パリ、ブルジョワの住む街に出来た注目の異端なレストラン
【連載】知りたいパリ、変わるパリ。 いまや世界は狭くなり、パリで起きている情報はすぐに手に入れることができる、、、と思いがちだけど、やはりパリに暮らしその空気を吸った人だけが感じられる「今」がある。パリでレストランのコンサルタントをし、日常の暮らしがあるからこそ見えてくるもの。そんな本当の最先端のパリの食事情を伝えていただく。
- レストラン
- オーガニック
- バー
- パリ
- ビストロ
- ワイン
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- Summary
- 1.ブルジョワにヴァンナチュールを定着させた店
2.シンプルで酒飲みが好きな料理ばかり
3.予算は5,000円ほど
パリジャンは保守的だ。自分の生活域を出ない人が多い。
サン=ジェルマン=デ=プレ界隈に住んでいる人はサン=ジェルマン=デ=プレ界隈で、10区、11区に住んでいる人は10区、11区のエリアで、それぞれに買いものをし、友人と飲み、食事をする。エリア毎に特色が有り、それがパリの魅力でもある。
では、そこに異物がまぎれこむとどうなるか。
その答えは、「のみ込んでしまう」ようだ。
意外なことに、パリジャンは保守的でいながら、同時にリベラルなのだ。
保守的なパリのブルジョワがヴァンナチュールを楽しむ店
パリ6区、高級デパートのボン・マルシェにほど近い場所に、一昨年、小さなレストランができた。
美味しい食材を仕入れ、簡単な食事とワインを出すレストラン兼バー。
ワインは、ヴァンナチュール(ナチュラルワイン)。10区や11区のボボ(ボヘミアン・ブルジョワ)が住む界隈でよく提供されているものだ。
にもかかわらず、このようなヴァンナチュールをそろえたワインバーをブルジョワや政治家の住む界隈に出店してしまったのだ。
さてどうなったか。
セバスチャンは、かつて映画関係の仕事についていた。大道具さんの仕事だ。美味しい物好きが高じて、美味しい食材の集まるパリのお店Terroirs d'avenirでしばらく働いたのち、自分のお店を持つに至った。
お店の内装工事から椅子やテーブルやワイン棚の作製に至るまで全て自分の手で行い、店の名をSauvageと名付けた。
今やSauvageは地元の人でいつも賑わう、アットホームなワインバーとなって定着したのだ。
この事実は、同業者には多少驚きを持って迎えられた。ヴァンナチュールは、ブルジョワには好かれないと思うワイン関係者が多いからだ。
だが、彼の選ぶワインは、デフォ(欠陥)の少ない比較的綺麗な味わいのワインだ。このワインのセレクションが、ヴァンナチュールに先入観のないご近所さん(ブルジョワが多い)に受け入れられたのだ。
「デフォの多いワインは好きじゃないんだ。デフォを個性と言うのは、僕には耐えられない。あと、自称ブルジョワの、味を評価せずやたらと価格に口うるさい奴らもね」
セバスチャンは言う。
セバスチャンのセンスは、料理にも表れている。このお店では、切って和えただけ、さっと蒸しただけ、というシンプルな料理をワインと一緒に味わえる。ハーブ遣いがとてもいい。
まずは定番のシャルキュルトリーをひと皿頼み、ワインを飲みながら、料理が出来上がるのを待つともなしに待つ。そうしてアペリティフが始まると、お皿が終わる頃にセバスチャンがそのタイミングを見て動き出す。
様々な種類のハーブを美味しい魚に添え、良質でとても美味しいオリーヴオイルをそこにさーっとかける。甘く味付けしたセロリを添えたフォワグラには自家製の漬け込んだ赤い果実をぱらぱら。そうして、ひと皿、またひと皿とできあがる。
それがまた彼のセレクションしたワインによく合う。
全てがシンプルで、酒飲みにはたまらないお店なのだ。
左手を腰にあて、ワインをじっくり味わう姿が印象的なセバスチャンの、ソヴァージュ(=ワイルド)で気軽なお店は、意外と毎日混んでいます。お食事の際は、満席でお断りされない為に、ご予約をどうぞお忘れなく。
<価格>
料理30~40ユーロ
グラスワイン6ユーロ~
Sauvage (ソヴァージュ)
- 電話番号
- 06 88 88 48 23
- 営業時間
-
10:00~翌2:00(食事は13:00~15:00、19:30~23:00くらいの間)
定休日:定休日 日・月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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