【目黒】送る日常を祝祭に変える陽気な新星フレンチ『セラフェ』!下町生まれパリ仕込みシェフの凄腕に脱帽
【連載】幸食のすゝめ #065 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。
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- Summary
- 1.家族や仲間たちと気軽にうまいものを。お祭り気分で楽しめる開放的なフレンチが目黒にオープン
2.恵比寿『ジョエル・ロビュション』『ユーゴ・デノワイエ』など、有名店で修業を重ねた敏腕シェフの店
3.肉も魚も野菜も思い切り! グランド・メゾンのサービスをビストロ価格で楽しめる
幸食のすゝめ#065、寄り添う杯には幸いが住む、目黒
「みんなでしゃべって、みんなで笑って、みんなで飲んで、気軽にうまいものをお祭り気分で楽しめる!そんなビストロを作りたいんです」。
新しい店のための物件を探していた年末も、帰省から戻った『アンドシノワーズ』の2人を迎えた今年初の飲み会でも、いつも満面の笑顔で話してくれた彼。
『長平』から『いちりん』へと飲み続けた夜の主役は、間違いなくタケシくん、齊田武シェフだった。
パティシエやペルシャ料理家、イベントやケータリングで高名なタイ料理人、いろんな食のプロや、食べることが大好きな仲間たち。話を聞きながら、みんなの頭の中には、楽しそうなビストロのイメージが膨らみ続けた。
それは今まで、この国にはありそうで実はなかったものだった。
パリ14区に精肉店、16区にターブルドット(簡易な飲食スペース)併設の精肉店を持つ『ユーゴ・デノワイエ』。世界でもトップクラスの肉屋が恵比寿に誕生した時、料理長として迎えられたのがタケシシェフ。その後、ユーゴ撤退と共に、海外初進出した『ル・セヴェロ』に迎えられる。
恵比寿『シャトーレストラン ジョエル・ロビュション』でキャリアをスタートし渡仏。パリ14区の『ラ・メゾン・クルティーヌ』や『ラ・レガート』、『ラミ・ルイ』などを経て、肉料理の名店として名高く、京都『Le14e(ル・キャトーズィエム)』の茂野シェフや六本木『祥瑞』の古賀シェフなども活躍した『ル・セヴェロ・パリ』で4年半に渡り、肉と肉の調理を学んだ人物だ。
その後、本店の 『ユーゴ ・デノワイエ』でも、さらに肉について徹底的に知識を叩き込んでいる。
渡仏して最初に驚いたことは、店や料理ではなく素材だった。
「マトウダイ(サンピエール)って、生で食えるんだ! ってびっくり。とにかく食材がすごくて、日本と全然違ってて、驚きの連続でした。ごく普通のスーパーで加熱してない牛乳を売ってるし、バターの味が濃い。野菜やフルーツはとにかく豊富だし、トマトやニンニクは身の詰まり方が違う」。
素材を徹底的に見極めて、素材自身が持つ力を最大限に活かし、シンプルに調理して提供する。今に至るタケシシェフの料理哲学は、フランスの食材に培われたものだ。
新店『セルフェ』でも、『ル・セヴェロ・パリ』で仕入れまで担当していた彼自ら、築地に出向いて旬の食材を厳選して仕入れる。
旬のお任せコースは、その季節に考え得る最上の素材で組み立てられたものだ。
パリで最もおいしいステーキ店として、とにかく肉のイメージが強かった本店とは違い、新店では魚も野菜も豊富に出す。
しかも、徹底的にお祭り気分で客に楽しんでもらうため、グランド・メゾンのサービスをビストロ価格で提供する。
ソムリエには同じく恵比寿のシャトー出身の増田憲治さん。すべての酒やワインに精通した彼が本気で選び抜いたナチュラルワインのペアリングも楽しみだ。シェフがフランス時代から親交を深めていた造り手たちや、ソムリエが訪問した各地の日本ワイン。その数は常時300種、1,000本以上のワインがウォークインタイプのセラーに並ぶ。
セラー前のカウンターは、スタンディングで1杯からワインを楽しめる角打ちになっている。待望のアラカルトも、今月からスタートした。
ある日の旬のコースは、新タマネギを使ったグジェール(チーズ風味の1口シュー)と、スプーンに載せられたビーツとブーダンノワールに始まり、『田中農場』産、卵のフランを挟んで、金目鯛と甘エビのマリネへ。ソースにはパクチーが忍び、皿の縁にあしらわれたウイキョウが香りの句読点を打つ。
赤ピーマンのソースで仕上げた鮪のステーキは、旬のアスパラとタプナードが合わせられる。その後、大振りの鴨を挟んで、ひつまぶしスタイルの牛タルタル。
味も量も本場そのもの、何よりも意外な隠し味や構成の巧みさでテーブルの会話が弾む。
ソムリエ渾身のペアリングも、当意即妙で爽やかな驚きに満ちている。
もちろん、素材は季節の中でも変化していくから、月に何回も足を運びたくなる楽しさだ。
デセールは長女を抱いたパートナーから
パリ仕込みのデセールは、ココナッツのブラン・マンジェ。実はシェフのパートナー、アミちゃんが考案。アーティステッィクな外観ばかりでなく、添えられた天然山椒のセンスにも驚く。
アミちゃんの胸には、ベビーキャリアの中、去年生まれたばかりの長女が。こどもと一緒に、家族で働けるビストロって、なんて素敵なんだろう。この店だったら小さなこどもがいる家族も、気兼ねしないで食の時間を楽しむことができるはずだ。
フレンチにありがちなカップル優先ではなく、仲間や家族で出かけてワイワイ楽しんでほしい。
下町生まれのタケシシェフの願いは、そのまま目の前にいる齊田ファミリーが実践している。
送る日常を祝祭に変えるビストロ
「パリは移動祝祭日だ」と言ったのはヘミングウェイだったが、『セラフェ』はそのビストロ版。ここに来たら、毎日が祝祭、お祭りに変わるはずだ。店名はCellar=ワインセラーと、Fête=お祭りからの造語。
礼拝の帰りだろうか、日曜日に家族でビストロに行き、丸鶏やパンタード(ホロホロ鶏)を和気あいあいと食べているパリの日常的なシーンが、シェフ自身の思い出と共に重ねられている。
楽しい時のフランス人の口癖、「C’est la fête(セラフェ=お祭りだ!)」にも発音をかけている。
「造り手を褒めてほしい」とタケシシェフは言った。一所懸命に育てられた食材と厳選された海の幸に寄り添う、生産者の顔が見えるナチュラルワイン。この店には、幸福が満ち溢れている。
寄り添う杯には、幸いが住んでいる。
【メニュー】
コース 6,000円、ワインペアリング4,000円、グラスワイン1,000円~
ボトルワイン5,000円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜です。
Cellar Fete
- 電話番号
-
050-5487-3829
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
-
月~土・祝日
18:00~22:30
(L.O.21:00、ドリンクL.O.22:00)
●営業時間、営業日は日により変更する場合もございます。●必ずご予約又はお電話でご確認の上ご来店ください。●食べログ、グルナビ、ご来店、お電話でご予約を受け付けております。御時間差で、ご予約頂いてもお席がご用意できない場合もございます。その場合はお電話でご連絡させていただきます。
●大変少ない人数での営業です。お待たせしてしまう事もございます。ご理解いただいた上でご予約お願いいたします。
火~土
12:00~14:00
(L.O.13:00)
定休日:日曜日
祝日
日曜の夜は定休になります。年末年始、夏季休暇あり。通常営業は18:00〜ご予約いただければ17:00〜可。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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