グルメならば知っておきたい、食のトレンドの正体について
【店づきあいの倫理学】店は生きものであり「おいしさ」や「楽しさ」は数値化できない。だから顔の見えない他者からの情報「評価」を比較して店や食べるメニューを決めたりすることは無効だ。その店だけの「固有の身体感覚」のようなものがあり、その場その時の「代替不可能な店側/客側のコミュニケーション」が、その店の真価を決定づけている。「店と客の関係性」をもとに「よりおいしく食べるための店づきあい」の方法とは?
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- 1.食のトレンドとファッションのトレンドとの差異
2.たとえば「牛かつ」は和食であり、牛肉料理でもあるという2つの座標軸がある
3.『エル・ブリ』のフォワグラはフォワグラを食べたことがない人にはわからないことについて
「食」のトレンドを考えてみる。
料理とそれを楽しむグルメの世界にも、「流行」があるのは当然のことだ。
ただファッションの世界では、時代感覚においての「新しさ」、あるいは流行を激しく変貌させる「革新性」そのものが、デザインのありようやモードの意味を決定していくので、食やグルメに関してのそれとは幾分違う。
割烹やカフェ・バー、オープン・キッチンのレストランといった店舗形態、韓国料理やバスク料理、スペイン・バル、沖縄料理などの国や地方由来のスタイル、熟成ランプ肉やクエ鍋、デギュスタシオン、エル・ブリ…、とカテゴリー、ジャンル、食材、調理法、消費空間などなど、「うまいもの」「いい店」を色分けしてゆく際の切り口は多様だ。
グルメ系の雑誌を編集していていつも考えることは、たとえば「ビフカツ」(編集部注:東京で「牛カツ」がここ数年流行っているが、関西では「ビフカツ」という言い方が一般的)ならば、和食といったジャンルの座標軸と牛肉料理の座標軸の両面を重ね合わすことによってからしか時代感覚が見えてこない。
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