アジア飯の中でいま「ミャンマー料理」がアツい! ミャンマータウン・高田馬場で行くべき店3選

dressing編集部

Summary
1.創業19年『ミンガラバー』で食べるミャンマーの「お袋の味」
2.魚のおいしさを堪能! 『ルビー』のアルカン族系ミャンマー料理
3.食材はすべて現地直送! 『スィゥミャンマー』で人気上昇中のミャンマー飯「ダンパウ」を味わう

2016年3月末、半世紀ぶりに新政権が発足して、世界中で大きな話題となったミャンマー。民主化を果たし経済発展著しいミャンマーは、日本企業の進出も続き多くの駐在員が住むほか、旅行先としても人気を集めるようになり、その勢いを増している。新大久保や池袋に挟まれ、東京随一の多国籍感を醸す「高田馬場」には、そんなミャンマーの人が日本一多く住んでいる。

料理店も現在は15軒ほど立ち並び、「リトルヤンゴン」とも称されている。ミャンマー料理といってもピンとこない人が多いだろうが、実は今アメリカなどでも人気が上昇中の民族料理なのだという。その理由はなんといってもメニューの多様さ。インド、タイ、中国など隣接国の影響を受けつつ進化したため、まさに各国民族料理の「いいとこ取り」。そんなミャンマー料理の奥深い世界を紹介する。

中井駅近くにミャンマー人の通う仏教寺があったことから、ミャンマー料理店が集結

1997年、まだ高田馬場にミャンマー料理店が1〜2軒しか存在しない頃にオープンした『ミンガラバー』。現在、高田馬場に存在する最も古いミャンマー料理店だ。

「西武新宿線の中井駅にミャンマー人の通う仏教寺があったんです。それでこの辺りにミャンマー人が集まった。千葉や埼玉などに嫁いだミャンマー人も、高田馬場ならアクセスがいいからとここに料理屋が集中したんです」とオーナーのユユウェイさんが語ってくれた。

高田馬場で19年もの間愛されてきた『ミンガラバー』のメニューにはヤンゴンの家庭料理がずらりと並ぶ。ヤンゴン家庭料理は中国、インド、タイなど隣接国の影響をバランスよく受けているため、辛すぎたり、クセがあったりしないので、日本人好みの味付けなのだという。

『ミンガラバー』で人気のご飯料理「タミントゥ」

ここで人気のご飯料理は「タミントゥ」。ミャンマー風の混ぜご飯で、一般家庭でも頻繁に作られるいわば「おふくろの味」的な存在だ。ナンプラー特有の酸味こそあるものの、タマネギの甘みと干しエビの香ばしさが主役のご飯は日本人好みの濃すぎない味付け。添えられた目玉焼きのなめらかな黄身と、食感に変化をつけるためのひよこ豆のかき揚げの相性も抜群だ。

人気の料理はミャンマーの家庭でよく作られる「煮込み料理」。特に最近注文が多いのが、ラム肉のスパイシー煮込み「セイターヒン」だ。ラムの臭みを抜くために、レモングラスと香辛料を加え弱火でじっくり煮込んでいるため、肉は驚くほど柔らか。マトンカレーのような味付けだが、スパイス感が強すぎないためラム肉の旨みがよりダイレクトに感じられる。

こういった煮込み料理の付け合せにぴったりなのが、発酵したお茶とキャベツの和え物「ラペットウ」。ミャンマーはイギリスの植民地でもあったことから、お茶を飲む習慣が盛ん。そのなかで生まれたこの料理は、ティータイムにも、お酒のつまみにも愛される万能な一品。酸っぱさやほろ苦さのある新芽を発酵させた茶葉とナッツや干しエビの相性が絶妙だ。それらをまとめるのがレモンと隠し味のナンプラー。素揚げしたピーナッツやひよこ豆の食感がアクセントになり、飽きがこず、いつまでも食べていられる。一人一皿注文するお客さんもいるほどの人気サイドメニューだ。

以前はほとんどがミャンマー人客だったという『ミンガラバー』も今や80%が日本人。日本人の口にも合うミャンマーの家庭料理を是非試してみてほしい。

<メニュー>

セイターヒン 1,000円
ラペットウ 700円
タミントウ 900円
※価格はすべて税別

ミンガラバー

住所
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-14-8 NTビル3F
電話番号
03-3200-6961
営業時間
11:30~14:30、17:00~23:00
定休日:定休日 不定休
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/s1j87x360000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

日曜日のビュッフェランチが大人気! 夫婦で営むミャンマー料理店『ルビー』

高田馬場駅から徒歩数分。繁華街を抜けた静かな住宅街に店を構えるのはミャンマー料理店『ルビー』。純粋なミャンマー人でなく、アルカン族という海岸地方の民族の血が入った奥さんとオーナーのチョウチョウソーさんご夫妻が14年前から経営するこのお店では、「休日くらいゆっくりといろいろな種類のおかずを食べてほしい」とはじめた日曜日のビュッフェランチが大人気。はじめはミャンマー人客が多かったが、口コミで存在を知った日本人も多く訪れるようになった。

ミャンマー麺料理の代表「モヒンガー」をアレンジ

『ルビー』が他のお店ともっとも違うのは、アルカン民族のハーフである奥さんならではの貝や魚、海藻を使ったメニュー。なかでもオススメはミャンマーの代表的な麺料理「モヒンガー」だ。

「モヒンガー」とはナマズからだしを採った濃厚スープに細い米麺をからませた麺料理。ミャンマー料理店では50〜60年ほど前まで海の魚を食べることがあまりなかったため、「ナマズ」がスープのだしに使われてきた。しかし『ルビー』ではサバやサワラなど日によって海の魚を仕入れて使っている。

この日のスープはサバだし。塩を一切使わずにナンプラーとスパイス、レモングラスだけで味を整えるため、やわらかな魚の風味とコクが存分に感じられる。ちなみに、日本では細い米麺の入手が難しいため、食感の似ている素麺で代用。また「モヒンガー」には天ぷらのような揚げ物を添えることが多いが、これも『ルビー』では季節によって玉ねぎ、茄子、冬瓜、夕顔と変化する。何度か訪れて季節ごとの異なる「モヒンガー」の味を比べてみてはどうだろうか。

「ビルマ風オムレツ」もヤンゴン帰りの日本のビジネスマンに「現地よりも美味しい!」といわしめた『ルビー』自慢の一品。

玉ねぎやトマトなどの具がたっぷり入った卵焼きで、玉ねぎの甘みなど素材のうまみを生かすために味付けは塩と少しのスパイスのみ。ミャンマーでは子供の頃からお腹が空いた時におやつ感覚で作って食べる、親しみのある家庭料理だという。
 
<メニュー>

モヒンガー 780円
ビルマ風オムレツ 550円
※価格はすべて税込

ルビー

住所
〒171-0033 東京都豊島区高田3-8-5 セントラルワセダ 1F
電話番号
03-6907-3944
営業時間
[月~金] 11:30~14:30 17:00~24:00 [土・日] 17:00~翌5:00
定休日:定休日 土曜日のランチのみ休業
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/gpnj7u2s0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

材料はすべてミャンマー直送。本場の味が堪能できる『スィゥミャンマー』

2012年にオープンして以来、テレビなどの取材がひっきりなしに訪れる高田馬場で人気急上昇中のミャンマー料理店が『スィゥミャンマー』だ。驚くべきはなんといってもメニューの豊富さ。店内の壁一面に貼られた料理の写真を見るだけで、何を頼んだらいいのか困惑してしまうほど。一本道の繁華街をずっと抜けたところにあるこのお店はオーナーのタンスィゥさんと奥さんの家族経営。ときおり娘さんや息子さんが出入りするアットホームな空間にホッとする。

「ダンパウ」にプラスα。魔法のミャンマーふりかけに中毒者続出!

そんな『スィゥミャンマー』のこだわりは「現地と同じミャンマー料理と提供する」こと。食材はコストがかかろうが全て輸入。「日本でも専門店に行けば買えるけれど、本当の現地の味を届けたい。だから冷凍食品などは使わず、手作りにもこだわっています」(タンスィゥさん)

そのこだわりをあらわす一品が「パヤージョウ」。乾燥のひよこ豆を水で戻し、潰して水気を切って玉ねぎやレモンに似た柑橘系の果物の葉を混ぜ合わせたものをカラっと揚げたミャンマー風のコロッケだ。

ソースももちろん自家製。チリソースに加えているのはタイ料理などにも使われる甘酸っぱい果物、「タマリンド」。コロッケ自体に加えられた柑橘系果物の酸味とタマリンドの甘酸っぱさが揚げ物の油っぽさを感じさせなくし、さっぱりといただける。
 
お店の人気ナンバー1メニューは「モヒンガー」と並びミャンマー料理の代名詞ともいえる「ダンパウ」だ。レーズンやカシューナッツを入れたバター風味のご飯の上に、スパイスでじっくり煮込んだ鶏もも肉を乗せた豪快な一皿は、4〜5時間煮込まなくてはならず手間暇がかかるため、現地では祝いの席で食べられることがほとんど。家庭で作られることはあまりなく、専門店に行って買ってくる特別な料理だ。

ほろほろと肉が崩れるほどに煮込まれた鶏肉の凝縮されたうまみはそれだけでも十分に満足出来る味だが、バター風味のジャスミンライスのようなお米に合わさればより深みとコクが増す。さらに、『スィゥミャンマー』ではここに特製の「ふりかけ」がついてくる。タマネギ、ニンニク、唐辛子、干しエビを合わせたこの「ふりかけ」、味噌のような熟成されたしょっぱさが特徴。クセになる美味しさで、「ダンパウ」に合わせて味の変化を楽しむのはもちろん、白米にかけてもご飯が進むと日本人に大好評。

遠く離れた異国だけれど、同じ米文化を共有するミャンマー。他にも生姜の和え物やひよこ豆から作る豆腐など、日本でもおなじみだけれどちょっと違う、そんな食材と料理に溢れている。

<メニュー>

ダンパウ 900円
パヤージョウ 550円
※価格はすべて税込

(文・取材/野口美樹)

写真撮影
『ミンガラバー』高木あつ子
『ルビー』今野恭成
『スィゥミャンマー』高木あつ子

スィゥミャンマー

住所
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-5-7
電話番号
03-5937-0127
営業時間
11:30~15:00(L.O.14:30) 17:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:定休日 第2,4月曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/jnsrs0v20000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。