博多・中洲『豚そば 月や』による新たな豚骨ラーメン。澄み渡る一杯に、新たな可能性を感じる
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- 1.博多・醤油ラーメンの名店『支那そば 月や』による「淡麗系豚骨ラーメン」が誕生
2.淡麗でも豚のうまみをしっかり感じる、進化した豚骨ラーメンが話題
3.九州一の歓楽街・中洲の酒飲みを支える、おつまみもラインナップ
博多・醤油ラーメンの名店『支那そば 月や』のDNAを受け継ぐ「淡麗系豚骨ラーメン」
屋台をルーツに持つラーメン居酒屋『やまちゃん 中洲店』、天ぷら専門店『くすしゃん』など、昔から愛される名店が集まる福岡県、中洲・錦小路エリアに2018年9月にオープンした『豚そば 月や(つきや)』。
博多区店屋町(てんやまち)に本店、JR博多駅の駅ビル内商業施設「博多デイトス」に姉妹店を展開する『支那そば 月や』の新業態店である。
『支那そば 月や』が鶏ガラベースの醤油ラーメンを名物とする一方、『豚そば 月や』は屋号通り、豚骨100%のスープで勝負する。
ただ、そこは豚骨王国・福岡においてブレずに醤油ラーメンをプッシュしてきた気鋭店のDNAを受け継ぐだけに、王道からはあえて脱線。”豚骨=白濁”というイメージを覆す透き通った清湯(チンタン)スープの、いわゆる淡麗系ラーメンだ。
“中洲時間”に合わせた夜のみ営業。女性客も安心するお洒落な店づくり
名店ぞろいの錦小路に灯る白い提灯。19:00から営業開始と、ラーメン店としては遅い時間からのスタート。中洲のど真ん中という立地柄、2軒目・3軒目利用が多いことがその理由だ。
実際、最もにぎわう時間帯は23:00~翌1:00。週末ともなれば1時間程度ウェイティングが発生することもしばしば。
白い提灯、ブロック壁がスタイリッシュな外観同様、店内も女性一人でも入りやすいオシャレなしつらえ。カウンター席のほか、店奥にはテーブル席も用意している。
豚のうまみをしっかり感じる、進化した淡麗系『豚骨ラーメン』
同店のラーメンは、「豚そば」(写真下)とチャーシュー増量の「豚々そば」の2種のみ。
どちらもまずはスープの味わいをストレートに感じてほしいと、小ネギも別皿に添えて提供するスタイル。
この澄んだ見た目で、衝撃の豚骨100%。白濁させないことで、豚の脂がスープの表面でキラキラと輝いている。
まずはスープからいただくと、驚くのが奥深いうまみ。清湯スープでここまでうまみが出るのかと驚かされる仕上がりで、見た目を裏切る深いコクもさすがの一言。
別の寸胴鍋で炊いた豚の背脂を提供直前にスープと合わせることで、細ストレート麺にもスープがよく絡む。
小ネギとともに小皿で供されるカボスの果汁を入れると、爽やかな香りとともに、スープに酸味がプラスされ、コントラストがはっきりとした味わいに変化する。
店長の冨永健太さん(写真上)は、「澄んだ豚骨スープを作るには、丁寧に血抜き、アク取りを繰り返すことが大切。そしてグツグツとたぎらせないこともポイントです。ただ、メニュー開発にはとても苦労しました」と開店前を振り返る。
それは、豚骨のうまみとコクは引き出せたが、丁寧なアク取りにより、豚特有のパンチまでなくなってしまうことだったという。
「プレオープンの4日前まで納得のいくスープが完成しませんでした。そこで、チャーシューに使う豚バラ肉をスープの中で煮込むことにしました。すると、理想とする豚らしさも感じられる澄んだスープができあがり、ホッとしたのを覚えています」と笑う。
もちろん麺にも強くこだわる。福岡県で生まれたラーメン用小麦の「ラー麦」でつくった特注麺で、小麦の香りや風味を強く感じられる。博多豚骨ラーメン特有のエッジの立った硬麺とは一線を画し、ツルリとしたなめらかな口当たりに仕上げた。
いわゆる博多ラーメンの味とは明確に違いを打ち出す一方で、博多の麺文化には欠かせない「替え玉」(麺の追加)を用意しているのは、「博多の豚骨ラーメンの文化は大切にしていきたいという考えからです」と言う冨永さん。
新たな挑戦をし続ける一方で、文化や伝統をリスペクトする姿勢が印象的だ。
酒の進むおつまみも用意。2軒目のちょい飲み利用としても
同店は飲んだあとのシメとしての利用が多いが、2軒目使いとしてお酒を楽しむお客もいるため、麺メニューのほかおつまみメニューも用意。
早い時間はつまみとビールなどを楽しんだあと、シメのラーメンまでオーダーし、同店だけで完結する常連も増えている。
肉汁溢れる、「しゅうまい」(写真上)。『支那そば 月や』のしゅうまいメニューと比べると2倍ほど大きく、食べごたえがある。だが皮が薄めなので、豚肉のうまみがしっかりと伝わる一品だ。
湯剥きトマトの上にガリと刻んだ大葉をのせた、見た目もユニークな「ガリトマト」(写真上)。マイルドな酸味のポン酢がかかっており、あっさり味わえるので、箸休めとしても最適だ。
中国四川地方の料理、よだれ鶏をヒントにした「よだれ豚」(写真上)。ラーメンに使用する豚バラチャーシューを活用したメニューで、山椒を効かせたスパイシーな特製ダレがビールやハイボールと相性抜群。酒飲みにはたまらない一品だ。
有明海湾岸の地域で昔から食されている「あみ漬け青唐辛子」(写真上)。塩気強めのあみ漬け(オキアミの塩辛)に強い辛みの青唐辛子を混ぜており、日本酒のおつまみにピッタリだ。
豚骨ラーメンの可能性を広げる清湯スープを新定番に
“豚骨スープ=白濁”という常識を覆す清湯スープで福岡のラーメン業界に一石を投じた『豚そば 月や』。
店長の冨永さんは「九州一の歓楽街という立地柄、中洲には豚骨ラーメンの店がたくさんあります。そのなかでどうオリジナリティを表現するかを考え、清湯系の豚骨スープにたどり着きました。
さらに、胃もたれしにくいあっさりとした味わいに仕上げることで、飲んだあとでもサラッと食べてもらえます。いわば、中洲仕様にチューニングした一杯です」と話す。
オープンから間もないながら、すでにシメの一杯におすすめの店として人気を呼んでいる同店。清湯系の豚骨ラーメンが福岡の新定番になる日もそう遠くないかもしれない。
【メニュー】
豚そば 650円
替え玉 150円
よだれ豚 700円
しゅうまい(3個) 500円
ガリトマト 500円
あみ漬け青唐辛子 500円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
豚そば 月や
- 電話番号
- 092-262-3505
- 営業時間
-
19:00~翌3:00(L.O.2:30)
定休日:日曜、祝日は不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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