プロが買い付けに通う「市場」のなかにオープンした、鉄板焼きスタイルの料理がうまいと評判
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- 1.鮮度は市場関係者のお墨付き! 扱う食材は階下から毎朝直送
2.街場のお好み焼き屋感覚で通えるカジュアル使いの鉄板ビストロ
3.「焼き」はノータッチ派も鉄板奉行派も、どちらも満足できるフレキシブルさ
食材ストッカーは階下の「市場」! カジュアルさと自由度が魅力の鉄板ビストロ
明治後期に誕生した名古屋駅前柳橋中央市場は、名古屋の食を預かる一大台所。再開発が進み高層ビルが建ち並ぶ名古屋駅前にあって、まるで結界のように市場のタウンアーチが独特の空気感を作り上げる。柳橋中央市場の中核的な存在として食のプロたちが毎朝のように足を運ぶマルナカ(中央市場総合食品センター)の一角に、2017年11月『鉄板ビストロ 小島』が産声を上げた。
マルナカの2階という案内を頼りに階段を探すも、あるのは立体駐車場へとつながるスロープのみ。勾配を上りきった先はやはり駐車場で、目的地を見つけるのは容易でない。なぜなら、倉庫として使われていたままのコンクリート塀に、小さな行灯が掲げられているだけだからだ。
灯りが漏れる扉を開くと、鉄板を備えたテーブルが整然と並んでいる。鉄板ビストロと聞いて、カウンターを思い浮かべた方も多いと思うが、こちらの鉄板はお客同士で囲むスタイルで、一見「お好み焼き屋」のよう。そう、まさにそのイメージこそがオーナーの狙いである。
『鉄板ビストロ 小島』は同じくマルナカ内にある『天ぷらとワイン 小島』の姉妹店としてオープンした。天ぷらも鉄板焼きも、「時価」にビクビクしたり、伝票が手元に届くまで気が気でなかったり、というイメージが先行して、一般人は尻込みしがち。お好み焼き屋や焼肉屋は気軽に入れるのに、鉄板焼き屋は緊張する。であれば前者のイメージに寄せてしまえ、との考えがこの店のスタートラインなのだ。
何から何まで揃う食のテーマパークから「その日一番」を毎朝直接仕入れ
『鉄板ビストロ 小島』の階下はまるで食のテーマパーク。魚介類はもちろん、朝引き地鶏や全国有数のブランド牛、乳製品から調味料まで、ありとあらゆる専門店が軒を連ね、何でも揃う。しかもホテルやレストラン、寿司屋など、熟練の料理人たちが厳しい目で吟味するため、各店の店主も抜かりのない品揃えで受けて立つ。
料理長の伊藤誓朗(ちかお)さんはこの中から「その日一番」をピックアップし、階上へと持ち帰るのが毎朝の日課。八百屋や精肉店の店主が忙しそうな場合は、ほしい物を伝えておき、落ち着いてからデリバリーしてもらう贅沢なサービスも、市場立地のよしみである。『鉄板ビストロ 小島』は朝8時から営業しているため、市場関係者が足しげく通うと聞けば、食材の鮮度と料理のうまさへの信頼度も増すばかりだ。
伊藤さんはオーストラリアのカフェレストランでの修業経験を持ち、東京や名古屋のピッツェリアで腕を磨き、『天ぷらとワイン 小島』で天ぷらの技術も身につけたオールラウンダー。日々入れ替わる素材と、鉄板というツールを最大限に活かし、持ち前のセンスとテクニックでオリジナリティあふれる一品に仕上げていく。
メニューは壁面にペタペタと貼られた書道半紙。新しい料理が誕生したら貼り出し、旬が終われば撤去するフレキシブルさで、メニューは目まぐるしく変化する。中には見ただけでは想像がつかないメニューも。
「鶏ちょうちん」(写真上)は頭にクエスチョンマークが付く方も少なからずいるはずだ。ちょうちんとは鶏卵として産み落とされる前のヒモ部分のついた未成熟な卵黄。その見た目から卵黄部分は「キンカン」とも呼ばれる。焼鳥屋で見かけることはあるが、ここで初めてお目にかかる方も多いという。朝引き地鶏の副産物なので、鮮度は抜群。
これを鉄板に広げ、コテでコロコロと追い回すように焼く。味付けは塩胡椒のみ。濃厚な卵黄のコクを引き立てるには、これぐらいのシンプルさがちょうどよい。レア気味に焼かれたちょうちんは、通常の卵黄より水分量が少なく、口内にねっとりと絡みつき、凝縮されたうまみを存分に楽しめる。
柳橋中央市場は豊かな漁場を持つ愛知県近海の魚介類も目白押しだ。地元では馴染み深いものの、県外から訪れる方を驚かせるのが「大アサリ エスカルゴ風」(写真上)。正式にはウチムラサキという貝なのだが、アサリの親分的な堂々たる風貌が、その名にふさわしい。
『鉄板ビストロ 小島』では、大アサリにエスカルゴバターを載せ、鉄板と蓋を使って蒸し焼きにする。ニンニクとハーブを練りこんだエスカルゴバターが、貝から溢れ出るエキスと一体化し、蓋を開けた時に立ち昇る湯気は、罪深いほど芳しい。身を食べた後、貝殻に残った幸せなジュースはバゲットで拭って食べるのがおすすめだ。
ひと手間加えたビストロらしいメニューも充実
女性からの支持が高いメニューに「海胆(ウニ)パン」(写真上)がある。ウニを乗せたブルスケッタ風の料理かと思いきや、ペースト状にしたウニを卵液に入れ、そこへバゲットを浸してフレンチトーストの様に焼き上げる。均一に火が回る鉄板と蓋をうまく利用することで、表面はこんがり、中心部はしっとり。これには白ワインが進んで仕方がない。2枚で490円というリーズナブルさもうれしい限りだ。
伊藤さんが白ワインとのマリアージュに太鼓判を押すのが「アスパラ パルミジャーノ削って」(写真上)。アスパラは鮮度が落ちやすい野菜の代表格だが、そこは階下の市場が頼りになる。みずみずしいアスパラを鉄板で焼き、最後にイタリアが世界に誇る硬質チーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」を目の前で削って仕上げてくれる。鉄板に落下したチーズは液状化し、しばらくするとフツフツと沸騰し始める。周りが色づいたら引き上げ時。皿に載せてしばらくするとパリパリのパルミジャーノせんべいに早変わり。これまた白ワインが進んで仕方がない。
お任せしたい方、鉄板奉行を決め込みたい方、それぞれの対応で
『鉄板ビストロ 小島』の鉄板は、お客同士で囲むタイプである。「えーっ? 焼いてくれないの?」と不安に思う方もいるだろう。逆に「腕の見せどころ!」と張り切る方もいるはずだ。そこは言葉を交わして意向を察知し、関わり方を変えてくれるので心配ご無用。希望に応じて付かず離れずのお世話もすれば、鉄板奉行の采配に一任するなど、対応はそれぞれ。気持ちよく食事できるよう、伊藤さんを始め、スタッフが臨機応変に立ち回ってくれるので安心してほしい。
また、ビストロというからにはワインの品揃えも気になるところ。ボトル1本3,000円前後で赤・白ともラインナップ。なんともお財布に優しい価格設定だ。
「とにかく気負わず、お好み焼きを食べにいく感覚で、気軽にお越しください」と伊藤さん。鉄板のお世話をしてもらいながら、伊藤さんにオーストラリア時代の話を振れば、楽しいエピソードのひとつやふたつ、聞き出せるかもしれない。
【メニュー】
鶏ちょうちん 390円
大アサリ エスカルゴ風 390円
海胆(ウニ)パン 490円
アスパラ パルミジャーノ削って 390円
ワインボトル 2,900円~
※価格はすべて税込
鉄板ビストロ 小島
- 電話番号
- 052-581-2581
- 営業時間
-
8:00〜14:00、17:30〜22:00
定休日:日曜・祝日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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