら営業スタイルがこぢんまりしすぎてはいないだろうか……?などと脳内ぐるぐるさせていたら、いつの間にか森田さんが厨房でせっせと料理してたー! \ガビーン/(©うすた京介先生)
懐かしいメニューの数々も
そこで、これまでの流れを伺うと、『ロウホウトイ』の料理長が病に倒れて帰国するなどいろいろなことが重なった結果、店を畳んだのが2年前。その後、閉店の後処理をしつつ、こちらの売店でお弁当の販売を続けることに。『ロンフウフォン』『ロウホウトイ』時代はサービスと経営に徹していた森田さんだけれど、実は飲食業界のスタート地点は「東京會舘」の洋食部門の厨房だったそうで、まったく心得がないわけではない。そして作ってこそはいないが、中国料理界では有数の都内の超有名店を筆頭に中華料理の世界で長年采配を振るってきた経験も、香港で数多の店を食べ込んだ経験もある。そこで、元『ロンフウフォン』のシェフで現在は赤坂『うずまき』で腕をふるう柳沼哲哉シェフにアドバイスを受けつつ、料理を作ることにしたのだ、と。メニューは「上海」「香港」と2つのカテゴリに分かれており「『ロンフウフォン』の上海料理と『ロウホウトイ』の香港料理、両方のメニューを思い出しつつ、ここでできるものをいろいろと作っています」と森田さん。懐かしのピータン豆腐も、まろやかな黒酢の酢豚も、パラリとした細麺の焼きそばも、健在也!
「自分の料理でお客様にお代をいただくのはこの店が初めてなんですよ」と、言いつつ運んできてくれたチャーシューに、まず驚愕。しっとりと焼き上がったそれは、かつて店にあった窯が使えず、ご近所さんから譲り受けたデロンギのオーブンでやってみたところ、予想を超えて素晴らしい仕上がりが実現した、という新たな名物。後日、一緒に店を訪れた某・料理写真の巨匠が「今まで森田さんが手がけたお店のなかで、ここの料理が最高峰! 洗練の極みですよ」と絶賛した一品だ。
ほかにも、鶏のレバーの紹興酒漬けは、お口の恋人かつワインの愛人といった感じでこれまたお見事!だし、パリパリの皮からとろりとエビマヨが飛び出す春巻は、「ありがとう春巻! スプリング・ロール!」と快哉を叫ばざるを得ない!
いやはや、なんと見事な復活劇か。夜の営業は昨年の秋からひっそりと始めていたそうだが、既に毎日のようにやってくる常連さんも数多く。紆余曲折を経て、力まず、けれど真摯に料理を作る森田さんと、その様子を見守りつつ(時々ハッパもかけつつ)パワフルなトークで場を和ませてくれるママさんと。お店、というより、なんだかおうちにおじゃましたような雰囲気も、ここの“味”だ。この間はお通しにかぼちゃの煮っころがし(これがまたエラく美味)が出たし。
というわけで、熱烈ファンになってしまってこの1ヶ月で既に4回くらい訪れている小石原からの勝手なお願いは……、
・見知らぬ同士で大きなテーブルを囲むスタイルなので、みんな仲良く。
・森田さんがひとりで料理とサービスを担当、そしてママさんは少々お体が不自由につきトーク担当、という分担なので、混んでいるときならばドリンクは自分で注ぐなど、参加意識を持って臨機応変に。
そして、現在ガチでちょくちょく出没しているお店につき、これを読んでくださった方がもしもお店を訪れると、小石原とはち合わせる可能性が。もし見かけた場合は、ぜひお声がけ頂けるとありがたき幸せ。ええい、もれなくミラグレーン1回分その場で贈呈!
<メニュー>
トマトとアボカドの山椒醤油580円
エビマヨの春巻(2本)580円
チャーシュー1,080円
鶏のレバーの紹興酒漬け(大)980円
ビール600円
グラスワイン400円~
ボトルワイン2,800円~
老饕檯売店(ロウホウトイ バイテン)
- 電話番号
- 03-5420-3288
- 営業時間
-
11:00~14:00(お弁当販売)、18:00~L.O.22:00
定休日:不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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