【シャキほろ餡が絶品】餃子マニアが400回通った!下北沢『珉亭』のノスタルジック餃子が驚異的にうまい

餃子で巡る世界の旅in東京 #10

Summary
1.下北沢にある老舗・中華料理屋『珉亭』は、餃子マニアが400回も通う名店
2.“カリッ、しとっ、つるっ”とした皮×ほろほろの餡の組み合わせは職人ならでは!
3.餃子マニア・クック井上。が教える!『珉亭』のツウな食べ方

どうも、料理芸人・クック井上。です!

僕は芸人になるため、1999年に上京してきました。初めてアルバイトをした町は下北沢、当時所属していた事務所主催ライブが毎月開催されるのも下北沢、そして今住んでいるのも、下北沢近く。僕の東京歴はイコール下北沢歴、すっかり&どっぷり下北沢人です。なぜ、そんなにどっぷりになったのか? その理由のひとつが、「絶品ノスタルジック餃子が食べられるお店があるから」と断言できます!

今回は、僕の心を鷲掴みにして離さない、餃子を紹介します。上京してから最低でも月2回のペースで訪問しているので、もう約400 回は行っているんじゃないかな(通いすぎだろ!)

■創業50年以上! あのバンドマンも働いていた『珉亭』

やってきたのは(って言っても、めっちゃ近くに住んでるんですが)下北沢駅から徒歩3分の『珉亭(みんてい)』。50年以上前に創業した、昭和の香りが残る老舗店です。

1階はカウンター席とテーブル席、2階は写真のように座敷になっています。昭和テイスト満載な店内に、このお店を愛した著名人のサインが並んでいます。しかし、このお店にまつわる著名人と言えば、この方を置いて他にはいません。ここ『珉亭』では1995年に解散した伝説のパンクバンド「THE BLUE HEARTS」のボーカル・甲本ヒロトさんが、まだ有名になる前にアルバイトしていたお店なのだ!!!(大大大大、大興奮)

実は僕、中学2年生のときに初めて観に行ったコンサートが、ブルーハーツ! だから初めて『珉亭』に来たときは、「ここにヒロトがいたのか~!」と感動・感涙、そして不思議な感覚でした。

飛び跳ねながら『リンダリンダ』を歌いだしそうなくらいの興奮を抑えて、そろそろこのコラムのお目当て、餃子を注文しましょう。

嗚呼、今日も100点以上の素敵な焼き目だ~!

“そそる”とは、この餃子の為にある言葉じゃなかろうか! 早速、パクつくとしましょう。

パクっ。くぅ~、これこれ、これよー!

大きさこそ違いますが、実はここの餃子、僕の実家の味に近い! ニラの香りとニンニクの味が効いている餡ですが、お肉は控えめ。キャベツ・ニラ・白菜など、野菜がたっぷり入っていて、シャキッとした歯ごたえです。そのおかげで、サッパリしながらもコクが感じられ、ご飯にもビールにも合う、めっちゃ優しい配合、まじ最高!(韻を踏んでみる) 皮は、焼き目のカリッとした食感を残しつつも、全体的にしっとりと柔らかく、つるっとした歯ざわり、思わずおかわり!(再び韻を踏んでみる)

大判サイズの皮で、餡もたっぷり入っているけれど、ギュッと詰まっているのではなく、餡はエアリー。「餃子の餡がエアリーってなんじゃ?」と思う方も多いと思いますが、餡が口の中でほろりとほどけていく感じ。餃子マニアの僕は日ごろから餃子を作っているのですが、同じ材料を使っても、野菜と挽き肉のバランス、野菜の切り方や大きさ、餡の混ぜ方、包む量や包み方など、そうした一つ一つが少し違うだけで味が全然違う。

最近は、「皮はもちもち、餡は肉汁ジュワっ」などの“しずるワード”がぴったりの餃子がトレンドのようですが、大事なのはバランス。ここ『珉亭』の餃子はもちもちでもジュワっでもないけど、「皮はカリッ&しとっ&つるっ、餡はシャキほろエアリー」な絶妙なバランス、そこに職人の技を見ました。

そんな、絶妙なバランスでうまい餃子ですが、ここで『珉亭』通のクック井上。が、より“おいしくなるオーダー”を紹介しましょう。出でよ…!

「ラーチャン」セットよーーー!!

半ラーメン+半チャーハン、それがラーチャン。黄金の組み合わせですが、ここに餃子をプラスすることで、「ラーチャンギョウザ」に。すると黄金の上をいく、プラチナ(?)の組み合わせになります。

おすすめの食べ方は、まずチャーハンをレンゲですくい、昔ながらの優しいしょうゆ味ラーメンのスープに少し浸けて、レンゲの中で小さな「スープチャーハン」を作りましょう。それをパクっと食べ、すぐさま餃子をつまみ、「チャーハン+スープ+餃子」の3つを口内調味しちゃいましょう! んで、ビールをゴクり…

最高かよ!!

■ラーチャンセットもやさしい味わい! だから400回も通えた

写真を見て、皆さんが気になったのはおそらく半チャーハンの色のはず。そう、『珉亭』のチャーハンは“赤いチャーハン”(なんか文字で書くとシャア専用みたい)なんです。

初めて見た時は、赤いから辛いのかなと思ったんだけど、食べてみると全然辛くない! というのも、赤色は唐辛子や豆板醤の色ではなく、食紅で赤く色づけしたチャーシューを使っているから。でも、なぜ赤くしているのか? 気になってスタッフさんに聞いてみたところ「いやあ、先代から赤く染まっていたので何ででしょう…」とのこと。真相はいかに(笑)。

でも、何と言いますか、この赤いのがまたノスタルジック! 塩分も控えめ、なのにここでしか食べられない、年輪の成せる味です。

チャーハンの具は、タマゴとネギが少々とシンプル。つや感のある見た目ですが、食べてみると、油でギトギトしていなく、パラパラ! セットでついてきた、見た目キムチのようなお漬物は「辣白菜(ラーパーツァイ)」と言って、塩漬けにした白菜を甘酢・ラー油などで和えた四川料理なんですが、これをチャーハンにトッピングして食べるのも、これまた美味。キムチほど辛味や酸味が強くなくて、チャーハンの味を邪魔せず味変、いや進化。

半ラーメンは、THE東京ラーメンというべき味。麺は、ラーメンと冷や麦の間くらいの細さで、飲んだ後なんか最高! 僕もよく飲んだ〆で来ちゃいます。中華料理というと、味濃い目でこってりのイメージですが、『珉亭』の料理は、塩分も油分も少な目で、とても優しいヘルシー。

その他、メニューは30種類以上あり、どれもおいしいのですが、僕的にはカレーピラフや上海やきそばなどがおすすめです。どれも味が濃すぎないから、飽きずに400回も通えているのかもしれません。と言っても、その内300回はラーチャンギョウザですが(笑)。塩分控えめなのに、ここの優しい味は中毒性高しです!

ちなみに、店の入り口にあるショーウィンドウには、こんな文字が…

「世界で3番目にうまい 1番うまいものあなたのオフクロの味 2番目はおやじのスネの味 3番目は珉亭のソバの味」

この言葉はとても深いです。単にオフクロの味が1番で、おやじのスネの味が2番って、そういう薄っぺらい言葉じゃない。東京、特に下北沢は、夢を叶えるために地方から上京した役者やバンドマンがたくさんいる街。悔しい思いをし、挫折しそうな時もある。そういう人を勇気づける言葉だと僕は思っています。

「辛い時はうちにおいで。うちのおいしいソバ食べて、元気出しな! でもさ、本当にやり切れない時があったら、オフクロとおやじがあんたを見守ってるよ。一人じゃないんだよ、孤独じゃないんだよ、あんたは。」そういうあったかい言葉なんです。“味”を“愛”に置き換えて読んでみて下さい。全てを包み込むオフクロの愛、そしてオフクロの愛にはちょっと及ばないけど、本当にピンチに陥った時に助けてくれるおやじの愛。でも、親はいつも近くにいるわけじゃない。

そんな時の『珉亭』のごはん! 誰にとってもオフクロの味に感じられる優しい味、あったかさ。それこそが、僕が400回以上も『珉亭』に通っている最大の魅力です。

下北沢は再開発が進み、お店の入れ替わりも激しく、お気に入り店が閉店することもしばしば。だけど、『珉亭』だけは永久保存したい。ここは下北沢のランドマークと言っても過言ではない! 皆さん、できればカウンターに座って下さい。「ラーチャンとギョウザ、あとビール!」とオーダーして下さい。目を閉じて厨房を見てみて下さい。そこには、ヒロトがいます。そしてラーチャンとギョウザを味わってみて下さい、何とも言えず、あったかい味ですから。

お料理も店内も見た目に派手さがないけど、写真には写らない美しさがある。ここのお料理は“人にやさしく”がモットー! お料理が“がんばれ”って言っている。嗚呼、あなたにも食べさせたい!

とブルーハーツ調に餃子愛ならぬ『珉亭』愛を叫んだところで、今日の旅を終えようと思います。ごちそうさまでした。

<メニュー>
餃子 500円
ラーチャン(半ラーメン+半チャーハン) 850円
ビール 650円
※価格すべて税込

編集協力:名久井梨香
撮影:稲毛美紗

珉亭(みんてい)

住所
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-8-8
電話番号
03-3466-7355
営業時間
平日:11:30~23:30(L.O.23:15)、日曜・祝日:11:30~23:00(L.O.22:45) 定休日 月曜(祝日の場合翌日)
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/kjda320s0000/

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