渋谷に誕生した「カウンター中華」に注目集まる! 若き実力派シェフの技術とセンスが光る新店『中華寝台』
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- 1.2019年10月、渋谷に中華料理店『中華寝台』がオープン!
2.メニューはおまかせコース1本のみ。ペアリングはフリーフロー!
3.総合プロデュースは『虎峰』の山本雅氏。シェフは『Essence』副料理長を務めた28歳の実力派。
渋谷の文化村通りに、実力派シェフが手掛けるカウンター中華が誕生!
「スタイリッシュ飲茶」「ネオ町中華」など、新ジャンルが次々に誕生しては人気を集めている中華料理。そんな中、王道の中華料理にほどよく遊び心をミックスさせた新スタイルの中華料理店『中華寝台(Chinese bed)』が、2019年10月、渋谷の文化村通りにオープンした。
渋谷の喧騒とは趣を異にする、カウンター10席のみの落ち着いた雰囲気の豪華な空間。
総合プロデュースは、六本木の人気中華料理店の『虎峰(こほう)』の山本雅氏。腕を振るうのは、弱冠28歳の上笹俊シェフ(写真下)だ。
『Essence』と『プライベートシェフズスタジオ山岡』で様々なジャンルの中華を学ぶ
上笹さんは、『ミシュランガイド東京2016』にも掲載された南青山『Essence(エッセンス)』で副料理長を務めていた若き実力派。
同店在職中には、ソムリエと国際薬膳調理師の資格を取得。独立のために退職した後、千葉県・行徳の『プライベートシェフズスタジオ山岡』で半年間、中国料理の重鎮である山岡洋シェフのもとで学んだ。
その後、『虎峰(こほう)』の山本雅氏により、『中華寝台』のシェフに抜擢されたのだ。
「約8年間働いた『エッセンス』は、ニューウェイブ中華のさきがけのような存在の店。中国の方が来店しても驚くようなマニアックな中華料理をスタイリッシュに盛り付けて、ワインとともにカジュアルに提供するスタイルは、まさに僕が目指していたものでした。中華料理の奥深さとともに、薬膳、ワインといった、知らなかった新しい世界の扉を次々に開いてくれた店です」(上笹さん)
メニューは、渾身の「おまかせコース」1本のみ
『中華寝台』で提供するのは12,000円のおまかせコースのみ。コースの料理は、お茶も含めて10皿前後。今回はおまかせコースの中から4皿をピックアップして紹介する。
着席するとまず、カウンターに置かれている「香りの玉手箱」(写真上・左)の蓋がそっと開けられる。
中華スパイスの食欲をそそる刺激的な香りがふわっと広がったかと思うと、小箱におさめられた小さな茶碗に、中国茶が注がれる。
「まずは、中華のスパイスや、中国茶の心地良い香りで渋谷の喧騒を忘れていただき、次にお茶で胃を温めて、食欲を高めていただくのが狙いです」と上笹さん。
「前菜盛り合わせ」で早くも、“上笹マジック”連発!
個性豊かな顔ぶれの「前菜盛り合わせ」(写真下)は、通常7~8種類。
左上から時計まわりに、「チャーシュー2種」「ピータン豆腐」「ボタンエビの紹興酒漬け」、生ウニを添えた「押し豆腐の黄ニラ和え」、中華風のポン酢で仕上げた「ヒラメ刺身」、真空調理で低温調理した「棒棒鶏(バンバンジー)」。
人気の「チャーシュー2種」「ピータン豆腐」以外は月によってメニューを変えているそう。
定番メニューである豚バラ肉とラム肉の「チャーシュー2種」(写真上)には、ブルーチーズが添えられている。
特に驚いたのが、ラム肉のチャーシューとブルーチーズという、個性派同士の組み合わせ。ラム肉の野性味を感じさせる香りと、ブルーチーズのツンとした刺激が口の中で融合した瞬間、双方のクセがスッと消え、洗練された強いうまみに変わるのだ。
チャーシューという、中華の王道中の王道であるメニューに、こんな新しい楽しみ方があったとは!
もうひとつの定番メニュー「ピータン豆腐」(写真上)もまた、中華料理ではお馴染みだが、同店ではショットグラスで登場する。
グラスの底には、ピータンの卵黄に練り胡麻を加えたソースと、粗く刻んだピータンの卵白が入っていて、その上にムース状の豆乳が注がれている。
スプーンで上下を混ぜて舌にのせると、舌にからみつくような豆乳ムースの甘みの後を、ピータン豆腐の塩味、うまみ、コクが追いかけてくる。粗く刻んだピータンの卵白の食感も実に楽しい。
「ボタンエビの紹興酒漬け」(写真上)は、飲み込んだ後に残る香りの余韻に、紹興酒のクオリティの高さを感じる。
「これを食べると、紹興酒が飲みたくなるお客様が多いんですよ」(ソムリエの久保田賢さん)というのも納得。いずれも遊び心満載の楽しい前菜で、この後の料理への期待がぐんぐん高まる。
“波”を意識した、緩急あるコースメニュー
「海鮮 金目鯛」(写真上)に添えられているのは、上湯と腐乳(豆腐に麹をつけ、塩水中で発酵させた中国の伝統食品)で味付けしたカリフラワーのソース。
味噌のような塩味とうまみが、高温で揚げてから蒸したキンメダイのもっちりした食感を引き立てている。
このあと、中華料理ではお馴染みの肉団子「獅子頭(シーズートウ)」が続き、次に出てきたのは「上湯 薬膳」(写真下)。上品で奥深い滋味のある味わいが、美味の連続による興奮をなだめてくれる。
中国伝統医学において、もっとも権威ある研究団体である「中国中医薬研究促進会」の認定資格「国際薬膳調理師」を取得している上笹さんの本領発揮ともいえる一品で、季節に応じた体調を整える効果が期待出来る食材が入っている。取材当日はアンコウ、セリ、蓮の実など。
上笹さんによると、こちらのスープには、次に来る味のピークの前の“小休憩”の意味合いもあるという。
「おまかせコースは、味つけが次第に濃厚になっていくのが普通ですが、僕は一直線にではなく、適度な“波”を意識してメニュー作りをしています」(上笹さん)
その後、大きな有頭エビ1本をチリソースで煮込んだ「乾焼明蝦(カンシャオミーシャー)」が続き、お待ちかねのスペシャリテが登場!
フカヒレ煮込みは、まろやかな酸味の赤酢で“味変”も楽しみたい
フカヒレの白湯(パイタン)を使った「土鍋煮込み」(写真上)。丹念に下処理をしたフカヒレを、極上の白湯スープとともに1時間以上蒸して味を含ませ、土鍋でグツグツと煮えたぎった状態で提供する。
その時々でさまざまな味付けにしているが、取材当日は冬が旬のカニ。白湯の濃厚なコクにカニのうまみ、フカヒレのとろみが混然一体となり、スプーンが止まらないおいしさ。
そこに登場したのは、中国産の赤酢。
少量たらすと、まろやかな酸味とともに濃厚なうまみも加わり、味の印象ががらりと変わる。飽きずに食べさせるための工夫だが、一滴ずつ微妙な量の調整ができるので、さまざまな変化を味わえる。
この後、「麻婆豆腐」「白ご飯」「甜品(デザート)」「お茶」でコースは終了。
王道の“ザ・中華”に、ほんの少しの“遊び”をプラス
最初に品書きを読んだ時は、「獅子頭」「エビチリ」「麻婆豆腐」など、中華料理の定番が多い印象だったが、食べ終えてみると、一つひとつの料理に上笹さんの感性による遊び心があふれていて、意外にも斬新で楽しい料理ばかり。
「僕自身も中華料理が大好きなので、『中華料理を食べたい』と思って来てくださるお客様に、心から満足していただきたい。だから僕が出したい中華料理は、スタイリッシュなヌーベルシノワではなく、王道の“ザ・中華”なんです。でも単なる王道ではなく、その中にほんの少し、僕らしい遊び心をプラスしたいと思っています」(上笹さん)
実際、コースの中にエビチリや麻婆豆腐のように食べ慣れたメニューがあると「なんだか安心する」と喜ばれることが多いとのこと。
アルコールは、ペアリングのフリーフロー(飲み放題)!
『中華寝台』のもうひとつの大きな特色は、ペアリングのアルコールがフリーフロー(飲み放題)であること。
「中華なので、フレンチとワインのペアリングのセオリーにはこだわらず、様々な飲み方を楽しんでいただきたい」(ソムリエの久保田さん)との言葉どおり、スダチを使った料理にスダチの輪切りを入れたソーヴィニヨン・ブランを合わせたり、辛口の白ワイン・ムルソーに白トリュフを薄く切って入れたり、アワビの肝ソースを添えた料理には、日本酒と紹興酒を目の前で同時に注いで、カフェオレのようにブレンドすることもあるとのこと。
高級ワインを飲み慣れているお客様が多いので、重視しているのは“遊び心”。ワインの試飲会に足繁く参加し、珍しい品種のワインや、チェコや中国など珍しい国のワインを積極的に選んでいる。
前半は、食事に含まれる油を流す働きのあると言われているアラスカの氷河水「クリア・アラスカン・グレイシャル」を、後半ではフカヒレに含まれるコラーゲンの吸収をよくするといわれるニュージーランド産の天然水「シリカ」を提供している。
2人の絶対的な信頼感が、居心地のよい空間をつくりだす
シェフの上笹さんとソムリエの久保田さんは地元が同じで、最初の出逢いはなんと、地元の焼き肉店のバイト(!)。『エッセンス』でも共に働いていたことのある、長い付き合いだ。久保田さんの『エッセンス』入社のキッカケも、上笹さんの誘いからだったという。
「2人で店をやるなら、一緒に働いた時に『心から信頼できる』と感じていた久保田(さん)しかいないと思いました」(上笹さん)
「中華に興味があるというより、上笹(さん)の店だからぜひ働きたいと思ったんです」(久保田さん)
高級感があるのに、なぜかリラックスして料理とお酒を楽しめる…、『中華寝台』のそんなのびやかな魅力は、この若い2人の力強いタッグにも理由がありそうだ。
【メニュー】
おまかせコース(12皿程度) 12,000円
お酒のペアリング(飲み放題) 8,000円
※ノンアルコールのペアリングもあり
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です
中華寝台
- 電話番号
- 03-3476-6120
- 営業時間
-
18:00~20:30 ※要予約
定休日:水曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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