【外苑前】中国料理店『慈華itsuka(いつか)』は麻布長江『香福筵』の巨匠シェフが開いた中華の名店

麻布長江『香福筵』のオーナーシェフが、外苑前に新しい中国料理店(中華)『慈華 itsuka(いつか)』をオープンしました。中国料理界の巨匠が新店を開いたとあってグルメ界では超話題になっています。「ピータン豆腐」や「チンタン(清湯)」、「四川火鍋スープ仕立て」など、料理は見た目も味も驚くものばかり。テーブル席はもちろん、円卓も用意しているので、家族や友人など大切な人との集まりにもうってつけです。

松本玲子

Summary
1.麻布長江『香福筵』オーナーシェフが、外苑前に新店舗『慈華』をオープン
2.生産者の想いに寄り添い、匠の技で仕上げる料理は、素材のよさを五感で実感できる
3.菜譜の皮蛋豆腐からスペシャリテの鴨の四川火鍋スープ仕立てまで、紹興酒が進む一品ぞろい

中国料理界の巨匠が外苑前に『慈華 itsuka』をオープン

「素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ」。料理のコンセプトを店名にも落とし込んだ、外苑前『慈華』がオープンしたのは2019年12月のこと。

麻布長江『香福筵』オーナーシェフを長年務めた田村亮介シェフ(写真下)の新店舗とあって、もとより多方面から注目されていたが、「これまで以上に生産者の想いに寄り添いながら料理したい」という田村シェフの決意を伺うと、さらに期待が高まる。

店内は、木目調にまとめられたあたたかな雰囲気。聞けば、「日本でしか表現できない中国料理を表現したかった」ことから、日本をイメージした材木選びにまでこだわったという。

ただし、和の空間にはならないよう、中国磁器や書を配すことで独自の美しい空間を演出。「中国料理の技をしっかりと使いながらも、シンプルに素材のよさを引き出した料理を楽しんでほしい」との思いを込めているのだ。

また、空間を広く使って円卓を設置した個室は、家族や友人など大切な人との集まりにもうってつけだ。

料理は、全11品程度から成るコースのみ。旬の食材を使った色とりどりの料理が展開される。

黄金色に輝く皮蛋と口当たりなめらかなムース状の豆腐の絶妙なコンビネーション

その中から今回、一品目に紹介するのは、ふんわりと丸みを帯びた豆腐の上に、ゴールドに輝く皮蛋(ピータン)がトッピングされた「黄金皮蛋豆腐」(写真下)。

アユの魚醤で塩味をつけてムース状に仕立てられた豆腐は、口に含むとすーっと溶けるなめらかさ。その頂上にこんもりと盛りつけられているのが、黄金皮蛋の白身を細かく刻んだもの。皮蛋というと黒みを帯びた卵を想像するが、四川産のこの卵はまるでゴールドルチルのように煌びやかな見た目が特徴なのだ。

さらに、白身の上からチーズのように削られた状態でかかっているのが、皮蛋豆腐の黄身。お茶で漬けているため香りも豊かな皮蛋と、大豆のふくよかさいっぱいの豆腐が口の中で溶け合うと、得も言われぬ幸せな気持ちに満たされていく。

目にも楽しい華やかな前菜で運気アップ!?

こちらはネーミングからして心ときめかされる「運気の上がる前菜盛り合わせ」(写真下)。縦長のプレートに盛りつけられたとりどりの前菜を、手前から一つずつ食べ進めながら開運を願うという、なんとも縁起のいい一品だ。

手前左からジグザグと、「豆腐干(とうふガン)とセリのネギ油和え」「富有柿と黄色人参の湯葉巻き」「紹興酒の香りづけフォアグラとナツメのテリーヌ」「北海道余市のあん肝」「ソラマメと雪菜の寄せもの」「クラゲの和えもの」「タケノコの素揚げカラスミトッピング」「よだれ鶏」の計8品。

「湯葉巻き」(写真上・左)には、キンモクセイのお酒で作ったゼリーまで組み込まれていたり、「あん肝」(同・右)は仕上げに中国茶でスモークされていたりと、いずれも手の込んだものばかり。

しかも、「豆腐干とセリのネギ油和え」(写真上・左)、「よだれ鶏」(同・右)が配された箇所は、プレートがくぼんでおり、水分が出る料理でも盛りつけることができるよう、くぼみをつけたプレートまで田村シェフご自身で考案したのだとか。

レモンの泡を溶かして味変を楽しむスープで、イカの卵巣「チチコ」を堪能

続いては、「チチコ」と呼ばれるイカの卵巣の、ねっとりとした独特の食感を楽しめるスープ「烏賊の卵 酸味と辛味」(写真下)を紹介しよう。

スープは、鶏ひき肉をメインに、豚ひき肉、干し貝柱、金華ハム、大豆などを煮込んだすまし汁「チンタン(清湯)」。ピリッとコショウをきかせた辛味の感じられるスープだ。まずは、このスープとともにイカの卵巣の塩漬けを食感ごと堪能。

その後、上にトッピングされたレモン水の泡を溶かしてスープに酸味を加えると、酸辣湯のような味わいに変化するユニークな一品だ。

スペシャリテの「鴨 四川火鍋スープ仕立て」は、毎日でも食べたくなる一品

同店のスペシャリテは「鴨 四川火鍋スープ仕立て」(写真上)。氷砂糖と醤油で30分以上かけて煮詰めた和歌山県産の鴨を、20種類のスパイスが入った醤(ジャン)をベースとする火鍋でいただくこちらの一品は、濃厚なうまみがどこまでも後を引く。

やわらかく煮込まれた鴨は、表面は香ばしく芯までジューシー。しっかりとした辛味がありながらコク深い火鍋スープは、一滴残らず飲み干したくなること必至! 日本の食卓には登場することが少ないであろう四川の料理なのに、「毎日食べたい」と思えるほどのおいしい。

美しい切子のグラスがさらに気分を高めてくれる

料理は紹興酒とも相性がピッタリ。

同店では雅な切子のグラスを用意しており、このグラスで楽しむ一杯はおいしさもひとしお。料理だけでなく、お酒まで目でも楽しませてくれるところが心憎い。

「素材のことを想うと余計なことはしたくないけど、根底はしっかりと中国料理に落とし込んだコースで、美しい音楽のように自然な抑揚を奏でたい」と田村さん。おいしいお酒によって新たなハーモニーが加われば、さらに充実した時間を満喫できるはず。

【メニュー】
▼季節の食材のおまかせコース
15,000円 約8品
23,000円 約9品
30,000円 約10品
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別、サービス料10%を頂戴しています

撮影:岡崎慶嗣

慈華 itsuka

住所
東京都港区南青山2-14-15 五十嵐ビル2F
電話番号
050-5488-2305
営業時間
ランチ 11:30~15:00
(L.O.13:00)
ディナー 18:00~23:00
(L.O.20:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日:月曜日
第2日曜日、第4日曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/9vf6ymcv0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。