渋谷・南平台の「ベーカリーカフェ&ビストロ」で至福のひとときを! 新鋭シェフによる一皿に酔いしれる

桑原恵美子

Summary
1.ベーカリー、カフェ、ビストロという3つの顔を併せ持つ『セブンクローバー』が渋谷区南平台に誕生
2.腕を振るうのは、新進気鋭の料理人・池田亮太シェフ
3.素材を活かしたモーニング・ランチも魅力が詰まっている

香りの専門商社が作った、ベーカリーカフェ&ビストロ『セブンクローバー』

JR渋谷駅から10分ほど歩いた路地。「TOCCA(トッカ)」「MOR(モア)」など海外の高級フレグランス商品を多く扱う『株式会社グローバル プロダクト プランニング(GPP)』が2018年9月、渋谷の奥に位置する南平台(なんぺいだい)町にベーカリー『7clover(セブンクローバー)』をオープンし、話題になった。

さらにその1カ月後、モーニング・カフェに加え新たにビストロ営業も開始し、『ベーカリーカフェ&ビストロ7clover(セブンクローバー、以下『セブンクローバー』)』としてグランドオープンを果たした。

同店の大きな特色は、ベーカリー、カフェ、ビストロという3つの顔を併せ持っていること。朝7時半から11時まではベーカリーの焼きたてパンが味わえるモーニングセットを、11時半からはデリスタイルのランチを、18時からはビストロ料理を提供している。

ビストロ料理を組み立てるのは、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35 2016」にて「ブロンズエッグ(一次審査通過者)」に入賞するなど、その活躍が注目されている若手料理人・池田亮太シェフ(写真上)。

“究極のシンプル”に出逢って、料理観が変わった

料理が好きで自然と料理人を目指していた池田シェフ。そんなある時、当時働いていたレストランの契約農家に紹介された長野県の小さなレストランを訪れたことで、料理観が一変する。

「本当に何もない田舎町で、レストランとは思えないような質素な建物でしたが、オーナーシェフはなんと“食の革命家”と呼ばれているアリス・ ウォータースがアメリカ・カリフォルニアに創業した伝説的なオーガニック・レストラン『シェ・パニーズ』で働いていた日本人のシェフでした」(池田シェフ)。

彼の料理を味わって、池田シェフはさらにショックを受ける。究極にシンプルな調理法なのに、食材の奥深い味わいを見事に引き出した、今まで味わったことのない衝撃的なおいしさだったからだ。

「帰りの車の中で、『自分の料理はこれでいいのか』とずっと自分に問いかけていたことを、今でもおぼえています」(池田シェフ)。

お手頃でもあなどるなかれ! 驚きの連続、圧巻のディナーコース

そんな新進気鋭の池田シェフの料理が堪能できるのが、ビストロタイムのディナー。

アラカルトと2,980円から数種類のおまかせコースがあり、2,980円のコースでも前菜2品とメイン1品、デザート、ドリンクという充実の内容だ。写真上は取材当日の2,980円コースの一部。

前菜1品目は、低温調理で甘みを引き出したタマネギをムースに仕上げた「タマネギのムースとずわい蟹、塩イクラ」(写真上)。
なめらかな食感にうっとりしていると、タマネギの鮮烈な甘みが口いっぱいに炸裂する。

2品目は「イトヨリの昆布締め」(写真上)。雪のようなトッピングは、「マルトセック」(油を固形にする働きのあるタピオカ由来パウダー)を使って柚子オイルをふわふわの粉雪状にしたもの。

粉状になった柚子オイルは口の中で瞬時に溶け、その瞬間に柚子の香りが華やかに広がる。上に散らしている柚子の皮といっしょに口に入れると、うまみ、香り、ふんわりした食感が重なり、口中でハーモニーを奏でるよう。

圧巻なのが、メインの「北海道産 鴨肉のコンフィ」(写真上)。
北海道産の鴨「スノーホワイトチェリバレー」を2日間マリネした後、身が固くならないよう90℃の油で5~6時間かけて火を入れて、最後にフライパンでさっと焼き付けて皮をパリパリに仕上げている。

非常にシンプルな調理法だが、「油の温度が1℃高いとうまみが逃げてしまい1℃低くても固くなるため、火を通している間まったく気が抜けないんです」(池田シェフ)。

フォークで触れただけでほろほろと崩れるほど身が柔らかく、肉はバラ色でしっとりジューシー。とろみがつくまで煮詰めて酸味を飛ばしたバルサミコ酢の甘みが、また絶妙に鴨の味を引き立てている。

付け合わせのポテトはまるで栗のような甘み。雪の下で寝かせて熟成させて甘みを凝縮させた「インカのめざめ」を一度蒸した後に冷凍し、凍らせたまま揚げることでピューレのようなクリーミーな舌ざわりになっている。

素材を活かした絶品が揃う、モーニング・ランチもおすすめ

ディナーのビストロ料理だけでなく、もちろんモーニング・ランチともに、こだわりの詰まった一品が楽しめる。

モーニングでは、好みのパンとドリンクを組み合わせられる「モーニングセット」も用意。近隣のワーカーや住民からの人気を集めている。

ベーカリーでは、「南平台ブレッド」(写真上)が一番人気。

甘みの強い国産小麦「ゆめちから」と世界自然遺産・白神山地で発見された酵母「白神こだま酵母」を使用しており、酵母に合わせて白神山地の水を取り寄せ、さらに北海道産の含蜜糖(がんみつとう:糖蜜を結晶と分離せずにつくる、コクや優しい甘さのある砂糖)、醗酵バターを加えて贅沢に仕上げている。

冷めた状態でそのまま食べても、ふわふわの食感と小麦本来の力強いうまみを感じられる食パンだ。

「塩ブラン」(写真上)は、小麦の表皮部分のみを製粉し食物繊維が豊富な「ふすま粉」を使用し、ヘルシーにいただけるパン。かすかな塩味が小麦の甘みを力強くひきたてており、食事用のパンとしても人気だ。

11時半からのランチタイムには、ベーカリー横のカウンターにずらりと色鮮やかなデリが並ぶ。

「サラダ」「サイドディッシュ」「メイン」「スープ」を数種から選び、さらに週替わりのランチブレッド、ドリンク、プチデザートが付く。これで1,500円~という価格も驚きだが、そのクオリティがまた想像以上。

この日のメインには、「北海道産鱈のトマトソース仕立て」をセレクト(写真上)。野菜の自然な甘みをいかしたソースが美味で、サイドディッシュやサラダもデリでありながらもボリュームがあり、デザートやドリンクに至るまですべてがどれも本格的、見た目も色鮮やかで嬉しい。
グラスワインの用意もあるので、休日に優雅なひとときを過ごすのもおすすめだ。

モーニング、ランチ、そしてディナーと、すべての時間でスペシャルな時間を楽しむことができる店だと感じた。

まるで海外のよう、洗練された空気感が漂う店づくり

同店の目印は、まるでフランスのようなお洒落な外観と風になびくフランス国旗。通りに面して鮮やかな赤色の壁が印象的なパン工房があり、外からもパン作りに励む職人の姿が見える。

店の入り口に通じるアプローチのプレートには「幸運を呼ぶ」といわれるパワーストーンである水晶がびっしり埋め込まれていて、特別な場所に向かうような高揚感を感じさせてくれる。

入口の前には、ゆったりしたオープンエア(屋外の飲食スペース)にはソファが並び、ヴィンテージ感のあるテーブルセットも上品な空間をつくりあげている。

中に入ると、左側にベーカリーコーナー、右側に飲食スペースが広がる。温かみのある自然素材を使っており、開放感のある上品な空間に包み込まれる印象だ。

この店で、みんなが幸せになって欲しい。

池田シェフは同店で働く条件として、スタッフの年間休日と労働時間を具体的に指定した。

「僕だけではなく、今の若手のシェフは皆、飲食業界の労働条件を改善しようと頑張っています」(池田シェフ)。
意欲的な若いスタッフが多く、店全体に明るくなごやかな雰囲気が感じられるのはそのせいだろう。

『GPP』の佐々木桂一代表は、「『あなたにとって幸せな香りとは?』というアンケートをとったところ、圧倒的に多かったのが『焼きたてのパンの香り』『いれたてのコーヒーの香り』などの料理の香りでした。“香りを通して人を幸せにする”のが当社のミッションですので、人を幸せにするようなおいしいパンや料理を提供する店を作りたいと考えました」と話す。

店名の「セブンクローバー」は、「無限の幸せ」を意味する花言葉に由来するという。
「無限の幸せを実感でき、それが素敵な人生を送るきっかけになって欲しいという思いをこめました」(佐々木代表)。

まさにその言葉どおり、焼き立てのパンや池田シェフの絶品料理の香りに包まれ、温かな接客に癒されて、知らず知らず元気をもらえること間違いなしの店だ。


【メニュー】
モーニング
モーニングセット 600円~
南平台ブレッド 600円
塩ブラン 160円
カレーパン 250円
塩バターコーン 200円
ランチ
デリランチ 1,500円~
グラスワイン 500円
ディナー
ディナーコース 2,980円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

7clover

住所
〒150-0036 東京都渋谷区南平台町12-8 +F.Square1F
電話番号
03-3770-7777
営業時間
7:30~22:00
定休日:お盆前後・年末年始を除き無休
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/jfk4bgry0000/
公式サイト
公式ページhttps://www.7clover.jp/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。