幸食秘宝館・谷中、人知れずこっそり開く隠れ家だが間違いない、路地裏にひそむ名店3軒
【幸食秘宝館】グルメサイトでもなかなか表れない、本当は教えたくない至福の隠れ家。街をさすらい、街に愛された賢人だけが知っている、店選びの黄金律。人気のレビューでは辿り着けない、「幸食の秘宝」そっと教えます。
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- Summary
- 1.フランスで料理人として活躍した女性が開いたワインバー
2.1977年創業、藝大生たちが集まったどこにも似ていない居酒屋はフレンチ出身の三代目へ
3.名バーの系譜を受け継ぐ、オーセンティックな一軒
#005時代も国籍も越境する空気 、谷中
近年ブームになり、週末には内外から観光客が押し寄せる谷根千地区。具体的には台東区の谷中と、文京区の千駄木、根津を指す3つのエリアがひとくくりにされたのは、実は近年のことだ。
中心になったのは、作家・エッセイストの森まゆみ氏、彼女を軸とした谷根千工房による手作りの地域情報誌が、ひっそりとした寺町と古い商店街に再び活気を蘇らせた。
それ以前から、長屋に住むフランス人がいたり、外人たちに人気の純和風旅館があったりと、この辺りには江戸の風情のまま、時間軸も国境も超越したインターナショナルなムードがあった。それこそが、いつまでも多くの人たちを惹き付ける所以かもしれない。
谷根千と一口に言っても、3つの街には各々際立った個性がある。江戸から明治までは遊郭が栄え、東大、芸大を擁する根津。
森鴎外や夏目漱石ゆかりの地であり、不忍通りを境に、実は下町ではなく山の手のエッジにある千駄木。
そして、谷中は谷根千のムードを決定づけた江戸時代からの寺町だ。このエリアの人気スポット谷中銀座は、買い食いのメンチカツを持った観光客たちに埋め尽くされるが、そのまま商店街を越え「夕焼けだんだん」と名付けられた階段を上がると、そこは幾多の寺院と谷中霊園に支配された寺町。
そんな中に、立石の仲見世や呑んべ横丁を思わせる木造アーケードの横丁がある。
今回はそこを起点に、職人坂と呼ばれる三崎坂に至る谷中のラビリンスを探訪しよう。
パリで修業した女店主の日本人離れした洒脱なワインバー、
一瞬にして昭和にタイムスリップする濃密な癒しの酒場、
数々の名店を経て独立した名バーテンダーが待つ純正なバー。
もちろん3軒とも知られざる至宝だ。
知る人ぞ知る、初音小路へ
今や谷根千観光のメッカとなった谷中銀座商店街は、テレビの散歩番組ですっかり有名になった2軒の肉屋と2軒の総菜屋が売るコロッケやメンチカツのほかにも、さまざまな買い食い・立食いアイテムを用意して、一見の観光客を魅了する。
しかし、その目抜き通りをちょっと曲がると、地元で長い間愛されている街中華の白眉、その名も『一寸(ちょっと)亭』など渋い店が目白押しだ。
日暮里寄りの小路を曲がると、かき氷ブームの立役者、日光の天然氷とフレッシュフルーツを使った『ひみつ堂』なども見つかる。
谷中銀座を越えると、洒落た生活雑貨屋やエスニックな料理店などが見えてくる。TVドラマなどのロケ地に何度も登場して
有名になった「夕焼けだんだん」だ。
まぁ、言ってみればただの階段なのだが、夕方、少し高台になったココから見る夕焼けは素晴らしく、改めて日暮里=日暮しの里だと認識できるだろう。
夕焼けだんだん終りの交差点を右折すると、少し足を伸ばせば言問道りを越え、緑豊かな東京芸大まで続く道がある。
曲がって程なく、あの朝倉摂の生家でもある有名な朝倉彫塑館の手前に、「初音小路」と書かれた看板が見つかる。
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