【特集】”イタリア料理”を正しく知ろう! 個性あふれる「イタリア郷土料理」の世界

特集:イタリア郷土料理
本特集では、"イタリア料理"を正しく理解するために、全20州の特徴や代表料理を総ざらい。「イタリア郷土料理」と題して、その奥深い世界を覗いてみよう。

dressing編集部

Summary
1.ピザやパスタだけじゃない! 個性あふれるイタリア郷土料理の世界【特集・イタリア郷土料理】
2.イタリアに“イタリア料理”はない!? イタリア20州の郷土料理を総ざらい!
3.本場イタリアの郷土料理は東京でも食べられる! 編集部おすすめの6店をご紹介

イタリア20州の郷土料理を総ざらい! イタリアの食文化を正しく知ろう

イタリア料理と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
大抵の人は、ピザやパスタなど、日本でお馴染みの”イタリア料理”を連想することだろう。確かにそれらはイタリアでも味わえるが、実は日本人のイメージする”イタリア料理”を網羅的に提供する店は現地には少ない。

その細長い地形からも分かるように、土地ごとに環境が異なるため、採れる食材やそれらを生かす調理法も異なってくるのだ。

本特集では、そんなイタリア料理を正しく捉えるために、イタリアを構成する全20州の特徴や郷土料理を総ざらいし、その奥深い世界を覗いてみたい。

目次
■イタリア郷土料理ってなに? 食文化を簡単に知ろう
■どこまで分かる? 全20州の特徴や郷土料理を一挙解説
■東京で味わえる、編集部おすすめの「イタリア郷土料理店」6選

■イタリア郷土料理ってなに? 食文化を簡単に知ろう

イタリアは南北に長く、「一年中温和な海洋気候」「冬は寒さが厳しく夏も涼しい山岳気候」「それ以外の丘陵・平野気候」という3つの全く異なる気候がモザイクのように入り組んでいる。

このような変化に富んだ気候風土が、多彩な食材と独特の調理法を生み出し、その土地でしか食べられていない”郷土料理”を数えきれないほど誕生させた。

それが、“イタリアにイタリア料理はない”と言われる所以で、ピザやパスタ、ティラミスなど、我々がイメージする“イタリア料理”の多くは、その郷土料理のひとつに過ぎない。

料理も多彩なら、飲食店のスタイルも多様なのがイタリア。例えば、コース料理中心で予約が必要な高級店を「リストランテ」と呼び、それよりカジュアルで小規模なお店を「トラットリア」、旅館の食堂がルーツの庶民的な居酒屋を「オステリア」と呼ぶ。

さらに細かく見ると、ピッツア専門店を「ピッツェリア」、スパゲッティ専門店を「スパゲッテリア」、軽食堂やセルフサービスの食堂を「ターヴォラ・カルダ」、食事もできるカフェを「バール」と呼ぶのは周知のとおりだ。

各地の郷土料理は、どうやって育まれてきた?

北には万年雪を頂くアルプス山脈が高々とそびえ、南の島の対岸はもうアフリカ大陸というイタリア。北部と南部を見ると、同じ国の料理と思えないほど大きな違いがある。

山間部が多く酪農が盛んな北部では、伝統的にバターやクリームが料理のベースとなっており、煮込み料理が多い。これに対してオリーブ栽培が盛んな中部から南部では、オリーブオイルが料理の基本となっており、いろいろな料理にトマトをたっぷりと使う。

また北部では、軟質小麦を使った生パスタが多く、南部では硬質のセモリナ粉を使った乾燥パスタが主流であることも大きな違い。
世界的に「イタリア料理といえばトマトとオリーブオイル」というイメージが強いが、それはイタリア南部のスタイルを指しているのだ。

またイタリアは、1861年に統一されるまでは小さな都市国家の集まりだったため、さまざまな国の食文化が各地で根付き、独特の発展をとげた。

北部では隣接するフランスやオーストリア、スイスなどの影響を強く受けている。一方、地中海の中心に位置し、古代ギリシャ時代からさまざまな国に征服されてきた南部の島の郷土料理は、ギリシャ、スペイン、アラブ、北アフリカの影響を受けている。

郷土料理は、その地方がたどってきた歴史と密接に結びついており、それゆえ人々の愛着も深い。「イタリア人は『自分の土地の料理が一番おいしい』という意識がとても強い」と言われるのはそのためだ。

■どこまで分かる? 全20州の特徴や郷土料理を一挙解説

それでは、具体的に州ごとの特徴や代表料理をご紹介しよう。

1.ヴァッレ・ダオスタ州

20州中最も小さな州で、そのほとんどが山岳地帯。フランスと接しているため、料理もフランスの影響を多分に受けている。味付けの基本はバターや精製ラードなどの動物性油脂。パスタは一般的ではなく、スープ類やポレンタ(コーンミールをお粥状に煮たもの)がそれに代わって食べられている。高原の野草で育つ乳牛の、脂肪分の多いミルクから作られるクリーミーなチーズ「フォンティーナ」が特産物で、いろいろな料理に使われている。

・州都
アオスタ
・主な料理
ポレンタ・コンチャ(フォンティーナとポレンタを交互に重ねて熱した料理)、ヴァルペッリーネ風スープ(硬くなったパンを入れたスープ)、チーズフォンデュ

2.ピエモンテ州

州名の由来である「山のふもと」が示すように山の幸が豊かで、スローフード運動発祥の地。白トリュフ、ポルチーニなどのキノコ類やジビエも豊富で、特にアルバ周辺は質の高い白トリュフの産地としてよく知られている。州都トリノには多数のチョコレート工房があり、パンなどに付けるイタリア人大好物のペースト「ヌテッラ」もこの街で生まれた。焼き菓子の種類の多さは全州でもトップレベル。イタリアきっての名ワインといわれる「バローロ」の生産地としても有名。

・州都
トリノ
・主な料理
トンナート(仔牛のツナソース)、バーニャカウダ、アニョロッティ(詰め物をしたパスタ)、ボリート・ミスト(いろいろな肉の煮込み)

3.リグーリア州

イタリア最大の貿易港であるジェノヴァ港があり、食文化でもスペイン、ギリシャ、シチリアなどの影響を受けている。位置的には北部だが、周囲の山々が冷たい空気をさえぎっているため温暖な気候に恵まれていて、ワインやオリーブ生産も盛ん。バジリコも特産物で、世界的に親しまれているバジリコソース(ペスト・ジェノヴェーゼ)は、州都であるジェノヴァの発祥。ドルチェでは、代々フルーツの砂糖漬けの技術が受け継がれている。

・州都
ジェノヴァ
・主な料理
パスタ・ジェノヴェーゼ、ブイヤベース、コルツェッティ(8の字型の手打ちパスタ)、ファリナータ(ヒヨコ豆の粉で作るパン)

4.ロンバルディア州

州都ミラノはイタリアにおけるビジネスの中心地で、流行の発信地。料理は地域それぞれに個性があり、ミラノ料理はとろ火で煮込む料理、北部は寒さに耐えられるよう乳製品やバターを使うこってりした料理、南部のマントヴァ県、クレモーナ県は塩味に甘みを加えた宮廷料理の流れが残っている。米作地帯もあり、リゾットもよく食べられている。海に面していないが豊かな水量の湖が多く、淡水魚が食材として多用されている。

・州都
ミラノ
・主な料理
オッソブーコ(仔牛の骨付き肉の煮込み)、ミラノ風カツレツ、ミラノ風ミネストローネ、パネットーネ(ミラノ発祥のクリスマスケーキ)

5.ヴェネト州

栄華を極めたヴェネツィア共和国だった歴史を感じさせる、オリエンタルなスパイス使いの料理が多い。また、食卓にはポレンタが欠かせない。州都である“水の都”ヴェネツィアは観光都市としても有名で、多彩なチケッティ(おつまみ)が並ぶ伝統的居酒屋「バーカロ」が人気を集めている。今や世界中で愛されるティラミス発祥の地でもある。

・州都
ヴェネツア
・主な料理
ポレンタ料理、仔牛レバーのヴェネツィア風、リージエビージ(グリンピース入りリゾット)、ティラミス

6.トレンティーノ=アルト・アディジェ州

20州中、最も北に位置し、ほぼ全域が山岳地帯。山間部では、良質なリンゴやブドウが生産されている。オーストリア、スイスに接している北側は、ドイツの食文化の影響が強く、キャベツを使った料理やスペッツリ(ドイツの麺料理)などがよく食べられ、豚のモモ肉で作るスモークをかけた生ハム「スペック」が、さまざまな食シーンで登場する。南側は250種類以上ともいわれる多彩なキノコを、さまざまなポレンタ料理や米、パスタ、肉料理に使用する。

・州都
トレント
・主な料理
そば粉やジャガイモなどを使ったポレンタ料理、カネーデルリ(パンを球状に丸めた団子)、スペッツリ、大麦のスープ

7.フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州

オーストリア、スロヴェニアと国境を接している、北部イタリア最東端の州。さまざまな民族の侵入を受けてきた歴史が料理に色濃く残っており、クミンなどのスパイス使いはスラブ系、パプリカが主役の煮込み料理である「グーラッシュ」はハンガリー系、ガチョウの加工品はユダヤ系などからの影響を受けている。基本的に使用される食材は肉、乳製品、豆類で、アグロドルチェと呼ばれる甘酸っぱい味付けが好まれている。特産物である生ハムと白ワインの評価は非常に高い。

・州都
トリエステ
・主な料理
グーラッシュ、ヨータ(豆、豚の脂などのスープ)、フリコ(チーズを焼いたもの)、カボチャのニョッキ

8.エミリア・ロマーニャ州

イタリア半島の付け根部分にあり、古くから知られるイタリア屈指の美食の州。“手打ちパスタの本場”と言われ、特に詰め物をしたパスタの種類が豊富。日本でもおなじみのミートソースのパスタは州都ボローニャが発祥だ。全体的にはどっしりと重厚な味わいの料理が多いが、アドリア海に面したロマーニャ地方では魚介料理も食べられている。エミリア地方のパルマは、生ハムやパルミジャーノ・レッジャーノの生産地として世界的に知られており、モデナは良質なバルサミコ酢の生産地として名高い。

・州都
ボローニャ
・主な料理
ボロネーゼパスタ、ラザーニャ(ラザニア)、ウナギ料理、トルテリーニ(詰め物をした指輪型のパスタ)

9.トスカーナ州

州都フィレンツェはルネッサンス文化発祥の地であり、宮廷料理の伝統も残っているが、焼くだけ・揚げるだけといった、潔いほどシンプルな農家料理が主流。それを支えているのは、特産物であらゆる料理に使われるオリーブオイルと香草だ。また“マンジャ・ファジョーリ(豆喰らい)” と呼ばれるほど豆料理をよく食べる。イタリア屈指のブランド牛「キアナ牛」の産地で、山岳地方では羊の乳から作るチーズ、南部の海沿いの県では高級食材ボッタルガ(からすみ)が特産物。

・州都
フィレンツェ
・主な料理
タリアータ(焼肉の薄切り)、ファッロ(古代小麦)のサラダ、ガラバッチャ(フィレンツェ風オニオンスープ)、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風ステーキ)

10.ウンブリア州

イタリア中南部で唯一海に面しておらず、「緑のハート」とも言われるほど森が多い州。2大食材といわれる黒トリュフとオリーブオイルは高品質なことで名高い。料理は、肉の炭火焼きのように農家の食卓を思わせる素朴なものが多い。農家では昔から黒豚を飼い、すべての部位を余すところなく利用し、保存する技術にも長けている。特に州東部の街・ノルチャは紀元前から生ハムを生産し、その技術を世界中に広めたことで知られている。

・州都
ペルージャ
・主な料理
ポルケッタ(豚の丸焼き)、ブルスケッタ(ガーリックトースト)、ウンブリチェッリ(丸麺のパスタ)、トリュフのオムレツ

11.マルケ州

イタリア半島のふくらはぎ部分に当たる小さな州で、海の幸・山の幸双方に恵まれている。アドリア海に面した地域では漁業が盛んで、新鮮な魚介を使ったシンプルな揚げものやグリル料理がよく食べられている。特に「ブロデット」という魚介のスープが名物で、14種類以上の魚が入ることもある。山側はピエモンテ州に次ぐトリュフの産地。丘の牧草地帯では羊の飼育が盛んで、さまざまなタイプのペコリーノチーズ(羊乳のチーズ)が作られている。

・州都
アンコーナ
・主な料理
ブロデット(魚介のスープ)、オリーヴェ・アスコラーナ(オリーブの肉詰めフライ)、ムール貝のスープ、豚肉料理、子羊料理

12.ラツィオ州

首都ローマは大都会だが、固有の伝統を頑なに守る傾向が強く、農民や羊飼いたちが好んだ塩味の強い料理が今も作られ続けている。またローマでは昔から「木曜日はニョッキ」「金曜日はバッカラ(塩干鱈)」「土曜日はトリッパ」を食べる習慣があり、飲食店でも木曜日はニョッキを出す店が多い。世界的によく知られているパスタ料理「カルボナーラ」は、ローマの伝統料理。「冬野菜の王様」と言われるローマの伝統野菜プンタレッラのサラダも人気。

・州都
ローマ
・主な料理
カルボナーラ、アマトリチャーナ(ベーコン、トマト、トウガラシなどのパスタ)、プンタレッラのサラダ、牛テールの煮込み

13.アブルッツォ州

アドリア海に面した温暖な丘陵地帯と、寒さが厳しく地形が険しい山岳地帯に分かれ、海沿いでは新鮮な魚介料理が親しまれているが、一歩内陸に入ると肉・野菜料理に一変する。肉料理には羊肉が多く使われるが、これはその昔、南イタリアの羊飼いが、夏にアブルッツォまで移動してきて山で放牧していたことの名残り。野菜や穀物の栽培も盛んで、料理の味付けには唐辛子が好まれる。

・州都
ラクイラ
・主な料理
ラム肉の串焼き、仔羊の内臓料理、マッケローニ アッラ キタッラ(ギターの線のような道具でカットするロングパスタ)、アブルッツォ風クレープ

14.モリーゼ州

アドリア海に面するイタリア中東部の州。素材そのものの味を大切にしたシンプルで濃厚な味わいがモリーゼ料理の特徴だが、50年ほど前までアブルッツォ州と一つの州(アブルッツォ エ モリーゼ州)だったため、アブルッツォ州の料理の影響が今も色濃く残っている。海はあるが水揚げ量はそれほど多くなく、主産物は特色あるチーズや肉加工品。春になると、野原に自生するイラクサを使ったスープがよく食べられる。

・州都
カンポバッソ
・主な料理
イラクサのスープ、カルチョーニ(リコッタチーズ、生ハムなどを詰めて揚げたパスタ)、唐辛子を効かせたサラミ

15.カンパニア州

有名な「青の洞窟」「アマルフィ海岸」等を抱えるリゾート地。古代ローマ時代から首都ローマに野菜などの食材を提供してきた長い農耕の歴史があり、中でもトマトの栽培が盛ん。水牛のモッツァレッラチーズ、リモンチェッロ(レモンベースのリキュール)も特産品。伝統的に上質の乾燥パスタが作られていて、エミリア=ロマーニャ州の手打ちパスタと並ぶ”パスタの双璧”と称されている。州都のナポリは庶民グルメの街で、ピッツァに代表されるファストフードも非常に充実しており、菓子屋にはイタリアを代表するドルチェが多数並んでいる。

・州都
ナポリ
・主な料理
ピッツァ・マルゲリータ、揚げピッツア、インサラータ・カプレーゼ、ババ(ラム酒風味のシロップをしみ込ませたケーキ)、リモンチェッロ

16.プーリア州

イタリア半島のかかと部分にあたる。オリーブオイルは国内生産量の30%以上を占めている。アドリア海とイオニア海から揚がる魚介類も豊富で、タコやイカもよく食べられる。魚介類の生食にもなじみがあり、暖かくなると海沿いには獲れたてのウニや貝類を生で提供する屋台が並ぶ。また多彩な豆料理など、近隣の地中海沿岸諸国の影響を受けた料理も多い。パスタは耳たぶ型のオレッキエッテが有名で、パンの種類も多い。

・州都
バーリ
・主な料理
オレッキエッテ、ランパッショーニ(小タマネギの一種)のオーブン焼き、ソラマメのピュレとチコリ、プーリア風フォカッチャ

17.バジリカータ州

イタリア半島の土踏まず部分に位置する小さな州。天然の洞窟で熟成させたチーズや、日本でも人気のひょうたん型のチーズ・カチョカヴァッロなど独特なチーズが多く作られている。またサルシッチャ(イタリアンソーセージ)発祥の地ともいわれ、古くからの伝統的な製法が伝えられている。食文化は近隣の州の影響を強く受けているが、全体的には昔から伝わる簡素な料理が多い。

・州都
ポテンツァ
・主な料理
子羊または子ヤギ肉のグリル、サルシッチャ(イタリアンソーセージ)料理、カルツォンチーニ(半月型の甘いピザ)

18.カラブリア州

イタリア半島のつま先部分にあたり、海にも山にも恵まれた州。イタリア人は総じて辛い味が苦手だが、カラブリア州ではペペロンチーノ(唐辛子)やスパイスのきいた料理が一般的で、栽培されているペペロンチーノの種類も多い。平地が少なく大規模な農業は難しいが、柑橘類の栽培は盛んで、特にベルガモットの産地として有名。オリーブオイルの生産量はプーリア州とトップ争いをするほど多い。海に囲まれているためイワシやマグロ、生シラスもよく食べられる。

・州都
カタンザーロ
・主な料理
シラスやカタクチイワシの唐辛子漬け、ンドゥイア(唐辛子を練りこんだペースト状のサラミ)、カラブリア風ラザーニャ

19.シチリア州

太陽の恵みを浴びた柑橘類、オリーブなどが豊富な島。古代からさまざまな国に征服されてきた影響が料理にも色濃く残されている。オリーブやオレガノ、バジリコ、ワイン造りはギリシャから、ナスやトマトなどはスペインから、スパイスやボッタルガ(カラスミの一種)作り、ドルチェの技術はアラブから、クスクスが北アフリカから伝わっている。地中海で獲れるカジキマグロやイワシ、ウニなどの海の幸も豊富で、温暖な気候のため農作物にも恵まれており、多彩な料理がある。

・州都
パレルモ
・主な料理
カポナータ(野菜の煮込み)、クスクス料理、イワシ入りパスタ、カンノーリ(筒状にして焼いたパイ)

20.サルデーニャ州

地中海で2番目に大きい島であり、歴史的に多くの国から侵略を受けたため、本州とは異なる独特の食文化が根付いている。海に囲まれているが内陸では放牧が盛んで、「羊飼いの島」の異名もあり、郷土料理の中心は仔羊や仔山羊、仔豚を使った羊飼いの料理。名物の、紙のように薄いパン「パーネ・カラザウ」はその昔、羊飼いが小さく折りたたんで持ち運び、食べる時に広げて皿としても使用した名残りである。特産物は羊乳で作るペコリーノチーズ、オリーブオイル、ワインなど。ワイン用のコルクも特産物のひとつ。

・州都
カリアリ
・主な料理
ボッタルガのパスタ、仔豚の串焼き、ムール貝料理、セアダス(チーズ入りのラビオリを揚げハチミツをかけたデザート)

■東京で味わえる、編集部おすすめの「イタリア郷土店」6選

20州の簡単なご紹介、いかがだっただろうか。同じイタリアと言えども、州が違えば食の特徴も大きく変わることが理解いただけただろう。自分の好みや興味に合わせて、ぜひ郷土料理を食べてみてほしい。

もちろん、東京には様々な州の郷土料理を楽しめる店がたくさんある。以下にて、dresing編集部がおすすめするイタリア郷土料理店をご紹介しよう。

▼参考文献
・『イタリアの地方料理――北から南まで 20州280品の料理』柴田書店 編
・『ちょっとオタクなイタリア料理』パンツェッタ貴久子(著)/光文社
・イタリア政府観光局(ENIT)公式サイト http://visitaly.jp/