野菜フルコースの満足度がハンパじゃない!レアな野菜もたっぷり食べつくす、神戸の『野菜割烹えとう』

茶野真智子

Summary
1.予約が取りづらい三宮の人気店『野菜割烹 あき吉』の姉妹店
2.旬の野菜を和食の技法を駆使して仕上げる全8品のコースでお腹いっぱい
3.地下1階という隠れ家的な立地ながら、中に入ると開放的で広々

神戸・三宮駅から北野坂を上り1本西の路地に入ると、地元住民や観光客が行き交うメイン通りの明るい雰囲気とは一転。仕事終わりにハシゴしたくなる飲食店が所狭しと並ぶエリアとなっている。そこに新たな仲間入りを果たしたのが、2017年3月26日にオープンした『野菜割烹 えとう』である。

ビルの地下1階にあり、地下空間へとつなぐ階段を降りていくにつれ隠れ家感が高まっていく。店名があえて書かれていない真っ白なのれんをくぐって、扉を開けると、地下とは思えないような明るい空間が広がっていた。

「圧迫感を感じてしまうとお客様がくつろげないかと思い、地下とはいえ開放感、清潔感を出すために、白木を多用して明るい店内に仕上げました」と語るのは、店長の江頭信明さん。カウンター席とテーブル席のみというコンパクトな規模ながら、リラックスして料理と会話を楽しめそうな雰囲気に期待が高まる。さらに「友人の家を訪れたような気持ちで楽しんでほしいから」と、小上がり席のように、入店時に靴を脱いで上がるスタイルを採り入れている。

『野菜割烹 えとう』は、同じく三宮にあり、なかなか予約を取ることが難しい人気店『野菜割烹 あき吉』の2号店となる。江頭さんは、以前は病院や学校、社員食堂などの食事を提供する会社で料理を作っていたが、日本料理の世界へ飛び込み『あき吉』へ。本店で腕を磨いたのち『えとう』の店長に抜擢された。

旬野菜を農家から仕入れておいしさ倍増!

『えとう』も本店と同じく、野菜を主役にしたフルコースが楽しめるとあって、オープンして間もないにも関わらず、多くの女性客に支持されている。野菜は毎朝、江頭さんが地元・高砂にある野菜直売所へ自ら足を運び吟味。高砂や加古川周辺で育てられた野菜を農家から購入しており、新鮮かつ旬のものを使用している。中には、スーパーマーケットなど一般的に流通されないような野菜もあるという。

例えば、茎ブロッコリーともいわれる「スティックセニョール」。通常のブロッコリーのように蕾を食べるのではなく、シャキシャキとした食感のある芯が味わえる野菜だ。また、ケールと芽キャベツを合わせて誕生した「プチヴェール」は鮮やかな緑が美しいリーフ。シャキシャキしており、蒸しても和えてもおいしいので、いろんな料理に使い勝手がいいそうだ。

「自分の目で選んでこんな風に料理してみたい! といったイマジネーションも高まります。珍しい野菜はどうやって食べるのかわからないものもありますが、教えてもらったり調べたりして、料理に生かしています」と江頭さん。

和食の技法で旬の野菜を見目麗しい逸品に

旬の野菜が持つ個性が生かされ、かつ和食の技法を駆使して表現する料理の一部を紹介していこう。現在『えとう』では、2,000円のランチ1種と、4,500円のディナーコース1種を用意している。今回は、前菜、温物、焼物、鍋(一人用の小鍋)、揚物、炊き合わせ、お食事(ご飯、赤出汁、香物)、自家製ケーキとアイスクリームの全8品で構成される充実の夜のコースよりピックアップした。

前菜は、テーブルに運ばれた瞬間に感嘆の声があがりそうな7種が、美しく繊細に盛り付けられている。

爽やかな香りが春を感じさせてくれる「蕗のお浸し」、木の芽味噌が筍の甘みを引き立てる「筍の木の芽味噌和え」、優しい味わいの豆腐白和え味噌と一緒に味わう「野菜の白和え」(この日はプチヴェールとスナップエンドウ、紅芯大根、サツマイモ)、『あき吉』でも名物のチーズ入り「玉子カステラ」、生姜を入れて甘く炊いた「海老の芝煮」、魚のすり身とシメジ、絹さや、人参を合わせた「野菜真薯」、もろみ味噌でアクセントを加えた「汲み上げ湯葉」。

どれも目で楽しみ、舌で感じながら、季節ならではの喜びを享受することができる。

温物では「新ジャガ芋と南瓜の2色饅頭あられ揚げ」が登場。最初は揚げたモチ米で作ったあられを噛んだときのパリッ、ガリッという小気味よい音、ふわっと香ばしい香り、そしてどこか懐かしいほっとする味わいが訪れる。中の餡は、カボチャの甘みと、ジャガイモのねっとりとした食感といった2つの個性をしっかりと感じられるように仕上げられている。江頭さん曰く「混ぜすぎないのがポイント」だそうだ。

だしをまとって艶感を増した「季節の野菜の炊き合わせ」。お椀の蓋をとると、新ジャガイモ、カボチャ、茄子、絹さや、桜麩、シメジがお目見え。シビ節からとっただしで煮ているため、ほんのりとした甘みとすっきりとしたうまみが増し、野菜のクセを感じさせない上品な一品となっている。

和食の技と丁寧な仕事で旬の食材を見目麗しい品々に。コースの9割が野菜を使っているが、様々な調理法が駆使されているため満腹感をしっかり感じられるのも、リピートしたくなるゆえんだろう。4,500円で食べられるといったコスパの良さにも感動させられる。

「色々な野菜に出逢い、和食の技法を駆使して家では真似できない料理をお届けしていきたいですね。和食のジャンルを外れないようにはしていますが、時々、和洋ボーダレスのお料理も登場するかもしれませんよ」と江頭さん。現在はコース1種のみだが、アラカルトも追加していきたいとのこと。

これからの季節、筍、茄子、アスパラ、新ジャガイモ、新タマネギ、春キャベツ、フキなどが、どんな表現をされるのか期待が高まる。時には一人で、時には心許せる友人と一緒に訪れて、心くつろぐひと時を過ごしてみたい野菜割烹が誕生した。

【メニュー】
コース 4,500円
ランチ 2,000円(月~土、木は休み、11:30~14:00)
※価格は税込み

野菜割烹 えとう

住所
〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-19 平安ビルB1F
電話番号
078-333-3358
営業時間
11:30~14:00(月~土、木は休み)、17:00~22:00
定休日:日
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/yasaikappoetou/?ref=nf

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。