京都くいだおれ行脚は、和久傳のそば料理店からイノダコーヒを経て、鰻、肉の名店でシメる
【連載】観光的、ではない京都人の日常メシ1泊5食巡り 京都市内中心部に住み日本中のグルメを知り尽くし、メディアに引っ張りだこの賢人・門上武司さん。あらゆるガイド本で扱われるこの街にもまだまだ穴場、しかも日常価格で楽しめる店がある。京都に1泊したらそんな店をフルコースでめぐりたい。1泊の京都で5回も味わえる、「知らない京都人の日常メシ」とは?
- レストラン
- カフェ・パン・スイーツ
- うなぎ
- そば
- コーヒー
- 京都
- 朝食
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- Summary
- 1.そばと酒だけという使い方も可能な大徳寺の和久傳
2.鰻、鶏料理、牛肉料理、京都を代表する名店たち
3.実は常連はここに通う『イノダコーヒ』三条支店
京都は伝統と革新が同居する街である。常に時代の風を感じながら、その時代に対応する智恵をいかし、モノ作りを続けているので、それが伝統になってゆくのだ。今回は定評のある飲食店が試みている献立に迫ってみることにした。
まずは『和久傳』である。
京都には高台寺や室町、大徳寺などに料亭があり、他にも茶席などがある。
その一軒『大徳寺和久傳』は『蕎麦と料理 五』という形態。
11時半から20時まで通し営業というのがありがたい。
つまり、どの時間帯でも蕎麦と酒という選択や、蕎麦だけということも可能となる。
この日は海老とアスパラガスの天ぷらで春の香りを存分に楽しんだのち、蕎麦を手繰る。
つなぎを一割以下におさえた蕎麦の香りは優しい野生を感じさせるものであった。
そして締めにはにしん蕎麦を選ぶ。これは平打ち麺。
蕎麦はのどごしといわれるが、この献立に関しては噛むことで、にしんの旨みとだしとのマッチングがより確かなものになる。この一杯で蕎麦の楽しみが広がる。
蕎麦と料理の店「五 - いつつ」
- 電話番号
- 075-495-6161
- 営業時間
-
11:30~L.O.20:00
定休日:定休日 木曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
次は鰻である。
蕎麦、鰻と続くと江戸の代名詞のような感じもするが、京都でも鰻は楽しめる。
堺町五条上ルの『江戸正』。周辺に旨い店があるような界隈ではない。
しかし、ここで供される「坂東太郎」(蓄養の鰻でかなり天然に近く、おそらく関西ではここ一軒)の蒲焼きは、脂のキレがスッキリとしているのだ。焼き方は関東風の背開きで、蒸しをかけてから焼き上げる。
口に入れると、ホロホロと崩れる食感とさっぱりした感覚、そのあとに追いかけてくる鰻のコクを味わうことができる。
また、タレの染み込んだ白ご飯と一緒にかき込むことで、食べるリズムが生まれてくるのだ。
鰻屋には卵焼きが必須である。これは関西風のだしのしっかりきいた一皿。
これは関西だからこそ楽しめるセットである。
江戸正(エドショウ)
- 電話番号
- 075-351-9371
- 営業時間
-
11:30~14:00、17:00~20:00
定休日:定休日 火曜、第2水曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
続いて祇園に本店を冓える『侘家古暦堂』。ここは鶏料理の店である。
じつは鳥取県大山の養鶏場で「侘家鶏」を契約生産してもらっている。
その侘家鶏と京赤鶏の食べ比べという献立がある。どちらもモモ肉だが、弾力としっとり具合や味の濃淡が確実に違うことを知る興味深いアプローチだ。
また野菜をしっかり食べてもらいたいという気持ちが表れているのが、旬のスティック野菜。地野菜をたっぷり盛り込み、ソースの鶏味噌が滅法旨いのだ。この味噌だけでも酒が飲めるという感じだ。
そして鴨つくねは外せない献立である。
タレの濃厚な味わいは胃袋をたまらなく刺激するが、さらに卵黄が加わる。
卵はまろやかさを出すが、同時にコクもプラスしてくれるので、やみつきのつくねになってしまうのだ。
サンカクは脂の質がいいので、口の中で弾ける感触が心地よい。
ランチで供される石焼親子丼は卵を三個使うので、一般的な親子丼のイメージから石焼きピビンパのようなおこげのできたご飯まで、種々の味を満喫できるのがうれしい。
侘家古暦堂 祇園花見小路本店(ワビヤコレキドウ)
- 電話番号
- 075-532-3355
- 営業時間
-
11:30~14:00、17:00~23:00
定休日:定休日 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
朝は、京都の老舗コーヒー店『イノダコーヒ』の三条支店である。
本店は改装終了と同時に全店禁煙となった。だが、三条支店はまだ喫煙可で、タバコを喫う常連客たちはこちらに流れているような感じである。
大きな円卓カウンターがあるのはこの店だけで、そこに座る醍醐味もある。
その支店で限定のモーニングがあり、トースト(ジャム付き)、生ハム、マッシュポテト、クリームチーズ、サラダ、コーヒーという内容。
生ハムのねっとり具合にサラダのシャキシャキ感などと供に、シンプルなトーストを味わう。
そこにアラビアの真珠というコーヒーで京都の朝を観察するのだ。
なんといってもこの円卓カウンターはイノダのステージである。
中でコーヒーを淹れるスタッフの動きとカウンターに陣取る常連客の阿吽の呼吸は、独特の雰囲気を醸し出している。
イノダコーヒ 三条支店
- 電話番号
- 075-223-0171
- 営業時間
-
10:00~20:00
定休日:定休日 無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
昼は麩屋町竹屋町に近い『はふう』がいい。
ここは牛肉の卸業が営んでいるので牛肉がふんだんに楽しめるのがうれしい。
じつはハヤシライスがかなりのお値打ちである。壺の中にソースが入るのだが、そこから牛肉がゴロゴロでてくるので、驚きと感動に包まれてしまうのだ。
しかし、今回はすき焼き丼をおすすめしたい。
甘辛いタレで味付けされた牛肉と白ご飯の相性はたまらない。
丼にはその牛肉がたっぷり乗っているので、ご飯が見えないくらいである。
牛肉の脂の甘みと香り、タレのコク、ご飯が三位一体になったときに、胃袋はもっとも活動しているのではないかと思う。
牛肉卸業が営む洋食屋だから可能となる献立に舌鼓を打つのであった。
※門上武司さんのスペシャルな記事『恥をかきたくない人のためのオトナの京都の遊び方【うつわ編】~何度通っても常連になれない貴方のために~』はこちら
肉専科はふう 本店
- 電話番号
- 075-257-1581
- 営業時間
-
11:30~L.O.13:30、17:30~L.O.21:30
定休日:定休日 水曜(祝日の場合は営業)
- 公式サイト
- 公式ページhttp://hafuu.com/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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