凄腕シェフが地元商店街に凱旋オープン!フレンチ好きがこぞって通う御徒町『ダウンタウン キュイジーヌ』
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- 1.新御徒町の商店街にオープンしたカジュアルフレンチ『Kotaro Hasegawa<DOWNTOWN CUISINE>』
2.シェフは「第16回ボキューズ・ドール国際料理コンクール」日本代表という凄腕
3.コスパが最強! こだわりのコース料理を、誰もが気軽に楽しめる5,000円から用意
偉大な料理人の名言「料理人よ故郷へ帰れ」に感銘を受け、地元で独立
「わたしがこれまでにもっとも感銘を受けた言葉は、フランス料理界の頂点とも評される『ラ・ピラミッド』のオーナーシェフであった偉大な料理人、フェルナン・ポワン氏の『料理人よ故郷へ帰れ』です。故郷に帰り、そこに暮らす人々に料理をふるまいなさいというメッセージに心打たれ、独立するなら生まれ育った場所に、と決めていました」。
そう語るのは、2019年4月、東京・新御徒町の佐竹商店街内にグランドオープンした『Kotaro Hasegawa<DOWNTOWN CUISINE>(コウタロウ ハセガワ ダウンタウン キュイジーヌ)』のオーナーシェフ、長谷川幸太郎さん。フレンチだけれども、地元のみんなに親しまれる店にしたいという思いから、自身の名前の頭文字と気取らず食事を楽しめる下町の雰囲気を店名に込めたという。
2007年「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」で日本人初の入賞を果たす
長谷川さんが料理の道を歩み始めたのは16歳のとき。病床の母親に代わって小学生のころから台所に立ち、運動会などのお弁当も自ら用意していた。ほどなくして母親が他界したのは高校受験の真っただ中。長谷川さんは受験会場に足を運ぶことなく「手に職を」と調理専門学校へ進むことを決意した。
基礎をみっちりと学んだ後、舞浜「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」でパティシエデビュー。その後、同ホテル内メインダイニングレストラン『ザ・サミット』をはじめとする数軒のフランス料理店での料理人経験を経て26歳で渡仏すると、南仏モンペリエの『ミシュランガイド』常連店『ル・ジャルダン・デ・サンス』をはじめとする数々のレストランで研鑽を積むことに。
帰国後は、『ル・ジャルダン・デ・サンス』の東京支店『サンス・エ・サヴール』の料理長に就任。2007年には、フランス・リヨンで開催された「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」に日本代表として出場するまでの腕前となっていた。
「代表選出のための大会のテーマが、『日本文化を世界に発信』でした。そこでまずは、和を意識して漆器を模した赤と黒のコントラストが美しい特注の器を注文して、その器に合わせて料理を盛り付けることを考えました。調味料も日本のもの。寒天を使ったあたたかい鶏だしゼリーに醤油を加えたり、鶏の手羽の上にパン粉的要素として味噌を混ぜ込んだり。その結果、世界大会でも、日本人で初めて6位に入賞させていただき、そのときから、自分の料理に対するテーマが『フレンチを通して、日本の食のすばらしさも多くの人に伝えたい』に変わりました」。
さらにその後、『ラ・フェット ひらまつ』料理長としての研鑽を積む中でも、フレンチでありながら和の食材や調味料を絶妙に取り入れたやさしい味わいを追求していった。
生産者のもとへ自ら足を運んで日本各地のおいしいものを厳選
気になる食材があると生産者のもとへと足を運ぶというが、店の壁は、長谷川さん自らが撮影した生産者たちのコラージュ写真に彩られている。額は8枚だが、実は数えきれないほどの写真を保持しているそうで、定期的に中身は入れ替えているんだとか。
また、内装にも和の要素を取り入れた。おが屑の入った和紙の壁や無垢材のテーブルを取り入れ、食卓には、切子のグラスや奥出雲の名匠が手掛けた煤竹(すすたけ:すすけて色が赤黒くなった竹)の箸まで用意している。
もちろん、ナイフとフォークの用意もあるが、「箸でパクっと食べられるほうが安心感を持てるから」と長谷川さん。肩ひじ張らずに食事を楽しんでもらうための心配りが感じられる。
和をイメージしたアミューズからスタート
同店のメニューはコースのみ。品数に応じて3種類を用意しているが、魚料理と肉料理をすべてのコースで楽しめるのがうれしい。
一品目に登場するアミューズは、サワークリームを詰め込んだじゃがいものスフレに、オシェトラのキャビア(中型のシップチョウザメからとれる中粒サイズのもの)をトッピングした愛らしい一品「じゃがいものフォンダン」(写真上)。
バターと鶏のだしで炊いた北海道産のじゃいがいも・キタアカリは、ほくほくとした食感で甘みが強く、キャビアと相性抜群だ。2016年「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」アジア大会において付け合わせとして出したもので、江戸末期に作られた器と合わせることで和をクロスさせる演出も心憎い。
フリットなのにクリーミーで爽やかな風味
和歌山産足赤エビをホタテのムースで挟み、大葉とともにパートブリック(クレープ状の皮)に包んで揚げた「足赤エビのフリット」(写真上)は、有田焼の器にのって登場。
エビに火が入りすぎないようさっと揚げているため、ホタテのムースの食感が損なわれずクリーミーで、オレンジを煮詰めたコンサントレ(濃縮ピューレ)のアクセントで爽やかな風味も満喫できる。
足赤エビは尻尾の先までサックリと揚げているので、端っこまで存分に楽しんでほしい。
食す前のお披露目。見て楽しませるパフォーマンス
次になにやら可愛いらしい姿をしたものが登場。
新ワカメを土台に敷いたパン生地と岩塩でタケノコを包み、オーブンで焼くことによって、タケノコに磯の香りと塩分をゆっくりと移すことができるのだとか。
この状態で一度テーブルまで運んでお披露目された後、調理場から二度目に登場するのは、カットされたタケノコとともに、ホワイトアスパラガス、生ハムが盛りつけられた粋な一皿だ。
「ホワイトアスパラガスのロースト タケノコのロースト ベアルネーズソース」(写真上)。ローストされたホワイトアスパラガスにはベアルネーズソース(バター、エシャロット、卵黄、エストラゴンやセルフィーユの葉などを煮詰めて作るソース)がたっぷりとトッピングされ、見た目にも華やか。
生ハムは、長野県高山村のワイン「シャトー・メルシャン 長野シャルドネ キュヴェ・アキオ」で知られる佐藤明夫氏が、ブドウ栽培の傍ら4年前の2015年から作っているもの。なめらかで薫り高い生ハムは、単独ではもちろん、タケノコとのマリアージュを楽しむのもまたいい。ワインもどんどん進みそうだ。
3日間煮込んだやわらかな牛タンはラビオリやゆり根とも相性よし
滋賀県近江の牧場から直接仕入れた牛タンをじっくり煮込んだものを、ラビオリに被せた肉料理「牛タンのポルトと赤ワイン煮込み ラヴィオリジビエと共に」(写真上)は、赤ワインと赤ポルト酒を煮込んだフォン・ド・ボーのまろやかな舌触りと肉のやわらかな食感にうならされる一品。牛タンの煮込み時間には3日ほど費やしている。
牛タンの仕入れ先である『大吉商店』の堆肥は近隣の農家で使われているそうで、そこから仕入れた野菜を同じプレートに載せることで、「同じ大地の組み合わせ」を実現している点も長谷川さんが大事にするこだわりだ。
ゆり根は、北海道の「月光」を使用。ほくほくして甘みが強く、口に運ぶたびに幸せな気分に浸れるこのゆり根、北海道でも2つの農園でしか栽培されていないのだとか。また、ラビオリには牛の頬肉やイノシシの肉を取り入れており、ジューシーでうまみたっぷりだ。
地元のみんなに、全国各地のおいしいもの、フレンチのよさを知ってほしい
「グジ(甘鯛)は福井、アワビは徳島、オリーブオイルは香川と、全国各地の生産者さんにお世話になっています」と長谷川さん。長崎県五島列島や青森県大湊の牡蠣など、その時期においしい牡蠣を使ったスペシャリテ「近江牛と牡蠣のタルタル仕立て」や大阪の河内鴨を使ったメニューも自慢の一品だ。
また、ワインも食材同様、良質な生産者を探して購入している。チリやアルゼンチンはもちろん、アルザス、南フランス、ラングドッグからも仕入れているので、いろんな国の味を試してみたくなる。
食材をふんだんに使ったコース料理は5,000円から設定。その理由を長谷川さんは、「普段フレンチを食べに行く機会が少ない人にも、気軽に来店してフレンチのよさを知ってほしい」と話す。「ローカルな雰囲気の中で食事して、軽く酔っぱらって帰っていってくれたらうれしいですね」。
フェルナン・ポワン氏の思想を体現した長谷川さんの店は、地元の人々のあたたかい笑顔でいっぱい。家族とともに来店してこの店でフレンチのトリコになった少年が、いつの日か第二の『DOWNTOWN CUISINE』をオープンする日が来るかもしれない。
【メニュー】
コースは5,000円、8,000円、10,000円
シャンパン グラス=1,000~1,500円、ボトル=5,000~10,000円
白 グラス=800円~、ボトル=3,800円~
赤 グラス=800円~、ボトル=3,800円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、サービス料なし、価格はすべて税別です
Kotaro Hasegawa Downtown cuisine
- 電話番号
-
050-5487-8017
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
-
18:00~23:00
(L.O.20:30)
定休日:日曜日
祝日
不定休有り
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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