1,000円で名店『つちや』の天丼が食べられる! 大阪駅構内にオープンした天丼専門店
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- 1.天婦羅会席『旬彩天つちや』による天丼専門店
2.ココでしか味わえない女性にも親しみやすい新発想の天丼
3.オプションメニューをプラスして新しいおいしさを提案
JR大阪駅構内の商業施設「エキマルシェ大阪」にて、2016年10月21日に新店が4店オープンした。大阪の一大ターミナルであり、オフィスビルやビジネスホテルが立ち並ぶこの界隈はランチの激戦区である。駅ナカだけあって、さまざまな飲食店がしのぎを削っているが、今回、エキマルシェ大阪に新たに登場したのが『天丼つちや』。ミシュラン二つ星を獲得した大阪・江坂の天婦羅会席『旬彩天つちや』プロデュースの天丼専門店だ。『旬彩天つちや』は旬の素材を使用した天婦羅と、和の技術を駆使した会席料理を存分に堪能できる日本料理店。そのトップクラスの会席料理店がカジュアル価格の天丼を供するとあって店内は賑わいを見せている。
全11席というコンパクトなスペースだが、要所要所に北欧風の雑貨を配置。カフェのような洒落た軽やかさを醸して、女性ひとりでも入りやすい空間になっている。実際、女性客はもちろん、外国人観光客や若いカップルなどの姿も見られ客層は実に幅広い。
「日常の中にちょっぴり贅沢さを感じるランチを意識しました」と語るのは、『旬彩天つちや』の店主である土阪幸彦さん(写真)。大阪・昭和町のハンバーグの名店『昭和町 ボストン』を展開する飲食店の協力を得て、『天丼つちや』を開業するに至ったという。土阪さんはこう続ける。「天丼といえば江戸前で、具がはみ出すくらいの豪快な天丼を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、私たちは、江戸前の天丼の枠組みを一旦解体し、“関西らしさ”“大阪らしさ”を念頭に置いて、ゼロから組み立てました。そこで手仕事が冴える、取っ手付きの平蓋をおひつの上に乗せて蓋にする“関西おひつ”で提供しようと考え、天丼を茶碗によそって召し上がっていただくスタイルに至りました。天丼は本店にはありません。ここでしか味わえない一品として、食材、衣、油、丼たれ、揚げ方など、すべてこの天丼用に考案しました」。
「関西おひつ」と「天ぷら」の職人技の相乗
女性客を意識して考案されたメニューがこの「野菜天丼」(写真)。木曾の檜で作られた小ぶりの関西おひつに盛り付けられた天丼は見た目もカワイイ。蓋を開けると色とりどりの野菜が薄衣をまとい、食べやすい大きさで盛り付けられている。季節により使用食材は異なるが、この日の食材はプチトマト、ブロッコリー、シシトウ、鳴門金時、カボチャ、人参、秋ナス、舞茸の8種の野菜。米は福井県産の日本晴を使用。気温や湿度の変化など季節の移り変わりに応じて、食材だけでなく、丼ツユの味わいも微妙に変化させていくという。ファストフード的なカジュアルなメニューとはいえ、随所に、そうした仕事を感じさせてくれるのが“つちやスタイル”でもある。
丹精込めて天ぷらを揚げる。さっくりと、薄衣に仕上げるのが身上。揚げ油は、ゴマ油、菜種油、トウモロコシ油を独自配合したもの。季節により食材や気候なども変わるため、配合や使用する油の種類、比率なども適宜変更している。
「つちやの天丼」と名付けられた同店のおすすめメニューがこちら(写真)。海老天ぷら、紋甲イカの天ぷら、季節の野菜天ぷら7 種が付く具だくさんの天丼だ。前述のとおり、食材、油、衣の配合は本店とは異なるものの、揚げるテクニックは本店譲りだけに、きわめて満足度が高い。天丼にかかっている丼ツユは、マグロ節と昆布をベースに、アゴ節、鯵節、鯖節でとっただしに、丸大豆醤油(濃口)と湯浅醤油(和歌山県)のたまり醤油で味を整え、さらに追い鰹を加えて風味豊かに仕上げたもの。最後まで食べても飽きさせないような味付けにこだわって作られているため、食べ終わった後の重さはまったく感じない。見た目は愛らしい盛り付けだが、思いのほか、食べ応えがある。
前述の「つちやの天丼」に、穴子をプラスしたスペシャルバージョンが「七福神」と名付けられたこちらのメニュー(写真)。穴子の天ぷらもまた薄衣をまとい、さっくりとした衣に、ふんわりとした軽やかな味わいに仕上げている。いずれの天丼も、ご飯は、甘酸っぱいガリを混ぜ込んだ「ガリごはん」。天ぷらとの相性がよく、さっぱりといただける。ご飯の量は料金そのままで「少なめ」「多め」をリクエストできるという、このあたりの使い勝手のよさもうれしい限りだ。
「オプション」による楽しさの相乗
天丼には、「卵黄の天ぷら」「とろろ(山芋)」「だし」の3種類がセットになったオプションメニュー「ひつまぶしセット」がある。このセットを頼むと、天丼の食べ方が4パターンになるが、天ぷらの食材の組合せ次第で、そのバリエーションはぐっと増える。オプションメニューをつけた場合の食べ方を紹介しよう。
まずは「卵黄の天ぷら」。こちらは卵かけごはんから着想したメニュー。薄く衣をまとい、180℃の油でさっと揚げたという卵黄の天ぷらは小皿で提供される。天丼をよそった茶碗に卵黄の天ぷらを移して、箸をそっと割り入れると、中はとろ〜り半熟の様子がうかがえる。衣をまとって油で揚げた黄身が天丼に流れ込み、コクがアップする。が、決してくどくならないところがいい。
次に箸を進めたいのが「とろろ」である。「とろろごはん」から発想して天丼ととろろの組合せが生まれたという。丼ツユがかかったガリごはんに山芋がまとわり、マイルドさがさらにプラス。口当たりがよく、するりと喉を通っていく。天丼は重いという思い込みを一掃してくれる。
最後は、ひつまぶしから着想したという「天茶」スタイル。鰹や昆布でとっただしをかけて、さらさらと流し込むようにしていただく。というのが、このオプションメニューの醍醐味。会席料理の世界で25年活躍してきた土阪さんらしく、新発想の天丼を、通りすがりのファストフードに終わらせない仕掛けでもある。
テイクアウトには「棒天丼」を
入口左手のショーケースには、テイクアウト用の「棒天丼」のサンプルが置かれている。海老の天ぷら、穴子の天ぷらなどを中央に据え、紫蘇、生姜、実山椒とともに、天丼一人前のご飯の量を用いてのり巻きにしたものだ。一般的なのり巻きには醤油が付くが、同店ではつちや特製の丼ツユが付く。持ち帰っても『天丼つちや』の天丼を味わえるよう考案された、本店にはない商品である。見た目は巻き寿司だが、口の中では『天丼つちや』の「天丼」の世界観が広がるという、想定以上の楽しさがたまらない。『旬彩天つちや』の店主・土阪幸彦さん(写真・下)の挑戦は続く。
(取材・文/佐川深雪、撮影/前田博史)
【メニュー】
野菜天丼 1,000円
つちやの天丼 1,200円
七福神 1,500円
天丼のオプションメニュー/ひつまぶしセット 300円
テイクアウトメニュー/棒天丼 1,000円
※価格は税込
天丼つちや
- 電話番号
- 06-6131-4774
- 営業時間
-
10:00〜22:00(L.O.21:30)
定休日:不定休(エキマルシェ大阪に準ずる)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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