つるんつるん!横幅5センチの群馬名物「鬼ひも川うどん」が食べられる老舗うどん店『五代目花山うどん』

下前ユミ

Summary
1.群馬県館林市にある老舗うどん店『花山うどん』が東京進出
2.うどん天下一決定戦3連覇に輝いた「鬼ひも川」が看板メニュー
3.各メニューで「鬼ひも川」と「うどん」の2種類が楽しめる

うどんは、その土地の文化や慣習、特産物と深く関わりながら育まれた郷土食。“うどん県”を名乗る香川の讃岐うどんをはじめ、日本各地にはさまざまなうどんがあり独自の食べ方も存在する。近年では、全国から名乗りを上げたご当地うどんが集結し、来場者の投票によって選ばれる「うどん天下一決定戦」等が開催されるなど、うどん人気が高まっている。そんな中、2016年10月9日、うどん天下一決定戦で3連覇を果たした群馬県の花山うどんの名物「鬼ひも川」が味わえる『五代目花山うどん』が、東京・東銀座にオープンした。

群馬県館林市に本店を構える『花山うどん』は、明治27年創業の老舗うどん店。創業以来、「群馬という地域の素材を活かすこと」をポリシーとして、その土地ならではの風土を活かしたうどん作りに代々取り組んできた。小麦は群馬県産「つるぴかり」を使用し、その他の素材も群馬県産を中心にした国産を用いるというこだわりようだ。現在は、先代たちが120余年かけて築き上げてきた伝統の味を五代目の橋田高明さんが継承しつつ、時代のニーズを取り込み進化させている。

50年の時を経て復刻した超幅広の平打ちうどん「鬼ひも川」

『花山うどん』の看板メニュー「鬼ひも川」は同店の二代目が考案し、大正時代から昭和30年代まで販売していた麺幅が広い平打ちうどんのこと。群馬県の郷土うどんである「ひも川」よりも麺幅がとても広いのが特徴だ。「昔ながらのよいものや郷土食が見直されている今だからこそ、鬼ひも川の魅力を再評価してもらえるのではないか」と、この度、五代目の橋田さんが50年の時を経て復刻させた。

一般的な「ひも川」の茹であがりの麺幅は1cmなのに対して、食感と食べやすさを追求したという「鬼ひも川」(写真・上)の麺幅は5cm。これは箸でつかんで食べた時に、ぴったりと口に入るサイズだそう。厚みは1mm程度と薄く、その麺幅の広さから生まれるもちもちとした食感とつるっとした喉ごしが身上だ。

「鬼釜」(写真・上)は、うどん日本一を決める「うどん天下一決定戦」で15万人の来場者に選ばれ、3年連続で優勝した『花山うどん』の看板メニュー。茹でたての鬼ひも川に、群馬のブランド豚・上州麦豚と温玉を乗せて、だし醤油をかけて食べるぶっかけスタイルである。“たぬきの器”が何ともかわいらしい。これは、群馬県館林市が舞台となっている昔話「分福茶釜」に由来するもので、五代目の橋田さんがデザインしたオリジナルの信楽焼だ。それでは、うどん、具材ともにその魅力を活かした究極の食べ方を紹介しよう。

最初のひと口はつゆをかけずにそのまま麺を味わおう

「鬼釜」には、3段階の食べ方がある。まずは、そのまま麺だけを味わう。ひと口噛むと口の中いっぱいに小麦の甘みが広がり、噛めば噛むほどに小麦の香りが心地よく鼻に抜けていく。これが群馬県産小麦特有の風味なのだ。

次に、麺と具材を混ぜ合わせてから、サバ節、カツオ節、昆布ベースの濃厚なうまみが決め手のだしで作った鬼釜用の特製だし醤油をかける。この時、麺を器の下から持ち上げるようにしてよく混ぜるのがポイント。幅広い麺に温玉とだし醤油がよく絡み口の中で馴染んでいく。柔らかでもっちりとした鬼ひも川の弾力は、やみつきになる味わいだ。

半量ほど食べたら、ここで本ワサビを投入。ワサビのピリッと爽やかな辛みがアクセントになるとともに、豚肉の脂をさっぱりさせてくれる。素材のうまみを十分に堪能しながら味わえば、うどん天下一決定戦で絶大な支持を受けたのも納得するはず。

もうひとつ紹介したいのがディナータイム限定の人気メニュー「鬼ボナーラ」(写真・上)。その名の通り、鬼ひも川で作るカルボナーラだ。カツオ節と宗田節で丁寧にとっただしに、群馬県産のベーコン、卵、生クリーム、チーズを加え、カルピスバターでまろやかな口当たりに仕立てている。幅広い麺に負けないようにベーコンは厚切りに。磯の香り豊かな青海苔と刻み海苔をトッピングし、和テイストにまとめている。トロ~リと濃厚なソースがしっかりと鬼ひも川に絡み、見事なまでに麺と一体化している。

一品料理も日本酒も地元・群馬県産にこだわる

一品料理も群馬県産にこだわる。その一つが、香り、味、歯ごたえの三拍子そろった群馬県産の舞茸を使用した「舞茸の天婦羅」(写真・上)だ。舞茸は、キノコの中でもその独特な香りと歯ざわりにファンが多い。実は、知る人ぞ知る群馬の名産品なのだ。大きくて肉厚な舞茸をひと口ほおばれば、サクサクとした歯ごたえとともに口の中に舞茸の芳醇な香りが広がる。そんな舞茸に合わせたい日本酒は地元・館林の分福酒造が醸す「分福 本醸造」。昔ながらの手造り製法で、館林で育った「若水」のみずみずしいうまみを氷温1年貯蔵でまろやかに仕上げている。芳醇なうまみとキレがあるのが特徴で、群馬県産の舞茸にぴったりマッチする。

そして、群馬県民のソウルフード「焼きまんじゅう」(写真・上)も用意。ふっくらと蒸した丸いまんじゅうに、甘辛い味噌だれをたっぷり塗ってこんがりと焼き上げた一品。これぞ群馬の郷土食である。皮はパリっと、中はふわふわモチモチ。香ばしい味噌の風味に、ほどよい甘さが感じられ、まさに、一度食べたら虜になる味と食感である。こちらは、群馬県を代表する人気蔵の龍神酒造が醸す「尾瀬の雪どけ 純米大吟醸酒」と一緒に味わいたい。キレの良い飲み口で、フルーティーで華やかな香り。甘辛い味噌だれとの相性は抜群だ。

お土産に小さなギフトも用意

群馬の郷土料理を堪能した後は「鬼ひも川」をお土産にどうぞ。つゆ付きの小さなギフトも用意されている。さっと茹でて、冷やしてざるで食べてもよし。肉や卵、野菜と一緒に煮込んでもよし。「鬼ひも川」は、温・冷はもちろんのこと、パスタのように仕立ててもおいしい万能麺。お土産にすれば、子供から大人まで喜ばれること間違いなしだ。

そんな『花山うどん』は東京メトロ日比谷線・東銀座駅A5出口からすぐのところ、歌舞伎座裏の松屋通りに面したビルの1階に店を構える。正面はガラス張りで、女性客が入りやすい店構え。店内の壁一面には、地元館林が誇るつつじの絵を描き、地元をアピール。テーブル席のほかに、奥に掘りごたつの座敷を用意しており、宴会利用も可能だ。ぜひ一度、五代目の橋田さんが復刻させたご当地うどん「鬼ひも川」を体験してほしい。

【メニュー】
かけ(鬼ひも川) 750円
鬼釜(上州麦豚使用) 980円 ※麺は鬼ひも川のみ
鬼ボナーラ(カルピスバター仕立て) 1,250円 ※ディナー限定
舞茸の天婦羅 単品 300円
焼きまんじゅう1個 150円
分福 本醸造 館林産 若水使用1合 750円
尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 山田錦30%1合 2,200円
※価格は税込

五代目花山うどん 銀座

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-13
電話番号
03-6264-7336
営業時間
11:30~15:30(L.O.)、18:00~22:00(L.O.)、土・日・祝11:00~15:30(L.O.)
定休日:土・日・祝のディナー
公式サイト
公式ページhttp://www.hanayamaudon.co.jp/ginza/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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