恵比寿のビストロ『小泉料理店』はコスパ最強!コース3800円のジャンルレス料理に定評あり

恵比寿のビストロ『小泉料理店』はコスパ最強のお店。コースは3800円ととてもカジュアル。フランス料理をベースとしながらジャンルレスな料理も提供しており、ナチュラル系ワインにぴったりのメニューが豊富です。ランチもディナーも気軽に入れて、ゆっくりした心地よい時間に酔いしれたい。どこか懐かしさを覚えるあたたかみ溢れるビストロなので、表情が和らいでいきます。ぜひ予約して訪れてみて。

松本玲子

Summary
1.『レストランよねむら』、『coyacoya』、『ビストロ アンコニュ』などを渡り歩いたシェフが独立
2.おまかせAteコースはいろんなメニューをちょっとずつ楽しめる
3.ナチュラル系ワインにぴったりのメニューが豊富。一人飲みや二軒目としての利用もオツ

フレンチ、中華、和食などジャンルレスの料理のエッセンスが詰まったビストロ

生きていると、何気ない日常を幸せだと感じる日もあれば、気持ちが沈んで感謝の気持ちを忘れてしまう日もある。だけど、心安らぐ空間で食材の生産者や料理人の想いを感じられる料理を口にすれば、気持ちまでじんわりとあたたまっていくものだ。

2018年11月1日、東京・恵比寿にオープンしたビストロ『小泉料理店』で供される料理、そしてシェフの小泉洋さんが創り出している空間も、訪れる人の心にあたたかな灯をともしてくれる。

小泉さん(写真下)が料理をはじめたのは高校時代。当初は、母親を手伝ったり自身の弁当を作ったりする程度だったというが、二十歳過ぎから日雇いで建築現場に携わり橋を造ったり、働いたお金で日本一周を楽しんだりするうち、料理を生業にすることを考え始めた。

最初に入店したのは、1日1組限定のフレンチレストラン。そこで基礎を身に付けた後、京都・祇園で本店を営む、フレンチと日本料理をベースにする『レストランよねむら』(現在は閉店)で約4年間研鑽を積み、フランスに飛んだ。

しかし、勢いで渡仏したもののなかなか働き先が決まらず、ラグビー選手たちにケータリングのご飯を作っていたこともあれば、朝になるとマルシェでパンを売り歩いたことも。さらに、レストラン修業の合間にワインやチーズを造っていたこともあれば、漁船に乗り込んでいたこともあるなど、とにかく身軽。

滞在中には、「オープン時間に出勤して、仕込み作業をしながらお客の注文にもこたえる」というフランス流の仕事の仕方を学んだというが、ほどなくして帰国してからは、東京・中野坂上の角打ち酒屋『藤小西』でナチュラルワインについて学んだ。

さらに、オープン前の最後の研修先として、東京・恵比寿の中華料理店『coyacoya(コヤコヤ)』や代官山の『ビストロ アンコニュ』(現在は閉店)など、ジャンルの枠を超えてバラエティ豊かな店で学んだ。

そうしたユニークな経験だけでなく、生まれ持った気ままな性格もあってか、料理は「作りたいものを作る」がモットー。店にはナチュラル系のワインが数多くそろっているため、特にワインに合うメニューを考えるのは得意だ。

ワインにぴったりのメニューはお手の物。お気に入りメニューで一晩飲み続けるお客も!

赤ワイン好きならまず試してみてほしいのが、鶏レバーを赤ワインでトロッと煮た「チキンハート」(写真上)。ワイン、コショウ、オリーブオイルのシンプルな材料を使い、ゆっくりと時間をかけて煮込んだレバーは極めて柔らかく、口の中いっぱいにうまみが広がっていく。

「これ一品でワインを何杯も飲まれるお客さんもいますよ」と小泉さんは話すが、これだけ赤ワインと相性抜群だと、なかなか次の一品に移れない気持ちはよくわかる。

モツと鴨の肉で仕立てたしゅうまいにホワイトアスパラや洋ナシをあしらい、ニラのソースを散らした「もつしゅうまいとホワイトアスパラ」(写真上)も人気が高い。ビストロでしゅうまいメニューに出逢えることにも驚かされるが、ホワイトを基調とした美しい盛り付けにさらにびっくり。

うまみが凝縮されたしゅうまいとフレッシュなアスパラ、洋ナシの組み合わせが絶妙で、中華料理のしゅうまいとは違って、少しずつ楽しみたくなる一品だ。

しっかりお腹を満たしたいときにおすすめは、ローストしたジャガイモ、赤イモ、タマネギが添えられた「蝦夷鹿ランプのロティ」(写真上)はいかが? 繊細で柔らかな肉質でありながら力強さを感じる赤身肉は、臭みがなくしっとりジューシー。シェアはもちろん、ひとりでもぺろりと平らげられる。

いろんなメニューが味わえる「おまかせAteコース」なら「逆ペアリング」を楽しめる

日替わりメニューはその他にも魅力的なものだらけで、いろんなものを少しずつ食べたいと感じることは必至。そんなときは、2種類の「おまかせAteコース」のチョイスがいいだろう。

前菜にあたる一皿目として登場するのは、何も乗っていないまっさらなプレート。一人ひとりが注文した飲み物を見ながら、この上にちょこっとずつおすすめを乗せていくスタイルだ。

「“逆ペアリング”みたいに楽しんでもらえたらうれしいです」という発想が実におもしろいうえ、オーガニックヴィンテージチェダーなどの珍しい一品が登場することもあるので、未知の食材との出逢いや食材にまつわるストーリーを聴かせてもらえるのも楽しみのひとつだ。

「うちの野菜は、毎週末、東京・青山で開催されるファーマーズマーケットで売れ残ったものを使っているんですが、フードロスなどの問題だけじゃなく、食材や生産者のことを直接お客さまに伝えたいという想いから、段差のないカウンター席中心のレイアウトにしたんです」。

居心地のよさを追求して計算されているというよりは、小泉さんの気ままな生き方そのものが投影されているかのような店内。年季の入った壁は、自分で調達したというペンキや漆喰で塗られ、バスルームにはオークションで競り落としたレトロな脚付き洗面台が設置されている。床を剥いで張り替えたのも小泉さん自身だ。

どこか懐かしさを覚えるあたたかみ溢れるお店ゆえ、知らず知らずのうちに肩の力が抜け、表情が和らいでいくお客も多いに違いない。

コースでは、前菜のあとに肉料理、魚料理も供されるが、放牧のあか牛などの厳選した食材も楽しめるので、ゆっくりと時間をかけて心地よい時間に酔いしれたい。

【メニュー(抜粋)】
▼コース
おまかせAteコース 3,800円、4,800円
フルコース 5,800円
▼今日のメニュー(その日仕入れたものによって変動)】 ★はおまかせ
フランス産そら豆 500円
冬野菜のポタージュ 500円
ファーマーズのピクルス 500円
ケールのおひたし 500円
石川県サワラのカルパッチョ★ 1,380円
コトリヤード(ブルターニュ風ブイヤベース)★ 2,750円
チキンハート★ 500円
蝦夷鹿ランプのロティ★ 3,280円

小泉料理店

住所
東京都渋谷区恵比寿西1-10-12 1F
電話番号
050-5487-9495
営業時間
18:00~23:00
(L.O.21:00)
定休日:日曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/h08dg8530000/
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/Ryori10k/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。