NYの“新パワーランチスポット”として注目『ザ・グリル』

『ザ・グリル』は2017年5月、ミッドタウンのオフィス街にオープンした。場所はかつて、高級レストランの『フォーシーズンズ』があったところだ。『フォーシーズンズ』がオープンしたのは1959年。NYには、ニューヨーク市歴史建造物保存委員会（LPC）によって外観を歴史的建造物に指定されている建築物が少なくないが、ここは内装が歴史的建造物に指定されている。その『ザ・グリル』が、オープン以来、“新しいパワーランチスポット”として注目されている。

お客の多くは、『フォーシーズンズ』の常連だった人たちだ。“パワーランチスポット”と言われるだけに、その来店状況は半端でない。外食代が高くつくニューヨークでも、『ザ・グリル』のランチ代は抜きんでて高い方だが、月曜日から金曜日まで毎日来るお客たちがいるという。壁に沿ってテーブルが5つ並んでいるセクションがあるのだが、そこでは各テーブルごとに座るお客が決まっているのだ。

中央の丸テーブルは、毎週月曜日にランチミーティングをそこでするお客が決まっているとか。いずれも近くで働いているビジネスマンで、ランチタイムのピーク時はかなり混む。そうしたハイソなお客を相手にするウエイターたちは、『ザ・グリル』のためにつくられたトム・フォードデザインのタキシードを着用している。

ランチで一番人気のあるメニューは、「シーグラム・クラブケーキ」（写真上）だ。クラブケーキというと揚げるのがスタンダードな料理法であるが、ここのクラブケーキは揚げていない。上質な蟹肉のみを寄せ集めてフォルムをつくり、その上にスライスしてこんがり焼いたポテトをのせている。なかなかおいしく、上品なクラブケーキだ。下に敷いてあるタルタルソースには、グレープシードオイルとディジョンマスタードと卵が使われている。

「チーズバーガー」（写真上）も人気が高い。通常はステーキや焼肉に使われるショートリブと最高級グレードの熟成肉をミックスし、レストラン内で挽いて使っている。上質な肉の味を感じられる、他では食べられないハイグレードなチーズバーガーだ。

「トリプルラムチョップ」（写真上）は、ランチ、ディナーともに人気メニューの1つ。カレー風味で、リンゴを煮詰めてミントを加えたゼリー状のソースがついてくる。シェフのアシュレー・ラス氏は、ニューヨークの著名な人気レストランとして息の長い『Gramercy Tavern（グラマシー タバーン）』で、かつて腕を振るっていた実力者だ。

デザートのお勧めは「レモンシフォンケーキ」（写真上）。濃厚な味でありながら、口当たりは軽くさっぱりした、おいしいケーキだ。誕生日祝い用にホールケーキが欲しい場合は、事前に頼んでおけば用意してくれるという。

ディナーは、テーブルのそばで調理するエンターテイメント性が加わり、オムレツをお客のそばで焼くような演出もある。奥には個室が2つある。

2017年7月には、同じメジャーフードグループ系列のシーフードレストラン『ザ・プール』がオープンした。『ザ・グリル』と『ザ・プール』は通路を隔てて行き来することができる。その日の気分で、肉かシーフードかを選ぶ富裕層のための世界が広がっている。たまには、そんな世界に足を踏み入れてみるのも悪くないかもしれない。


【メニュー】
THE SEAGRAM CRAB CAKE（シーグラム・クラブケーキ）　＄37.00
CHEESEBURGER（チーズバーガー）　＄33.00
TRIPLE LAMB CHOPS（トリプルラムチョップ）　＄74.00
LEMON CHIFFON CAKE（レモンシフォンケーキ）　＄17.00