江戸前寿司の『鮨 在』は新たな”鮨伝説”を作る予感!神技の味「カニとウニの海苔巻き」は必食【広尾】
広尾の鮨の名店『鮨 在』をご紹介。お店は8席のメインカウンターと、二番手が握る個室で構成。大将の岡田貴裕さん六本木『鮨 由う』の料理長を務めた実力派。日本料理店で学んだ見目麗しい「つまみ」と、伝統の江戸前仕事を受け継いだ「握り(寿司)」はおいしいの一言! 寿司好きや食通はもちろん、個室に限り子供もOKなので家族連れでも利用可能。お酒を飲みながらつまみと寿司を楽しめる、江戸前寿司店です。
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- 1.新たな鮨の名店が誕生! 広尾の『鮨 在』
2.日本料理店で学んだ見目麗しい「つまみ」と、伝統の江戸前仕事を受け継いだ「握り」
3.「つまみ」と「握り」にぴったりと合うペアリングで完成する新感覚の江戸前鮨
※取材は3月11日に行いました
都会と田舎が共存する街並みに馴染む居心地の良い高級鮨店『鮨 在』(広尾)
東京・広尾は都会でありながらもどこか郷愁を誘う街だ。各国の大使館が置かれインターナショナルマーケットやオープンカフェでは外国人で賑わう一方、広尾商店街には昔ながらのレストランや食料品店、雑貨店、病院など生活に密着した店舗が軒を連ねる。ハイセンスで高級感があり、かつ下町気質のような温もりも共存している。
その広尾商店街を歩くこと4分、商業ビルの5階に『鮨 在』はある。店名は「在郷」という言葉が語源、訪れるお客一人ひとりが心の帰る場所を作っていくという想いを込めている。
エレベータを降りると右手には、大将の岡田貴裕さんが握る8席のメインカウンター(写真上)、左手には二番手が握る個室に分かれる。岡田さんは高校卒業後、鮨店の門をたたき、料理人生がスタート。その後、浅草の懐石料理店で日本料理を学び、日本橋、赤坂、銀座の鮨店で研鑽を積む。そして六本木『鮨 由う』のオープンから料理長を務め、2019年5月、『鮨 在』を任されることとなった。
個室(写真上)は6人まで着席可能だが4人でゆったりと使うことが多いそう。専用の化粧室もありプライベートがしっかりと守られる。また、個室に限り子供もOKとのことで家族利用ができるのも人気の所以である。
檜や椋の自然の質感と色味を大切にした設えはどこか懐かしさを覚え、直接当たらないように配慮された照明もリラックスできる。高級鮨店であることを忘れさせてくれる居心地の良さがここにはある。
見てよし、食べてよし、圧巻の「毛蟹&雲丹海苔巻き」と季節を感じる手の込んだ「つまみ」
料理にも店の雰囲気と同じく、日本料理で鍛えられた「つまみ」から、江戸前の伝統を重んじた「握り」まで、“今いちばんおいしい食材”を取り入れ終始和ませてくれる。メニューは20,000円のおまかせのコースのみ。本日はその中からいくつか紹介しよう。
まずは「のどぐろのさくら蒸し」(写真上)。こちらでは胃を温めるために必ず温かいものから始める。蓋を取ると閉じ込められていた桜の香りがふんわりと漂う。酒蒸ししたノドグロを道明寺粉でくるみ、桜の葉と花を飾る。その上から生姜をきかせた銀餡を流し入れた春らしさをいっぱいに感じるひと品。
空腹に沁み入ったところで次はシグネチャーである「毛蟹 雲丹海苔巻き」(写真上)の登場だ。毛ガニの握りの上に身が厚くぷっくりとしたウニをのせ海苔巻きにしたインパクトこの上ない逸品。このビジュアルに誰しもが写真を撮ってしまう。「試作の段階では毛ガニとウニがぶつかるかもと思ったが実際に食べてみると勝負できる握りになった」と岡田さん。
頬張るとまずウニが味わえ、次に海苔の香りを感じる。青海苔入りの佐賀産の有明海苔「こんとび」は、その後に訪れる毛ガニと酢飯を見事に昇華させる。見た目を遥かに凌ぐおいしさで2品目にして完全に胃袋を掴まれてしまう。
3品目からはつまみが続く。「桜鱒 玉葱醤油」(写真上)は、藁で軽く燻した桜鱒の皮目だけを焼き、すりおろした玉ネギで作った醤油をかけ、芽ネギとシソの花をのせている。ねっとりとした食感の桜鱒は口に入れた瞬間からとろけてしまうが、後を追うように玉ネギ醤油のうまみが喉を潤す。“走り”の桜鱒はこれからますます脂がのって赤みを増し、5月いっぱいまで楽しめるそうだ。
「握り」でいちばん大切にしているのは「魚に対して絶対に妥協しない」こと
つまみが5〜6品でた後で握りとなる。本日は「春日鯛 昆布締め」(写真上)から。昆布のねっとり感を抑えながら香りと身が締まりつつもやわらかさが際立つ。カスゴ鯛、酢飯、煮切りの三位一体が隙のない最強のマッチングで、しみじみおいしいと目を細めてしまう。
岡田さんの鮨を支えるのは酢飯、煮切り、ツメ。酢飯は赤酢8割に米酢2割、そして塩。米は山形の「つや姫」を使用、甘みが豊かなので米酢のスッキリした酸味で調和を取っている。この酢飯に合うようにと「煮切り」は醤油にみりんを入れてひと煮立ち、まろやかに仕上げる。穴子やハマグリに塗る「ツメ」は継ぎ足し続けている煮汁を取り出して、煮詰めては煮汁を足す、を繰り返し1週間かけてゆっくりと煮詰めて濃厚になったところで使う。この地道な“仕事”があるからこそ、「いつ行ってもうまい!」と言われるのである。
岡田さんは18歳で何の気なしに鮨の世界に入ってしまったせいか、このあまりにも地道な仕事に8年間頑張ってみたものの華やかな日本料理に憧れてしまい5年離れたことがある。しかしカウンターでお客の反応を直接感じられる鮨の世界がやっぱり好きなのだと鮨の道に戻った。その時の修業先の親方から徹底的に教わったのが地道な仕事である江戸前の技法で、今や岡田さんの得意とする「小肌」(写真下)もその親方譲り。
「最近はあっさり漬けるところが多いですが、僕は昔から伝わる江戸前に忠実で、かなりしっかり漬けています」と言うが、まったく尖った感はなく、むしろまろやかさすらある。「塩をキッチリ決めないと魚臭さが出てしまいます。でも塩を感じたらしょっぱいだけなのでギリギリのところまで攻めますね。魚の脂を見て塩と時間を調整しています」。コハダは気に入ったものがないと買わないという潔さ、それだけに岡田さんにとって「小肌」は特別なのだ。
岡田さんの鮨×保坂さんのドリンクが最強のペアリング
鮨の花形である「鮪」は通常2種類を出す。本日は「赤身」と「トロ」(写真下)。
岡田さんはここで必ず酢飯の温度を変える。赤身にはほんのりまだ温もりのある酢飯、トロには炊きたての酢飯を使う。温度の違いと酢の働きで、それぞれの脂が酢飯に馴染み、“とろける”のである。
さらに、ペアリングも同じ鮪と同じ酒なのに違ったアプローチがあるのだと言う。「マグロは酸味が特徴的なので合わせるお酒は寄り添うような酸味が欲しいんです。ですから酸味が強い赤身には冷酒でキリッと酸が立つようにし、トロには燗冷ましで乳酸を立たせてミルキーでとろける感じを作ります」と話すのは“鼻につくソムリエ”の異名を取る保坂卓さん(写真下・右)。もともとフラワーデザイナーだったが、人が喜ぶ姿を自己の喜びと思い、お客との距離がより近い飲食サービスに転職したという珍しい経歴の持ち主だ。
岡田さんは保坂さんに絶大なる信頼をおいているからこそ自由に握ることができると話す。営業中もふたりの掛け合いに和やかな空気が流れ、お客の笑顔が絶えない。実は岡田さんと保坂さんとのペアリングが『鮨 在』の最大の魅力なのかもしれない。
【メニュー】
おまかせコース 20,000円
おまかせペアリング 10,000円
※本記事に掲載された情報は、取材日(3月11日)時点のものです。また、価格はすべて税抜です
※詳細は店舗にご連絡ください
撮影:八木竜馬
鮨 在
- 電話番号
- 03-3446-1134
- 営業時間
-
月〜土 メインカウンター18:00〜、20:30〜、個室17:30〜、20:00〜/ランチは土 12:00~14:00
定休日:不定休(日曜・祝日を中心に月8日)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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