世界2位の名手が送る「揚げピッツァ」に悶絶! 武蔵小山のイタリアンバル『パレルモプラス』

桑原恵美子

Summary
1.ナポリピッツァの名店として知られる武蔵小山の『ラ・トリプレッタ』が姉妹店をオープン
2.本店と同じ生地を使った「ピッツァフリッタ(揚げピッツァ)」は、香ばしくクリスピーな味わい
3.デリも併設しており、店のメニューが自宅でも楽しめる!

“世界第2位”直伝のピッツァを手軽に味わえる店が武蔵小山に誕生

武蔵小山にある『ラ・トリプレッタ』の姉妹店『パレルモ プラス』が2018年4月4日にオープンした。

本店『ラ・トリプレッタ』は『ミシュランガイド東京 2015』、『ミシュランガイド東京 2016』の「ビブグルマン(5,000円以下で優れた料理と価格以上の満足感を得られる店に与えられる評価)」にも選ばれており、オーナーでピッツァイオーロ(ピッツァ職人)である太田賢二さんは、「ナポリピッツァ職人世界選手権」で数々の受賞歴を持つ実力の持ち主だ。

その姉妹店である『パレルモ プラス』では、看板メニューとして「ピッツァフリッタ(揚げピッツァ)」を用意。実は太田さんは「2011年ナポリピッツァ職人世界選手権」の「ピッツァフリッタ部門」で世界第2位に選ばれたこともある。その太田さん直伝の「ピッツァフリッタ」が食べられるとあって、早くも客足の絶えない注目店となっている。

『パレルモ プラス』があるのは東急目黒線・武蔵小山駅から徒歩1分ほどの西口商店街。『ラ・トリプレッタ』とは駅を挟んだ反対側に店を構える。

スタイリッシュな店構えだが、庶民的で味わいのある通りの雰囲気にも自然に馴染んでいる。それを象徴するように、入口脇にはコンクリート台を設け、縁側のように誰でも気軽に腰かけられる空間をつくっている。

9坪の店内はカウンター8席、奥にテーブル2卓(各3席)。カウンター中心なので女性1人でも入りやすい雰囲気である。

手軽に食べられる「ピッツァフリッタ」で、イタリアンのハードルを下げたい

「近くに『ラ・トリプレッタ』があることを知ってはいても、イタリアンというだけで少し距離を感じている人もいて、残念に思っていたんです」と太田さん(写真下)は語る。

そこで着目したのが、ファストフード感覚で手軽に食べられる「ピッツァフリッタ」だ。釜がない小さな厨房でも作ることができ、テイクアウトして外を歩きながら食べることも可能。さらにそれを見た人が興味を持ってくれれば、宣伝にもなる。

「『ピッツァフリッタ』目当てに来店してもらい、本店の味を気軽に楽しんでもらうことで、もっとイタリアンを身近に感じてもらえると嬉しいです」と太田さん。

油で揚げているのに重くない、むしろサクサクで軽い!

「ピッツァフリッタ」に使う生地は、『ラ・トリプレッタ』の釜焼きピッツァと同じもの。フィリングによって、ナポリ伝統の味「クラシカ」と、独自のアレンジをしフィリングが毎日替わる「モデルナ」の2種類がある。

取材当日の「モデルナ」のフィリングは、パクチーとピーマン。ちなみにカウンターの奥は「ピッツァフリッタ」を揚げるフライヤー前なので、目の前でできあがる様子が見られる特等席だ。

▲指を細かく使って、生地を丁寧にのばしていく

▲チーズ、パクチーの根で香りを付けながらローストしたピーマン、たっぷりのパクチーを置く

▲半円にたたんでふちをしっかりくっつける

▲破れないようにそっと持ち上げて、熱した油の中へ

▲みるみる膨れ上がっていく

長時間かけて揚げると皮に油がしみこんで膨らみにくくなるため、200℃くらいの高温の油を使い、短時間で揚げるのがコツだという。

▲こちらが完成した「モデルナ」。こんがりと揚がった生地、膨らみも見事

熱々の皮にガブリとかぶりつくと、予想していた油っぽさが皆無なことに驚く。表面はサクサクとクリスピーで香ばしく、内側はもっちりふんわり。
皮だけでも味わい続けていたいほどおいしいが、フィリングのピーマン、パクチーのややクセの強い香りが皮のうまみをさらに引き出し、食欲をかきたてる。ピッツァの新しい味わいを発見した思いだ。

▲モッツァレラチーズ、リコッタチーズ、ハムを包んだシンプルな「クラシカ」。こちらもフィリングと皮に一体感があり、美味な一品

本格イタリアンを、小皿で手軽に味わえる幸せ

同店では、本店仕込みの本格的なイタリアンを、手頃な量と価格で楽しめるのも嬉しい。
「食事前の待ち合わせで軽く1杯飲みたい」、「家に帰る前に、何かつまみながら1杯だけワインを飲みたい」など、さまざまなシーンで気軽に使えそうだ。

▲トロトロのチーズ入りライスコロッケ「アランチーニ(2個)」(400円)

▲野菜それぞれの歯ざわりをうまく残している「カポナータ」(600円)

『ラ・トリプレッタ』では提供していないパスタも、こちらでは2種類用意している。
ランチは「シチリアの小さな前菜盛り合わせ」+「ピッツァフリッタ」の「クラシカ」、もしくは「本日のパスタ」で1,200円と、こちらもリーズナブル。

▲「カサレッチ(断面がS字型のショートパスタ) アラ ノルマ」(写真上)は、揚げナスとトマトソース、リコッタチーズで和えたもの

▲ランチの「シチリアの小さな前菜盛り合わせ」(写真上・手前)

この日の「シチリアの小さな前菜盛り合わせ」は「カポナータ」「イワシのマリネ」「パネッレ(ヒヨコ豆のフリット)」。「ニシンのシチリア風南蛮漬け」(写真上・奥)(600円)は、シチリア料理独特の甘酸っぱさがワインによく合う。

地域や住む人のライフスタイルに溶け込み、無くてはならない店にしたい

太田さんが飲食店経営を志したのは、17歳の時にテレビでイタリアのバールの様子を見て憧れたのがきっかけだという。この店もイタリアのバールのように、1日に何度も立ち寄ってもらえるような店にしたいと考え、カウンター中心の入りやすい店にした。

また、一人暮らしの女性が多いエリアであることから、充実したデリコーナーも設けている。「地域に根付き、その人のライフスタイルにしっかりと組み込まれているような、その人にとってなくてはならない店にするのが夢です」(太田さん)。

▲入口右手には、持ち帰り可能な総菜やジェラートが並べられている

▲テイクアウトを利用すれば、家飲みもリッチな気分に

▲デザートは20種類以上のジェラートから選べる。ジェラートは昨年8月に太田さんの出身地である静岡県にオープンしたジェラート専門店「La DOPPIETTA(ラ・ドッピエッタ)」のもの

『パレルモ プラス』では、本店『ラ・トリプレッタ』の若手スタッフ2人が2週間交代で店に立つ。
「2人で競い合って切磋琢磨することで、個人としての成長にもつながります。そして若いピザ職人たちも、ピザ生地に触る機会が増えるので、技術を磨くことにもなります」と太田さん。

会話の端々からも、太田さんの若手スタッフへの深い愛情が伝わってくる。スペースは小さいが、太田さんの大切な夢や計画がいっぱい詰まっている店だ。
「この店を、ゆっくりと大事に育てていきたい」という太田さんの言葉が心に残った。


【メニュー】
ピッツァフリッタ クラシカ 800円
ピッツァフリッタ モデルナ 950円~
ジェラート 500円
グラスワイン 600円~
※価格はすべて税込

PALERMO PLUS(パレルモ プラス)

住所
東京都品川区小山3-2-6 1F
電話番号
050-5487-5119
営業時間
12:00~24:00
定休日:月曜日・木曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/88ycgmsw0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。