魚がおいしいカジュアルなフレンチが誕生！ 刺身もご飯も堪能できる、型破りのフレンチ割烹『カメノテ』

東京メトロ有楽町線・新富町駅から徒歩7分。オフィス街の路地裏に、白い暖簾がかかる店がある。揺れる暖簾にはおいしそうな気配が溢れていて、小さく店名が書かれている。『フレンチ割烹 Kamenote（カメノテ）』。

オーナーシェフは亀野篤史さん。実家は飲食店を営み、子どもの頃から料理人を志し、調理師専門学校へ進んだ。神戸のホテル勤務を経て、24歳で渡仏するなど経験を積んだ。築地仲卸会社では、築地場内で魚を扱い、仲卸会社直営のビストロ『Uokame』でも腕を振るった。今回、7.5坪の居抜き物件に出逢い独立オープン（2020年2月28日に開店）。若干31歳の亀野シェフの挑戦が、ゆるゆると始まっている。

店内は、亀野シェフの調理風景がよく見えるカウンター6席、テーブル席が10席。すでにリピーターも多い。理由はただひとつ。亀野シェフが培ってきた料理人としての確かな軌跡が、「また明日も食べたい」と思わせているのだ。

ボックス風のテーブル席もあり、小さな野の花がさりげなく飾られる。居抜きとはいえ、古民家風とも言える雰囲気はしっとりと落ち着く。

現在はテイクアウトも実施中。「鮮魚店で働いていたせいか、魚の品質に妥協できない」と語る亀野シェフだけに、テイクアウトの魚料理を使用した「日替わり」は鮨専門店レベルのクオリティだ。

日によってメニューが変わる「ランチボックス」（写真上・左）も、採算が心配になるほどにボリュームたっぷり。さらには、15時から始まるディナーメニューに「オードブル盛り合わせ」（写真上・右）があったら迷わず購入するべき。亀野シェフのフレンチの技が、リーズナブルな価格で堪能できるチャンスだ。

なお、テイクアウトについては、店頭での受け取りで、電話、メール、SNSからのメッセージで予約すれば待たずに購入できる。詳細はInstagramで確認しよう。

「つい、いい食材を仕入れてしまうんです。だからあまり価格を下げられなくて」と、亀野シェフが遠慮がちに話す。とくに魚には妥協を許さない。先述したように魚屋で数年働き、魚のことを知り尽くしているからだ。

初来店なら「本日のコース」で亀野シェフの料理の全貌を体験するのがおすすめだが、亀野シェフに相談してアラカルトからチョイスするのもいいだろう。手書きメニューを眺め、どんな風に攻めるかを考えよう。

そして、前菜を選ぶなら、「北海道生ウニとブラータチーズ」（写真上）を、ぜひ。まったり濃厚なウニと、フレッシュでクリーミーなブッラータチーズは、紅色と白のコントラストにもそそられる。ふんわりと散りばめているのは「淡雪」という名の塩。米粉と合わせてプレスしているので、塩味が穏やかで口どけがいい。

「どっぷりと魚業界を経験して、魚ってすごくおもしろい食材だと感じることができました。経験は僕の強みになっています」と語る亀野シェフは、早朝から豊洲市場に通っている。「いい食材には余計なことをしない」が、亀野シェフが行き着いた答えだ。

「火入れは、炭火が一番！」と炭火で焼き上げた、こちらの料理は「チャイロマルハタの炭焼き カラスミがけ」（写真上）。このチャイロマルハタは、鹿児島の漁師さんに「一番いい魚をください！」とお願いして直送してもらったもので、なんと23kg！ 大きな魚だからこそ、肉厚な切り身が叶うのだ。

塩水にくぐらせた後、低温で火入れし、炭火にのせて焼き上げる。盛り付けは、有田焼の丸皿に。香りのいいセリをあしらい、カラスミをたっぷりふりかけて完成だ。

魚介は他に、小田原から朝獲れ便も届き、熟成させた魚、新鮮でコリコリした魚など、バラエティ豊かな魚の味に出逢える。

肉料理は、「足利マール牛サーロイン炭焼き」（写真上）が看板メニュー。足利マール牛とは、栃木県足利市にある「長谷川農場」でのびのびと育つ日本国産交雑種の牛で、全国的に有名なワイナリー「ココファーム＆ワイナリー」がワインを作る際に出るブドウの絞りかす（＝マール）を発酵させて牛の飼料にしている。

「パリにいた時は、赤身が好きだったけれど、長谷川農場の長谷川大地さんが、サーロインをすすめてくださって。これが素晴らしい肉質なんです」。炭火で焼き進めると、肉の脂が炭に落ち、脂の燻香が肉にうつる。外はパリッと香ばしく、身は弾力がありジューシーで、脂がスーッときれいに口どける。もちろんワインは「ココファーム＆ワイナリー」の「農民ロッソ」を合わせたい。

ワインは他に、フランスアルザス、日本甲州と選りすぐりのラインナップだが、刺身やご飯といったメニューに合わせて、日本酒も充実している。「日本酒を好まれるお客さんも多いんです」。

1人で料理する亀野シェフをサポートするのは、妻の杏里さん。料理はもちろんだが、2人の爽やかな笑顔と丁寧なもてなしに胃袋もハートも掴まれて、繰り返し通いたくなるのだ。

【メニュー】
▼料理
本日のコース　6,000円
（小鉢2品、お野菜とミモレットチーズ、お造り、魚料理、肉料理、本日のご飯など）
北海道生ウニとブラータチーズ　1,500円
厳選お造り4種　1,500円
チャイロマルハタの炭焼き　カラスミがけ　2,400円
足利マール牛サーロイン炭焼き　2,400円
本日の混ぜご飯（みそ汁・漬けもの付き）　900円
お付き出しとテーブルチャージ　500円
▼ドリンク
コエドビール瑠璃　700円
白ワイン ワビ・サビ（オーストリア） グラス800円
赤ワイン 農民ロッソ（日本） グラス800円
ワインボトル　4,500円〜
日本酒　700円〜
完熟レモンサワー　600円
※本記事に掲載された情報は、取材日（3月12日）時点のものです。また、サービス料10％別途。価格はすべて税別です
※営業時間などの詳細はお店にご連絡ください