フレンチと蕎麦の名店が異色のコラボ! “和”のテリーヌと絶品蕎麦が早くも話題『夕星』【恵比寿】
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- 1.代官山・恵比寿エリアで早くも人気! 江戸切り蕎麦×フレンチを融合させた新店『夕星(ゆうづつ)』
2.ミシュラン一つ星フレンチ『レザンファン ギャテ』が考案したオリジナルテリーヌを楽しめる!
3.粉からこだわった蕎麦は、挽き方の違いで2種類を食べ比べ
江戸切り蕎麦×フレンチの融合!? 異色コラボを味わえるお店が誕生
石臼で丁寧に挽いた江戸切り蕎麦と酒肴とともに、フレンチの匠が考案したテリーヌが堪能できるという珍しい蕎麦屋が話題になっている。
店の名は『夕星(ゆうづつ)』。2019年6月に東京・恵比寿にオープンした同店は、月島の手打ち十割蕎麦の名店『玄粋庵KITSUNE』(現在は閉店)の店主であった高橋信秀さん(写真上)が料理長を務め、そのスピリットを継承している。
フレンチの匠が『夕星』のためだけに考案したテリーヌは、日本酒と相性抜群!
『夕星』では、アラカルトとコースどちらも愉しめるが、自慢の蕎麦を“食べ比べ”できるディナーコースが特におすすめ。
コースは、「『今宵ノ酒ト蕎麦ヲ愉シム』コース」、「『夕星』蕎麦打ち 高橋と『レザンファン ギャテ』松澤シェフのコラボコース」の2種類。
『レザンファン ギャテ』とは、『ミシュランガイド東京2019』で一つ星掲載、12年連続で星を獲得している代官山のフランス料理店だ。実は、『夕星』は『レザンファン ギャテ』の系列店で、その強みを生かして実現したのが、同店のスペシャリテでもあるテリーヌと蕎麦のコラボレーション。蕎麦や日本酒に合う食材を使って、『レザンファン ギャテ』の松澤直紀シェフが、『夕星』のためだけに考案した唯一無二のテリーヌなのだ。
▲テリーヌも蕎麦同様、単品での注文が可能
コラボコースは、「蕎麦豆腐」をはじめとする彩り豊かな冷製からスタート
コラボコース1品目に登場するのは、季節の食材を楽しめる「冷たい前菜」(写真上)。
左上から時計回りに、キノコの煮浸し、レンコンの梅肉和え、冬瓜の海老餡かけ、鴨ロースの冷製 柚子胡椒添えがお皿を彩り、真ん中に蕎麦豆腐が鎮座する。
豆乳と蕎麦粉に、素材本来の甘みを引き出すための塩を少々加えて固めた蕎麦豆腐は、もっちりとした食感が特徴。蕎麦の風味が芳ばしく香り、ツンと抜けるワサビの辛みがアクセント。
鴨ロースは、じっくりと時間をかけて蒸した後、蕎麦のかえし(=醤油、みりん、砂糖で作った、つゆの元となるもの)に2日間漬け込んで完成させる。身が締まった鴨にはしっかりとうまみが染み込み、これだけでもお酒が進むが、柚子胡椒のスパイシーさを加えるとさらに余韻深い味わいになる。
キノコの煮浸しにはトリュフオイルを数滴プラス。シイタケやエノキなどを口に含むと、トリュフの香りが鼻孔をくすぐるさまはなんとも愉快。トリュフオイルが加わったことで、不思議とうまみもぐんと増したように感じられる。
秋冬に旬を迎えるレンコンのシャキシャキした歯ごたえ、冬瓜のしっとりした食感は、寒い季節の訪れを味覚でも感じさせてくれる。ほどよく食感が残る程度に火を残してから梅肉と和えたレンコン、時間をかけてゆっくりと煮込んだ冬瓜ともに、手間暇かけて丁寧に作られたことがよくわかるやさしい味わい。
日本の伝統食材とフォアグラの絶妙なマリアージュを楽しめるテリーヌ
「レザンファン ギャテ特製テリーヌ」はコースによって内容が異なるが、今回は、コラボコースの「レザンファン ギャテ特製 フォアグラの三五八テリーヌ」(写真上)をご紹介。
三五八(さごはち)とは、福島県や山形県、秋田県などに昔から伝わる麹漬け「三五八漬け」に使われる麹漬けの床のこと。食塩:麹:蒸米を3:5:8の割合で混ぜ合わせることから、“三五八”と呼ばれている。
この床にフォアグラを丸1日漬け込んだものに、カツオでだしを取ってさっと火を通した大根を挟み、さらに上下にワサビの醤油漬けとクルミをあしらって冷やし固めればテリーヌの出来上がり。
盛りつける際には、搾ったスダチとハチミツを加えた大根おろしが添えられる。
ほろほろ食感のワサビとクルミは、醤油ベースのしっかりとした濃いめの味つけ。対して、三五八で醸されたフォアグラ、カツオだしで軽く煮た大根はあっさりとした味付けなので、三位一体となったときにベストなバランスが生まれる。
さらに、ハチミツのやさしい甘みを宿したおろしをまとわせれば、スッキリとした日本酒と相性のよい上品な味わいに。最後のひと口が名残惜しくなってしまうほどの名品だ。
店主自慢の一品! カラリと軽い食感の上天婦羅は、天つゆとも塩とも相性よし
コラボコースでは、高橋さん自慢の「上天婦羅」(写真上)もバラエティ豊かに楽しめる。
海老、穴子、マイタケ、茄子、ギンナンなどの食材をカラリと揚げ、炒った蕎麦の実をブレンドした塩、天つゆとともに供されると、さらにお酒がすすむこと請け合いだ。
高橋さんは34歳で脱サラ後、蕎麦打ちスクールで2年間講師を務めた後、荻窪の名店『鞍馬(くらま)』で3年半修業。さらにその後、大宮の名店『孤丘(こきゅう)』の立ち上げに関わり、『玄粋庵 KITSUNE』で7年間料理長を務めてきたという経歴の中で、毎日かかさず天婦羅を揚げていた時期もあったそう。料理の道を歩み始めた年齢こそ遅かったものの、現場での経験で培った技術は圧巻で、カラッとした衣の食感はとても心地よい。
“挽き方”で味わいがガラリと変わる! 2種類の蕎麦の食べ比べ
そしてお待ちかねの蕎麦。
茨城県常陸の蕎麦粉を細かく挽いて打った麺が主役の「もりそば」(写真上・右)と、粗く挽いたものと細かく挽いたものをブレンドして野趣あふれる味わいに仕上げた「粗挽き甘皮そば」(写真上・左)の2種を贅沢に食べ比べよう。
ショートコースの「『今宵ノ酒ト蕎麦ヲ愉シム』コース」では、「もりと粗挽きの二種盛りせいろ」として、『レザンファン ギャテ』とのコラボコースでは、冬の間は、温かい「粗挽きかけそば」と冷たい「もりそば」の2皿に分けて供してくれる。
今回は、いずれもざるに盛りつけてもらったが、こうして見比べると、麺の太さや色味の違いがよくわかるだろう。
▲「もりそば」
石臼で細かく挽いた粉(一番粉=もりそばに使用)は、デンプン質が多く白いのが特徴。歯切れや弾力にすぐれ、喉ごしのよい蕎麦に仕上げる。
なお、その一番粉を挽いた後に残った蕎麦の実を挽き込み続けると、胚乳部や胚芽部が「二番粉」になり、さらにそれを挽き続けると、より外殻に近い部分から「三番粉」を挽きだすことができるが、一番粉、二番粉、三番粉と進むほどに、味が濃く、見た目は黒くなる。
▲「粗挽き甘皮そば」
同店の「粗挽き甘皮そば」は、一番粉とそれ以降の粉をブレンドすることによって、味や食感を“デザイン”したもの。一番粉のみで作る蕎麦と比べると、風味も味わいも強く、どっしりとした食べごたえを感じる。
食べごたえのあるこんな一品も! 濃厚ダレがじゅわっと染みた「京鴨の陶板焼」
コラボコースではさらに、蕎麦屋ならではの食材、鴨が主役の「京鴨の陶板焼」(写真上)も楽しめる。
蕎麦のかえしにみりんを足した甘めのタレが中まで染み込んだ肉厚の鴨は、柔らかくジューシーで食べごたえ抜群。噛むほどに、鴨本来の甘みとタレの甘みが馴染んで、口の中いっぱいに満ちていく。蕎麦店の定番メニューでもある「鴨南蛮」が好きな人にはもちろんおすすめだが、お酒のアテとしても最高峰に君臨する一品であろう。
インテリアでも、和洋折衷を体現
こだわりの蕎麦に酒肴、唯一無二のテリーヌなど楽しみどころ満載な同店だが、料理と同じくインテリアでも和洋折衷を体現。店内の壁(写真上)には、蕎麦が庶民に普及した江戸時代に活躍した葛飾北斎や歌川広重の作品が飾られているが、調度品には、同時代のフランスやベルギーのアンティークを取り入れている。
蕎麦への熱い情熱と確かな技術を携えた高橋さん自慢の一杯をすすりながら、蕎麦の歴史や文明の移り変わりにまで想いを馳せれば、昔ながらの蕎麦店で過ごす時間とはひと味違った粋を味わうことができるかも。
【メニュー】
・「夕星」蕎麦打ち 高橋と「レザンファン ギャテ」松澤シェフのコラボコース 7,000円(冷たい前菜/そばがき/レザンファン ギャテ特製 フォアグラの三五八テリーヌ/上天婦羅/粗挽きかけそば/京鴨の陶板焼/もりそば/デザート)
・「今宵ノ酒ト蕎麦ヲ愉シム」コース 3,500円(前菜三種/レザンファン ギャテ特製 コラーゲンたっぷり、鶏肉と豚足のテリーヌ/ごぼう天婦羅/もりと粗挽きの二種盛りせいろ)
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。
撮影:岡崎慶嗣
夕星(ゆうづつ)
- 電話番号
-
050-5487-9838
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
-
土・日・祝
昼の部 11:30~15:30
(L.O.15:00、ドリンクL.O.15:00)
そば打ちと夜の部の準備のため、平日同様に15時に閉めさせていただきます。
夜の部 17:00~20:30
(L.O.20:00、ドリンクL.O.20:00)
火~金
昼の部 11:30~15:30
(L.O.15:00、ドリンクL.O.15:00)
夜の部 17:00~21:30
(L.O.21:00、ドリンクL.O.21:00)
定休日:月曜日
※月曜日が祭日の場合は営業、翌火曜日代休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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