【荒木町】究極の「とんかつ」が味わうならここだ! 伝説のとんかつ店『車力門ちゃわんぶ』
荒木町には食通が好むレストランが集まっています。本格日本料理や割烹、ビストロやイタリアン、そして中華やバーまでグルメなお店ばかりです。その中でも、とんかつ店『車力門 ちゃわんぶ』は超話題の店。とんかつの技法を余すところなく生かした究極のとんかつは肉ラバーでなくても必食の味! 一度食べたらその味は忘れられないかも⁈
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四谷三丁目・車力門通り。“あの店”に再びのれんがかかった!
東京・四谷三丁目駅からほど近い荒木町エリアは、和食から焼肉、ラーメンやバーまで、根強い人気を誇る飲食店が密集する、都内でも屈指のグルメスポットだ。
そんな荒木町エリアでも1位、2位を争う人気店で、遠方から通う人もいた日本料理店『車力門 ちゃわんぶ』が惜しまれながらも閉店したのは数年前ほど。
店主の武澤剛志さんは同門・京味の兄弟弟子である黒木純氏が店主を務める、東京・大門にある日本料理店『くろぎ』で再び腕を振るい、『ちゃわんぶ』ファンはそちらで武澤さんの新しい味を楽しんでいたのだが……。
2019年5月7日、なんと荒木町の車力門通りに見覚えのあるのれんが再びかかったのである。
『ちゃわんぶ』でも『くろぎ』でも武澤さんの揚げ物は大人気!
最初に、『車力門 ちゃわんぶ』と揚げ物の関係を説明しよう。
今までもコースの一品として、常連客からも人気の高かった“牛カツ”など肉類の揚げ物。これは『くろぎ』でも提供されることがあり、今なお非常に人気がある武澤さんのスペシャリテのひとつ。
そんな武澤さんが、あるとき山形県の銘柄豚である「米沢三元豚」という豚肉に出逢う。「この豚肉を一番おいしく食べるための料理、それが“とんかつ”だったんです」と力強い声で答えてくれたのは、この懐かしいカウンターに立つ武澤さん(写真上・左)。
「このおいしさを伝えようと、『車力門 ちゃわんぶ』を再開させました」(武澤さん)。
驚くほど厚く切った豚肉のうまみをストレートに閉じ込めて揚げる!
その米沢三元豚がこちら(写真下)。
キメが細かく、つややかでしっとりとした身! 見た目でその質のほどがわかる美しさだ。この米沢三元豚を惜しみなく、厚切りにカットする。
ポークソテーでもなかなか見ないようなこの厚み! なんと一人前で約300gもある。しかも、毎回オーダーが入ってからカットし、揚げたてを提供する。ランチでこの贅沢! 説明を聞いているだけでお腹が空いてくる。
ふと、調理している手元を見ていると、筋切りをしている様子がない。その理由を伺うと、「筋切りは、肉の反り返りや口当たりをよくするために行う下処理。うちのとんかつは厚みがあるので、縮んだり反り返りもないんです。肉質がいいので筋を感じない。なので、肉にかじりつく歯ごたえの楽しさとうまみを感じてもらおうと、そのままで揚げています」(武澤さん)。
国民的メニューのとんかつだが、食べる前から驚きの連続! 次の工程にもさまざまな秘密がある。
まず、肉をカットしたあとの下味。塩コショウという先入観があったが、ここ『車力門 ちゃわんぶ』では塩のみ。
米沢三元豚はくさみがないので、スパイスでくさみを消す必要がない。
そして、薄く、まんべんなくはたいている粉は片栗粉。そして卵液にくぐらせ、パン粉で仕上げる。「合わせの衣を使うお店も多いですが、それだとせっかくの肉が衣で重くなってしまいます。米沢三元豚という豚肉をダイレクトに感じてもらうために、薄衣で揚げています」(武澤さん)。
美しい桜色の断面に見惚れるとんかつの完成!
衣をつけた豚肉は低温から揚げて、じっくり約15分かけて均一に火を入れる。使っている油は米油。いろいろ試した結果米油にしたそうだ。揚げ上がるまで、じっくりと豚肉の面倒を見ている武澤さん。手間暇惜しまない様子がよくわかる。
さて、待望のとんかつが揚がった!
油切りをし、ザクッ、ザッっととんかつをカットする音がカウンター内に響く。
米沢三元豚のとんかつ、手切りのキャベツ、ご飯に味噌汁、漬物と、自家製ソースになんと特製カレーまででフルセット!
これが新生『車力門 ちゃわんぶ』のとんかつだ!
とんかつだけじゃない! 他の品々にもこだわりが満載
まず何もつけずそのまま、ひと口ガブリ!
実は、筆者は脂身が苦手なのだが、脂身というよりは肉の身に寄り添う甘みとコクという感覚。「うまいは甘い」という言葉を実感する味わいだ。
しかし、甘いだけじゃない。歯を入れる快感がすばらしい、ハリのある身質! さらにこのとんかつ、噛んでも衣だけはがれることがない。その秘密は下ごしらえの段階でしっかり豚肉の余計な水分を取り除くからだそうだ。
二切れ目は自家製ソースをたらりと。
肉の甘みをより引き立てる組み合わせ! これほどとんかつを引き立てる、自家製ソースもただ者ではない。ほんのり温かく、とんかつの熱を冷まさず、使い慣れたソースとはまったく違うのだ。
その秘密を武澤さんに問うと、「ソースが冷たくなると塩気、甘みが感じにくくなり、そのために過剰に味を加えないといけなくなる。しかも温かくすることで、酸味と香りがより引き立ち、食欲が増すんです」。
そしてこのソース、ほんのり和を感じるので醤油も入っているのかと思ったら、なんと塩味は福島県会津産の山塩だけ! この甘みとミネラル感のある山塩を使うことで、味に奥行きが出るのだとか。
また、鰹だしと昆布だしに3種類の麹味噌で仕上げた味噌汁もまた絶品。こちらは『車力門 ちゃわんぶ』の味でもない、『くろぎ』の味でもない、“ちゃわんぶのとんかつ”用に合わせて新しく作られたもの。固めに炊かれたご飯もまたとんかつと相性バッチリ! このご飯、カレーにもさぞや……。
さて、とんかつも後半戦、ここで武澤さんおすすめの“カツカレー”を試してみた。ご飯にとんかつを一切れ、そこにカレーとソース、卵黄!
数種類の野菜のすり流しとオリジナルで組み合わせた7種類のスパイス、和食の技法を生かした特製のカレーに、ソースのスパイスが加わると一層おいしい!
「うちのカレーはソースをよりおいしく食べるためのもの。組み合わせることでとんかつもご飯もおいしく、また卵黄を加えることで辛味が残らず、スッキリとした後味になると思います」という武澤さんの言葉に、この“日本的カレーの食べ方”もまた正解と思えた。
それほどにこのとんかつとソース、カレーも他の品も、すべてが相乗効果をなし、味を引き立て合っている。
まだまだ完成形ではないので、これからも研究と変化を惜しまないという武澤さん。『車力門 ちゃわんぶ』『くろぎ』――武澤さんの今までのすべてのキャリアが共鳴し、ここにしかない『ちゃわんぶのとんかつ』が完成した。
撮影:岡崎慶嗣
車力門 ちゃわんぶ
- 電話番号
- 03-3356-1680
- 営業時間
- 定休日:不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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