次に注目したいパリの日本人シェフはプロや評論家から絶賛

【連載】知りたいパリ、変わるパリ。  いまや世界は狭くなり、パリで起きている情報はすぐに手に入れることができる、、、と思いがちだけど、やはりパリに暮らしその空気を吸った人だけが感じられる「今」がある。パリでレストランのコンサルタントをし、日常の暮らしがあるからこそ見えてくるもの。そんな本当の最先端のパリの食事情を伝えていただく。

Summary
1.パリで長くシェフを務める日本人の店
2.プロや料理評論家から高い支持
3.ランチメニューなら約5,000円~

このレストランの存在を知ったのはいつだっただろうか。
いつも美味しいお店を教えてくれる料理人さんからお聞きしたように思う。

レストランの評価は主観に大いに左右される。肯定的評価の数だけ、否定的評価も存在する。はずれの多いレストラン選びに辟易していたときに、プロアマ問わず誰もが口を揃えて絶賛していたのが、このレストランだった。

仕込みから仕上げまでほぼ一人で作る孤高の料理人

シェフを務めるのは守江慶智(もりえ よしのり)シェフ。パリ内外でのプロや料理評論家からの評価は非常に高い。
夜のコースは、前菜からデザートまで料理の皿数は7皿から8皿。これらの仕込みから仕上げまでを、ほとんど一人でこなす。

「これらをお一人で!?」
と驚く私に、
「ちゃちゃっと適当にやっているだけですよ」
と謙遜して応える、飄々とした守江シェフ。かわされてしまった。シェフの話しぶりは自然体で、仕事ぶりもこれ見よがしなところがなく、肩に力が入った料理が出てくることはない。実に美味しい料理を『ちゃちゃっと』作ってくれる。

質感や香りの異なる食材の組み合わせの妙。
五味を堪能させてくれるお皿の数々。
食材の仕入れ状況や、頻繁にお店にやってくるお客様の来店状況に応じて、一部を即興で作る事もあるという。それを楽しんでいるかのような、ライヴ感あふれる彼のクリエイションには、余裕すら感じる。

これはパリでのシェフとしての勤務年数が長いことによるのか。
それとも、料理評論家が料理専門誌で系譜を図説してくれているような「誰々派」といったパリの料理人の派閥への所属というものがない、自由さからくるのか。

彼の料理人としての素晴らしさは、独創性だけではない。
こってりとしたソースをまとったジビエ料理、つまり、クラシックなフランス料理にも現代的なタッチで、絶妙な塩梅で足し引きして見事に仕上げてくる。
食材の目利きも素晴らしい。フランスで手に入る最高の食材が、彼の手にかかって昇華された状態で味わうことができる。

季節毎に訪れたくなるお店は数多くあれど、季節が変わるのを待たずに何度でも訪れたくさせる、麻薬的なお料理を作り上げる手腕は、実に見事の一言。

パリにお越しの際は、守江シェフのもとに届く、ヨーロッパのあちこちからの多彩で偉大な食材で季節を感じるご体験をぜひどうぞ。

<価格>
ランチ39ユーロ~
ディナー89ユーロ

L'auberge du 15 (ローヴェルジュ・ドュ・キャーンズ)

住所
15, rue de la santé 75013 Paris
電話番号
01 47 07 07 45
営業時間
12:00~14:30、20:00~23:00
定休日:定休日 日・月曜
公式サイト
公式ページhttp://www.laubergedu15.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。