2021年まで予約で満席のレストラン『長谷川稔』が開いた、会員制のビストロバー『薫HIROO』
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- 1.予約困難のレストラン『長谷川稔』が開いた、会員制の“ビストロバー”
2.『長谷川稔』の料理にイタリアンの手法をプラスして挑戦
3.名ソムリエがセレクトするワインペアリングは希少な年代ものも登場!
あの予約困難店『長谷川稔』がオープンした会員制ビストロバー『薫HIROO』
都心にありながら広尾に広がる自然豊かな公園「有栖川宮記念公園」。その近くに2021年2月まで予約で満席というレストラン『長谷川稔』がある。その『長谷川稔』が会員制のビストロバーをオープンした。
昭和時代に建てられた民家の1階に『長谷川稔』はのれんを掲げるが、今回紹介するビストロバー『薫HIROO』はその2階に店を構える。
カウンター6席のみの特別な空間は“恩返し”のため
店内はカウンター6席のみ。その特別な席に座れるのは、今のところ、レストラン『長谷川稔』の顧客、もしくは食材をいただいている生産者の方々のみ。だから、会員制を銘打っている。
「レストラン『長谷川稔』が予約がなかなか取れなくて本当に申し訳なく思い、お世話になっているお客さまや関係者の方々にもっと利用していただけるように、この『薫HIROO』をオープンしました。シェフの長谷川(さん)はここで恩返しをしたいと思っているんです」。接客を担当するソムリエの花田敬大さんはこう説明してくれる。
1階『長谷川稔』のおまかせコースは、12皿(うちデザート2皿)からなるフルコースだが、『薫HIROO』では8皿(うちデザート1皿)で構成。料理の内容は概ね同じで、長谷川稔シェフが手がけている。
「カウンター席は、お客さまとの距離がぐっと近くなって、サービスや会話がしやすくなりますね」と、21歳でソムリエ、29歳でシニアソムリエを取得した経験豊富な花田さんは言う。
花田さんは、フレンチやイタリアンの有名店で活躍し、ミシュラン星付きレストランでワインリストをコンサルティングしてきた。チーズやシガーの世界にも長けている。
『薫HIRRO』のワインセラーでは、花田さんがセレクトした200種類以上のワインが出番を待ち、ボトルは常に20種類ほど開栓し、グラスでも提供している。
日本ワインを中心にラインナップ、料理とのペアリングを愉しもう
本稿では“ビストロバー”と謡っているが、実は、『薫HIROO』はビストロのような、トラットリアのような、バーのようなお店。ここでは、どんな料理が提供され、どんなワインを合わせるのだろう!?
コースの序盤で登場するのは生ハムの盛り合わせだ。「まずはバーらしく。さっと切り立てを提供できる生ハムを看板にしています」と花田さん。白い皿に、色味麗しい生ハムが、ふわっと盛られる。この色味からして、そんじょそこらの生ハムと違うことがわかるだろう。幻の黒豚と呼ばれるイタリア・ネロパルマで作られていて、パルマサラミ、パンチェッタとともに3種類。口中の温度で脂がゆっくり溶けていく。
生ハムの脂と塩味に融和させたいワインは「ボルゴ・デル・ティリオ/ロンコ・デッラ・キエーサ 2016年」。豊かなミネラル感に、複雑でビターなコクが広がる。
トラットリアのように、手打ちパスタも!
コースの中盤を飾るのは、パッと花が咲いたようなパスタ料理。手打ちのラビオリが、ジャガイモのピューレの上に美しく並び、インゲンとセミドライトマトが散りばめられている。なんと、ラビオリの中身はジュノベーゼ!
甘みが強い男爵芋を使い、牛乳とパルミジャーノを加えて口当たりなめらかに仕上げたピューレとともに口に含むと、ラビオリからジュノベーゼがあふれて、見事に一体となる。
これこそが、長谷川シェフが表現する「分解再構築」。
ラビオリの濃厚な黄色は、埼玉県深谷市の田中農場から届く卵「紅玉」に由来。純国産の鶏モミジが生むブランド卵だ。
ワインは、フランスでもマイナーな地域の「ザルドワジエール/クォーツ・ブラン 2016年」。エレガントな厚みのある味わいで、白身肉やチーズにぴったりだ。南アフリカやイタリア産のワインを合わせることもあるという。
ビストロ的、フォアグラを挟むロッシーニ風
牛フィレ肉のコトレッタ(カツレツ)を、ロッシーニ風に仕上げたメイン料理。ステーキにフォアグラとバターをのせるロッシーニと材料はさほど変わらないが、牛フィレ肉でフォアグラを挟み、衣をつけてカツレツのように揚げ焼きしている。それを焦がしバターを加えた牛のフォンベースのソースにのせ、刻んだ黒胡椒とトリュフをあしらう。フォアグラから出る油を牛肉が吸い、2つの素材がぎゅっと一体化しているので、すっとナイフが入り、崩れない。
添えられているのは、「インカのめざめ」で作るグラタンなのだが、さらに「サヤアカリ」と「キタアカリ」のマッシュポテトを合わせている様に、唸らずにはいられない。主役を支える、3種のジャガイモの共演だ。
見た目とは違い、意外にもさっぱりしているのは、飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸の代表であるオレイン酸とリノール酸を多く含む米油を使っているからだ。
「コースの中でメインの立ち位置となる一皿ですから、ワインもメインとなる1本を選びました」と花田さん。すっと隣に置いたのは、華やかで優雅な風味が持ち味の、「ロベール・シュヴィヨン/ニュイ・サン・ジョルジュ レ・カイユ 2009年」だ。
長谷川稔シェフが好む素材が重なるデザートがこれ!
栗と黒イチジクが好きな長谷川稔シェフが考案した、オリジナリティ溢れる「ティラミス」(写真上)が今宵のデザート。コーヒーをたっぷり吸わせたカカオのスポンジ生地の上に、コーヒーシロップで煮たほっくり甘い「利平栗」、佐渡島産の黒イチヂクをフレッシュで積むように盛り、刻んだカカオ、プラリネ、メレンゲをあわせたふわふわのクリームをのせている。
「無骨な盛り付けで、煌びやかさはないのですが、自然のままのおいしさを伝えたいんです」。白砂糖は使わず、三温糖、きび砂糖を用いるのは、自然のおいしさを大切にしているから。
合わせるのは、「レクストラヴァカン・ドワジィ・デーヌ 1996年」。あのディケムに並び称される超貴重なソーテルヌ。栗やドライフルーツを連想させる、甘美な味わいに、心底うっとりする。
ちなみに、お酒が飲めない人も楽しめるようにと、コース料理には「ティー・ペアリング」も用意する。水出し専用の台湾茶、「リーフワイン」を20種類ほどそろえ、毎日8種類を時間をかけて抽出。温度の変化で味わいと香りが変化するのは、ワインと同じ。料理に合う銘柄茶が、ワイングラスで登場する。
一皿一皿に寄り添うワインをセレクトするのが、ソムリエの花田さん(写真上)。アンテナを張り巡らせて銘酒を調達、少しずつワインセラーを満たしているが、「少しずつ食後酒も充実していますよ」。
コースとペアリングを思う存分堪能したあとには、バーのような楽しい時間が待っている……。
【メニュー】
▼料理
おまかせコース 13,000円〜15,000円
▼ドリンク
お酒のペアリング 12,000円、30,000円
ティーペアリング 12,000円
※会員制
※本記事に掲載された情報は掲載日時点のものです。また、価格はすべて税・サービス別です
薫HIROO
- 電話番号
-
非公開
- 営業時間
-
20:30〜24:00
定休日:不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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