ワインイベント「SAYS DAYS」はフリーフロー、土産付き! 激レア「ワイン」を大自然で味わおう
みんな大好き「お酒」だけれど、もっと大人の飲み方をしたいあなた。文化や知識や選び方を知れば、お酒は一層おいしくなります。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエによる「お酒の向こう側の物語」
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- 1.ワインナビゲーターがイチ押し! 秋のワインイベント「SAYS DAYS」
2.富山のワイナリー『SAYS FARM』の物語
3.充実の2日間!「SAYS DAYS」は10月13日~14日開催
秋のワインイベント「SAYS DAYS」に行こう!
10月、11月は日本各地でワイナリーイベントや収穫祭、新酒祭りが催される。これが近年盛り上がりを見せ、イベントによっては早々にソールドアウトとなることもある。これは日本ワインへの認知、関心の広がりという嬉しい背景があるが、それぞれのイベントが持つ趣向を凝らした楽しさもまた人気につながっているのだろう。いち早く新酒が飲めたり、地元の食材とのコラボ、生産者との語らい、畑の中でのジャズやクラシックのライブなどワイナリーに行くからこその面白みがある。
そしてなにより秋といえば昔から変わらず行楽、レジャーのシーズン。青空と自然の中で、家族や気の置けない友人たちと飲むワインは格別だ。オーストラリアのバーベキュー、欧州のガーデン、ワインには緑と青が似合う。ということでワイナリーイベントの楽しさ、楽しみ方を、あるワイナリーのイベントを通して紹介しよう。
2019年10月13日(金)~14日(土)の2日間開催される、富山県氷見市のワイナリー『SAYS FARM』の収穫祭&感謝祭「SAYS DAYS」だ。
富山・氷見のワイナリー『SAYS FARM』の物語
まず、『SAYS FARM』とそのワインについて紹介しておこう。こちらのワイナリーは氷見の丘の上に2008年に設立。初ヴィンテージはそれから5年を経てリリース。しかし寒ブリで有名な場所、つまりは極寒、荒れた海風、湿気の多さ、なによりブドウの話なんか聞いたこともない。ワインなんかできるのか? という風評が先行する。始めたばかりでそもそも数量が造れないため口にする人も少なく、イメージだけで語られてしまった数年があった。
それが口コミやスタイリッシュなWEBサイトも手伝って次第に評判を呼び、評価は急上昇。数々のアワードでも賞を獲得し、近年では人気の高まりとともに入手困難に。もともと人気だったシャルドネに続きアルバリーニョの評価も高まっている。
この『SAYS FARM』の成り立ちが映画にでもなりそうな物語。以前、こんな紹介を書かせてもらった。
~SAYS FARMの母体は氷見を代表する魚卸問屋。その名門の当主として会社を引っ張る兄弟がいた。創業者はこの名門の次男・釣 誠二(つり・せいじ)さん。「世界にひとつだけの場所を創る」。海で有名な氷見だが、自然豊かな田畑も丘もある。そこで氷見らしい新たな場所を創り、そこから世界に何かを発信したい。そのひとつがワインだった。荒れ果て、うっそうとした雑木林でしかなかった丘を、自分たちだけで切り拓き、水道を引いた。数年をそれだけに費やし、2008年、ようやく小さな灯りを灯す。しかし、最初のヴィンテージは間に合わなかった。2011年、誠二さんはこの地で生まれるはずのワインを一滴も飲むことなく病に倒れた。最初は無謀な夢に反対していた長男・吉範(よしのり)さんだが、弟の信念、そしてこれについてきてくれたメンバーのために自らこの無謀を実現する決意を固める~
『SAYS DAYS』は、吉範さんを中心に、一緒に作り上げてきたメンバーの物語と想いを表明する場でもある。
もう一つのエピソード。この収穫祭、最初は地元やかかわりのある人たちだけの内輪の企画「樽買いプロジェクト」から始まったものだ。まだ評価の定まらないワイナリーだが、品質は間違いない。この地の誇りにできる。そう確信した人たちが、今でいうクラウドファンディング的な発想で1樽を購入。その樽から生まれたワインを支援した人たちがこの場で飲んで祝う、というものだった。それを発展させ、より多くの人たちに、実際にこの場所に来て、風と景色と一緒に味わっていただく。それが収穫祭のはじまり。熱心なファンの力もこのイベントには生きている。
フリーフロー、土産付き、名店ぞろいの「SAYS DAYS」
さて、どんなイベントか紹介していこう。2019年の5周年も、前年までと基本的なフレームは変わらない。“Day1”と呼ばれる初日は「プレミアムデー」。完全事前予約で2万円超えと一見敷居が高いように感じるが、内容がすごい。
丘の上で約6時間、希少な『SAYS FARM』のワインのラインナップからこの日選ばれたアイテムがフリーフロー。「ここで飲んでいただきたい」。その想いがあるからこそ、2日間に多くのワインが投入される。さらにお土産のお持ち帰りワインがつくというのだから豪華だ。
合わせるフードもまた素晴らしい。富山の名だたるレストラン、和食店がそれぞれのスペシャリテを持ち寄った料理でコラボレーションコースを作る。それを緑の丘の上で野点(のだて)的に味わえる。2年先まで予約で埋まる店まであり、この日は富山で接待はできなくなるんじゃないかと言われるぐらいの名店揃いだ。
アクティビティも充実。普段一般には解放していない醸造所のツアーやミュージックライブが用意されている。実力派ミュージシャンたちが音楽でも酔わせてくれる。またこの日は、金沢、高岡、富山からの送迎も用意されている。そこを拠点にしておけば手ぶらで気軽にアクセスできるのはうれしい。富山、石川はもちろん、関東や関西からもワインファン、食通、著名人が集う。ピースフルな中にも、上質なリゾートステイ的な喜びがある。
実力派アーティストたちのミュージックライブも!
2日目は一転、のんびりムード。コンセプトは、地元・氷見の皆さんへの感謝。海の男たちが陸に上がって何をしているのか? 不安と疑問にワインの高い評価、素敵な丘を作り注目を集めることで応えてきた。
この日は実際に丘に上がってきていただき、素晴らしい氷見の海と街を見下ろす。うまいワインの時間を家族とともに過ごしていただく。そして氷見がどれだけ素晴らしい街かを、市外、県外からきて幸せそうに過ごす人たちと交流して改めて感じていただく。だからこの日は入園無料。初日同様、希少なワインたちをキャッシュオンで好きなように楽しんでもらう。グラスで、仲間が集まればボトルで。テーブルやベンチにつくのもいいけれど、芝生に寝そべって飲んでもいい。
フードも初日から一転。地元氷見のカジュアルな店を中心に富山、金沢や大阪から行列のできるB級グルメ店やこだわりのパン屋など、安価でうまいものが揃う。そしてミュージックライブは、ご本人も毎年この場を楽しんでいる「ホフディラン」の小宮山雄飛さんが登場。普段は交通手段的にハードルが高い場所だが、氷見駅からのシャトルバスがあるので気軽。その日のうちに首都圏や関西圏まで帰ることも可能だ。
氷見の人は気軽に丘の上に上がる。するとそこには市内のうまいものもあれば普段は知らない県外の美味にも出逢える。そのうえ、県外からここを求めてくる人たちも大勢いる。いい街なんだなと実感してもらえる日でもある。だから県外のファンも気軽に来る。皆さんが来ること。それは氷見にとってもうれしいこと。そして皆さんは思う。「このワインの素晴らしさがこの地だからこそ生まれている」ということを。
富山・氷見。海沿いの天気は変わりやすい。特に秋の氷見は雲と雨と青空が目まぐるしく変わり、次第に冬の鈍色、灰色の空と海の季節へと続いていく。しかし、10月の3連休。このときだけは氷見は抜けるような青空になる……ような気がする。今まで「SAYS DAYS」は不思議に晴天に恵まれてきた。開催4年目の2018年も前日まで心配された季節外れの台風がいつのまにかルートが外れた。迎えた当日、氷見の丘の上のワイナリーには、爽やかな風と穏やかな青空。緑のガーデンはなんともピースフルな時間が流れていた。
ワイン造りという言葉は、広い。農園があり、醸造があり、ワイナリーとしてのコンセプトを守る仕事もある。雨の日も嵐の日もあって、でも、幸せな日もある。この場所だけではなく、様々なワイナリーで同じように熱い思いをもって、いろいろな物語を紡(つむ)いで、それを支えてきたファンがいて、それを祝う日がある。それがワイナリーイベント。
秋空とワインを楽しむ週末。それはきっとあなたとワインの関係を幸せに深めてくれることだろう。さあ、この秋、どこかのワイナリーイベントへ。
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