『エスコヤマ』で叶う!大切な人に贈る、パティシエと共につくる「1点モノのデコレーションケーキ」

茶野真智子

Summary
1.人気パティスリー『パティシエ エス コヤマ』の敷地内に、デコレーションケーキ専門店が誕生
2.パティシエがお客様の思いをヒアリングして、デザインや味に表現
3.『dressing』をイメージするデコレーションケーキを実際にオーダーしてみると…?

デコレーション&アニバーサリーケーキ専門店が誕生

兵庫県三田市の閑静な住宅街に店舗を構える『パティシエ エス コヤマ』。
パティスリー、ショコラトリー、ブーランジュリー(パン)、コンフィチュール・マカロン、カフェなど7ブランドを展開している約1,500坪もの広い敷地内に、2017年11月13日、8番目のブランドが誕生した。

その名も『夢先案内会社 ファンタジー・ディレクター』。オーソドックスなデコレーションケーキと、完全オーダーメイドのデコレーションケーキの販売を行っている。

オーナーシェフの小山進氏は、1983年に神戸の『スイス菓子 ハイジ』入社。数々の菓子コンクール(兵庫県クリスマスケーキコンテスト県知事賞、TVチャンピオン他多数)で優勝し、2003年より兵庫県三田市に『パティシエ エス コヤマ』を開店。1日最大1,600本以上を売る「小山ロール」は1本売りロールケーキブームの火付け役となったことでも有名だ。

これまでデコレーションケーキは本店パティスリーのショーケースに並べて販売してきた。
だがスペースの関係上、すべてのデコレーションケーキを店頭にディスプレイすることができなかったり、完全オーダーメイドのデコレーションケーキ予約のご要望をお客様からゆっくり聞く時間を確保することが難しいときがあったりと、オーナーシェフ・小山進氏はこのプレゼンテーションに満足をしていなかったという。

そこで、オープンから14周年にあたる2017年11月13日の創立記念日に、「小さい頃に誰もが夢見たような、夢いっぱいのケーキを、ショーケースにたくさん並べてみんなを驚かせたい!」というシェフの想いから独立型店舗としてオープンする運びとなった。

メルヘンチックな世界に迷い込んだかのような空間

緩やかな曲線を描く外観は、クリームをサンドしたふわふわのスポンジケーキをイメージ。まるで童話の世界から飛び出してきたかのようなメルヘンチックなデザイン。

店内のショーケースには、毎日20種類以上のオリジナルや新作デコレーションケーキが並んでいる。

中でも、「Fantasy Dream~2段生クリームデコレーション~」は、『ファンタジー・ディレクター』のアイコン的存在だ。「2段デコレーションケーキが、常に並んでいる店舗であれば、完全オーダーメイドのデコレーションケーキがそれ以上のクオリティであることを、お客様が想像しやすくなると思って」(小山シェフ)。

そう、同店では、パティシエに直接相談しながら、世界に一つだけのデコレーションケーキをつくることができるのだ。

そこで『dressing』編集部は、実際に特別なデコレーションケーキをオーダーしてみることにした。

ケーキでグルメサイト『dressing』を表現してほしいと注文してみた!

ショップを訪れてパティシエール・武村朝子さんに、「グルメ情報を配信するメディア『dressing』をイメージしたケーキを作っていただきたいのですが…」と相談。
完成するケーキを食べるのは、4人の食いしん坊な編集者たち。それも、「苺ショートは絶対!」「お酒が入ったケーキが食べたいなぁ」「チョコレート好き」「和の素材が好き」と、スイーツの好みはバラバラ。そんな条件を叶えるケーキを…と無理難題をお願いしてみた。

そんな無茶ぶりにも慣れたもので、武村さんからは、まずは「『dressing』について教えてください」との質問が。

“トレンドの飲食店の情報がたくさん掲載されている” “食に敏感な大人がターゲット” “1店舗ずつ細かく丁寧に紹介する上質なサイト” であることなどを説明。
続いて、4人の編集者の好みについて「チョコレートは苦い方が好きなのか、甘いのが好きなのか」「好きなお酒の種類」「お酒は何とあわせて飲むのが好きか」など、さらに掘り下げて質問された。

そこで、情報がたくさん載っているサイトであることを表現しながら、4人の編集者が4つの味が楽しめる「苺ショート」「チョコレート」「お酒」「和」のアソートケーキに決定。

お客様のイメージ(ファンタジー)を編集するパティシエ・パティシエール

このお客様から要望を聞き取る「ヒアリング」の工程が、『ファンタジー・ディレクター』の肝となる。

「“こんなケーキがほしい”とお客様がおっしゃったとしたら、‟こんな”の部分をケーキのデザイン・味に落とし込んでいけるよう、できるだけ細かく具体的に聞き出すことが大事。もし提案するために必要な情報が引き出されていなかったら、いくらおいしくても100%喜んでくださることはない。デザインも味もお客様の想像を超えることで、感動を与えられるケーキになるからです」と小山シェフ。

とはいえ、お客様の要望が10個あったとしても、10個全部をデザイン・味に落とし込んでしまうと、それはトゥー・マッチ。結果としてテーマが見えない、個性を発揮できないケーキになってしまうからだ。

「ヒアリング中、パティシエが感性を研ぎ澄ませながら“相手が一番何を求めているか”重要なヒントに気づき、10個の要望があるならその中から、ケーキのビジュアルや味のデザインの核となる部分を探り出す。それを踏まえて自分の今までの経験と沸いてくるアイデアを思い描かないと、決して想像を超えることはできません」と小山シェフは語る。『ファンタジー・ディレクター』という店名には、お客様のファンタジー(=想像や理想・好きなことなど)を、ディレクターであるパティシエ・パティシエールが編集するという意味が込められているのだ。

小山シェフとの打ち合わせで、ケーキの構成を最終決定

最初のオーダー日から1週間ほど経った日、パティシエール武村さんが小山シェフと打ち合わせをすると聞きつけて、同席させてもらった。

ヒアリングをする中でパティシエ・パティシエールが自分のアイデアだけで提案することができるケーキも多いが、今回我々がオーダーしたケーキのように、盛りこむ要素が多い場合やデザイン・構成に悩んだときは、パティシエ・パティシエールと小山シェフが相談する時間を設けているという。

●武村さん
「お客様から甘いチョコレートがお好きと伺っていますので、ホワイトチョコレートを入れようかと思っているのですが」

●小山シェフ
「チョコレート好きな人は、ホワイトチョコではなく濃厚なチョコ系がいいんじゃないかな。好みをもう一回ヒアリングをしてくれる?」

●武村さん
「デザインは4種違うカラーで違う味のマカロンを合わせようと…」

●小山シェフ
「キャレ(板状のショコラのこと)を味ごとにイメージカラーを決めて使い分けて、見た目にも4種類であることが分かるデザインにしてみたらどうかな」

このようなやりとりと試作を、何度も何度も繰り返して、完成させていく。

特別に厨房に潜入!工程も見学させていただきました!

そして、ケーキの受け渡し日。特別に厨房に入らせてもらい、つくり上げる工程も見学させてもらった。

1.「苺のショート」
ジェノワーズは、弾力がありながらシュワッと口の中で溶けてゆくふわふわの生地に仕上げる。コクがありたっぷりと空気を含んだ軽い口どけの生クリームとフレッシュな苺をサンドしたのち、シャンティクリームでコーティング。

2.「チョコレート」
ふわふわとした柔らかな食感のチョコレートスポンジで、コアントロー(オレンジリキュールの一種)を加えたシャンティショコラをサンド。周囲はビターチョコレートでコーティング。

3.「お酒」
編集者は日本酒が好きという意向を受けて、焼き菓子に使われるしっとりとしたケイク生地に、純米酒と柚子酒、グラニュー糖で作ったシロップを打つ。たっぷりとシロップを染み込ませた生地でシャンティクリームをサンドし、仕上げに同じシャンティクリームでコーティングする。

4.「和」
抹茶のビスキュイ生地に、ホワイトチョコレートがベースのほうじ茶クリームをのせ、下層部には黄栗、上層部には大納言をトッピング。最後にほうじ茶クリームでコーティングする。

4種のケーキをドッキングさせたのち、味の違いが一目でも分かりやすいよう色の異なるマカロンやキャレ、ショコラティエが手掛けたチョコレートの飾りでデコレーションしたら完成となる。

こうして『dressing』をイメージしたオーダーデコレーションができあがった!

ついに完成!どんな味なのかワクワク。さっそくいただきます!

いただいてみると、左下の「苺のショート」は、コクがありながらあっさりとしたあと口のエスコヤマオリジナルのクレームシャンティに、酸味と甘みのバランスがとれた苺が相性抜群だ。右下の「和」は、優しく上品な抹茶が香るビスキュイにほうじ茶クリームが優しい甘さを添える。

左上の「チョコレート」は、あっさりとしたチョコクリームに濃厚なチョコクリームを重ねることで、チョコ好きを満足させるコク深い味わいに。生地とクリームのふわふわとしたエアリーな食感も最高だ。右上の「お酒」は、しっかりと日本酒の味を堪能したあとに、柚子の風味が口いっぱいにさっぱり感を運び、あと味がとっても爽快。

味の好みが異なる編集者を満足させながら、多ジャンルのグルメ情報を配信する『dressing』を、一つのデコレーションケーキで最大限に表現し、ワクワク感をそそるカラフルな見た目ながらも、大人の上質感を備えた絶妙なバランスはさすがの一言だ。

お客様の想像を超えて、感動を届けたい

「前年に、誕生日用のデコレーションケーキをご注文いただいたお客様が、今年もオーダーしていただいたとすると、我々は昨年度のクオリティを超えるケーキを提案しないといけない。そのためには、我々は常に勉強をして、創作の幅を広げていかなくてはなりません。お客様の想像を超えて、感動を届けていけるベストなマリアージュを提案していきたい」と語る小山シェフ。

『ファンタジー・ディレクター』と共につくり上げる、世界に一つだけのデコレーションケーキ。贈られる方はもちろん、贈る方も、幸せな気持ちと感動に満ちた時間を共有できるに違いない。

【メニュー】
Fantasy Dream~2段生クリームデコレーション~ 7,495円
STRAWBERRY LOVERS (5号) 4,104円 ※販売予定期間:2018年4月1日(日)~5月31日(木)
季節のフルーツタルト (5号) 3,240円 
※価格は全て税込
※オーダーメイドのデコレーションケーキは、ご希望のイメージやサイズにより決定します。


店内画像提供:パティシエ エス コヤマ
取材・撮影(打ち合わせ風景):笹間聖子
撮影(完成ケーキ):合田慎二

夢先案内会社 FANTASY DIRECTOR(パティシエ エス コヤマ内)

住所
〒669-1324 兵庫県三田市ゆりのき台5丁目32-1
電話番号
079-564-3192
営業時間
10:00~18:00
定休日:水曜(祝日の場合は翌日・詳細は公式サイト参照)
公式サイト
公式ページhttp://www.es-koyama.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。