豚の複数部位をコース仕立てで味わえる! 新感覚とんかつ専門店『銀座かつかみ』が早くも予約必至の名店に

小田中雅子

Summary
1.部位ごとに異なる味わいを心ゆくまで堪能! 今までのとんかつ屋の概念を覆す、銘柄豚使用の極上とんかつコースに悶絶!
2.“肉汁を飲むとんかつ”とは? 溢れ出るジューシーな肉汁に酔いしれたい
3.とんかつとワインのマリアージュを楽しめるコスパ抜群のワインペアリングも!

とんかつの名店ひしめく銀座に注目のとんかつ専門店が誕生

とんかつの名店がひしめく銀座に、これまでのとんかつのイメージを一新してしまう『銀座かつかみ』が2018年8月にオープンした。『ミシュランガイド』掲載店の常連である活カニ料理の名店『きた福』のオーナーが手掛けたとんかつ店とあって、早くも食にこだわる人たちが詰めかけている。

場所は、すずらん通りとみゆき通りが交差する角にあるビルの5階。席数はカウンター9席、テーブル4席の計13席。テーブル席側には、床から天井までとどく大きなガラス窓があり、ビルの一室とは思えない解放感がある。窓の向こうには銀座の景色が広がり、夜景を眺めながら極上の料理を堪能するという大人の愉しみ方もできる。

めくるめく豚肉の饗宴、部位ごとに楽しむとんかつコース

とんかつ専門店というと定食スタイルで供されるのが一般的だが、『銀座かつかみ』に“定食”という概念はない。メニューは、昼・夜どちらもコースのみ。天ぷら店のように目の前で一品ずつ揚げられたとんかつをコース仕立てで楽しむことができる。
コースは、昼2種類、夜2種類をそれぞれ用意。今回は、夜7,000円のコースを紹介していこう。

まず、「トマトの出汁サラダ」「揚げ銀杏」、そして、箸休めにお代わりもできる自家製人参ドレッシングでいただく「キャベツの千切り」が順に運ばれコースはスタート。カウンター向こうにある特注の銅製フードのなかでジュワジュワという揚げ音が聞こえれば、いよいよ“とんかつの饗宴”の始まりだ。

最初は「ひれかつ」。真ん中はロゼ色に、うすくカリッと揚がった衣はぴったりと肉に寄り添っている。しっかりと肉にまといつくような衣にするために、パン粉を工夫するなどして何カ月も試行錯誤したという。この技により内側に余計な油がまわらず、驚くほどにサッパリ味わえる。

肉の表面にはじんわりと肉汁が染み出ている。ひと口すすると、肉のうまみがしみたスープのような上品な肉汁に驚かされる。

「最初のひと口は何も付けずに食べてみてください」と供された「ひれかつ」をひと口ほおばると、サクっと香ばしい衣にくるまれた肉のうまみが口いっぱいに広がる。ヒレは柔らかいだけでなく、肉質が実にしっとりしていて、気が付くと何もつけずに肉をほおばり続けていた。それぐらいしっかりとしたうまみがある。

続いて、赤身の希少部位が2種類。内容はその日に入荷されているもので異なる。この日は「ウチモモ」(写真上・左)と「ランプ」(同・右)。

豚は牛と比べて個体が小さいため、希少と言われる部位は量も限られており、牛よりも入手が難しいという。『銀座かつかみ』は信頼のおける業者とタッグを組み、豚を丸ごと仕入れることで、なかなかお目にかかれない部位も提供できる。

「ウチモモ」は赤身でありながらジューシー。歯ごたえのある肉を噛みしめていると、ジワジワと肉汁が湧いてくる。一方、モモ肉の中では一番柔らかい部位である「ランプ」はヒレとは違う柔らかさでサクッとした歯ざわりが心地よい。こちらは肉の味わいがウチモモより濃厚。肉そのものの味を存分に堪能できる部位だ。

シンプルな豚肉のうまさに酔いしれていると、ハンバーガー仕立ての「メンチカツ」(写真上)が目の前に現れた。ランチコースでは、シンプルにメンチカツそのものを楽しむが、ディナーは特製ソースにたっぷり浸されたメンチカツをミニバンズに挟むという遊び心溢れるスタイルで供される。
ガブリとかぶりつくと、ジュワっと肉汁があふれてくる。たっぷり入ったタマネギの甘みと肉のうまみがハーモニーとなる。

熟練の技で揚げられるのは、希少な山形県産「米澤豚一番育ち」

夜のコースで使用している豚は、山形「米澤豚一番育ち」。生産量が少なく東京では滅多にお目にかかれない希少な豚で、色白の肉質と甘い脂身が特徴だ。
同店がこの豚を選んだポイントは、脂肪の融点の低さにある。このため、口の中に入れても、肉汁のジューシーさが損なわれず、とろんととろけるような脂身の柔らかさが楽しめる。

一番難しい作業は“揚げる”工程だという。それぞれの部位ごとに揚げるタイミングは異なる。中身はロゼ色に、切るとジュワっと肉汁が湧き出るように揚げるには、熟練の料理人ですら、いっときも気を緩められない。

黄金色に揚がったカツは、トレーにいったん置かれる。この工程もおいしいカツのためには欠かせない。置かれている間、熱が内部までじんわり伝わり、まるで蒸し豚のように火が通っていく。こうすることで、しっかり火が通りながらも、柔らかい肉を楽しむことができる。

コース後半も、こだわりの極上素材を使った絶品フライが多彩に登場!

口直しのパイナップルジュース(日により口直しの品は異なる)で後半に備え口を整えたところで、続いて登場したのは「生車海老のエビフライ」(写真上)。頭の部分もカラッと揚がり、頭の先からしっぽまでおいしくいただける。頭部分のミソも入れたまま揚げるため、身の部分だけでは味わえない、濃厚な味わいもしっかり堪能できる大人のエビフライになっている。

続くのは、好みのカツを選ぶスタイル。「天然あわびのコロッケ」、とろける脂が甘いと評判の「腰塚のコンビーフ」、カニがぎっしり詰まった『きた福』名物の「蟹コロッケ」、季節ものの「松茸フライ」。ここでは「天然あわびのコロッケ」(写真上)を紹介しよう。

カリッと揚がった衣の下にはトロリとしたクリームソースにくるまれたアワビがゴロっと顔を出す、なんとも贅沢なコロッケだ。
水と酒だけで2,3時間煮込んだというアワビは弾力を持ちつつも柔らかく、ギュッと噛みしめるとうまみが染み出てくる。添えられているのは、アワビの肝をブレンドしたバター。あっさり上品なクリームソースと共にいだたくと、濃厚なコクが広がる。

さあ、ここからは王道とも言うべき「ロース」と「肩ロース」のとんかつのお出まし!「ロース」(写真上)には、すりおろしたばかりの天然ワサビが添えられる。ワサビはロースの上質な脂をすっきりとした甘みに変え、しつこさをまったく感じさせない。

「肩ロース」(写真上)はロースより肉のうまみが濃く、脂も濃厚だ。この肩ロースに合わせるのは、香り豊かな『MUCCINI ITALIA(ムッチーニ イタリア)』のトリュフバター。アツアツのとんかつの上でバターがとろけると、芳醇なトリュフが香り立つ。思わず歓声が上がる瞬間だ。

〆を忘れないでおこう。夜のコースでは〆のメニューも選択可能だ。「カツカレー」、「ソースカツ丼」、「卵とじカツ丼」、「コンビーフの卵かけご飯」など、肉とご飯の最良の組み合わせのオンパレード。

圧倒的な人気は「カツカレー」(写真上)。同メニューは“カツに合うカレーを”と約5年間試行錯誤して作り出した渾身の一品。カレーソースの具材は豚ミンチのみとシンプルながら、複雑に絡みあうスパイスが奥深い香りと味を作り出し、合わせるカツを引き立てている。

デザートは「かき氷」。揚物が続いたあと、さっぱりしてもらいたいという心遣いだ。ソースは、イチゴ、パイナップル、ミルクティーの3種類から選ぶことができる。
イチゴソースのかき氷には、生クリームと牛乳と練乳を混ぜ合わせたミルクソースと、自家製の甘酸っぱいイチゴソースがきめ細かな氷にかかる。ふわふわの氷は口の中でスッと溶けて、ミルクと甘酸っぱいイチゴが余韻を残す。

ソムリエ厳選のワインで楽しむ、とんかつとのマリアージュ

ドリンクはビール、日本酒と各種揃っているが、ソムリエのいる同店のおすすめは、4杯で3,500円という抜群のコスパがうれしいワインのペアリング。
コースの流れに沿って、赤、白、ロゼを取り混ぜて供される。とんかつは、どんなタイプのワインも合うが、ロゼとの相性が抜群だとか。ぜひ極上のとんかつとのマッチングを楽しみたい。

「日本の豚肉はどんどん進化していて、肉質の良い豚が生まれている。本当においしい肉は、余計なことをしなくてもおいしい」と語るのは、これまでにとんかつの名店を立ち上げ、数々の店をプロデュースしてきた日向(ひなた)準一料理長。

コースで食べ比べると豚とはこんなに奥が深いのかと改めて豚肉のおいしさに魅了される。ぜひ新たなとんかつの魅力を体験しに訪れてみよう。


【メニュー】
▼ランチ
福豚コース 2,500円
米澤豚コース 3,500円
※価格は税込

▼ディナー(2名から)
Aコース 5,000円
Bコース 7,000円
※価格は税別

銀座かつかみ

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座5-6-10 銀座ミヤコビル 5階
電話番号
050-3460-7798
営業時間
ランチ11:30~14:00(L.O.)、ディナー(2部制)18:00~、20:00~
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休み)
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/etpe79hk0000/
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/ginza.katsukami/

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