健康アジアンがずらり! 造り手の愛情たっぷりな身体に優しいアジアの食卓『豆なダイナー』【稲荷町】

【連載】幸食のすゝめ #109 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

Summary
1.豆乳造り100年の老舗が発端、稲荷町・上野の新店『豆なダイナー』
2.豆や自然派食品をたっぷりヘルシーに。小さな街のアジアンダイナー
3.テイクアウトもOK。朝も夜も健康とおいしさが並ぶ食卓を

幸食のすゝめ#109、アジアの風には幸いが住む、稲荷町

「これ、看板が飛びそうになってますよ」

帰宅途中だろうか、ミッドナイトブルーのスーツ姿の男性がドアの外から女性のスタッフに声をかける。浅草通りに面しているせいだろうか、朝はトイプードルやミニチュアシュナウザーを連れた、お散歩中の女性もひと休みして行く。オープンしてから約1ヶ月、『豆なダイナー』はもう上野に近いこの街の、小さなステーションになっている。

もともとダイナーとは、アメリカのハイウェイ沿いに点在する朝昼晩それぞれの顔を持つ簡易食堂だ。しかし、アメリカの人々にとって、それは食堂や酒場という枠を越えて、心の拠り所のような意味合いを持っている。いわば、街のステーション。ミッキー・ロークを一躍有名にした同名の人気映画『ダイナー』もある。

『豆なダイナー』の原点は、オーナーである白戸(裕二)さんが滋賀県で出逢った1杯の豆乳だった。100年続くという老舗豆腐店が、昔ながらの製法で丁寧に造り上げる豆腐。その根底になる豆乳の「豊潤な味の濃さとなめらかさ」に出逢った時、どうにかして市販したい。この味を多くの人に届けたいと思った。しかし、レトルトにするためには高熱で30分加熱しなければならない。当然、本来の持ち味であるデリケートな風味は失われてしまう。

どうにかできないだろうか!? そう考えた時、数年前からビジネスパートナーとして、いくつかの仕事を任せている人物の存在が浮かび上がった。白戸さんと同じくらい「おいしい物好き」で、その天性の舌には、いつも絶大な信頼を寄せている。

洋から和に転身し、三宿と青山の『GOKAKU』で野菜料理ブームの先鞭を切った小宮(正嗣)シェフだ。

ゴルフの世界に新しい風を

大学時代ゴルフ部で活躍し、やがてゴルフトーナメントなどのスポーツイベントやフードコートの企画、運営管理、ケータリングなどに携わるようになった白戸さんは、いつもスポーツの世界に不可欠な「健康」に熱い眼差しを向けていた。

紳士のスポーツのイメージが強かったゴルフの世界にも、若い女性たちの姿が目立つようになった。当然、従来通りのクラブハウスにも、健康志向というフィルターがかけられるようになる。そんな時白戸さんが注目したのが、絶頂期の店を畳んで料理家・コンサルタントに転身していた小宮シェフだ。

洋食にも、和食にも通じ、四季折々の野菜の扱いに慣れている彼なら、ゴルフの世界に新しい風を吹かせてくれるに違いない。

滋賀の豆乳を出発点に、造り手の愛情が詰まった豆や自然派食品をたっぷりヘルシーに摂る小さな街のダイナー。『豆なダイナー』のメニュー構成にも、彼ほどふさわしい人物はいないだろう。

テイクアウト可能な健康メニュー

『豆なダイナー』の朝は、6時半から始まる。ストレスフリーの放牧で、良質の牧草を食べて育った牛たちの牛乳から作られるグラスフェッドバターと、オーガニックジャムを中心に組み立てられたアメリカンブレックファーストには、レインフォレスト、アライアンス認定農場で栽培されたお代わり自由のオーガニックコーヒーが付く。

食べるだけで、アンチエイジングと痩身効果があるというグラスフェッドバターは、最近、健康に関心が深い女性たちに話題になっている。

健康と共に、もう1つのテーマになっているアジアンも朝から用意されている。台湾の代表的な朝食である「シェントウジャン」は、いわば濃厚な豆乳のスープ。もちろん、店造りのきっかけになった滋賀県産の豆乳がたっぷり使用されている。そこに、うっすらと海老の香りをプラスしたのは、より日本人向けにしたいという小宮シェフのアイデアだ。

アジアの朝食には、ベトナム代表の「バインミー」がハーフでセットされ、お代わり自由のオーガニックコーヒー。おいしく、身体に優しい朝食で1日をスタートできる。滋賀産の豆乳をたっぷり使った豆乳フレンチトーストやアジアンチキンカレーも用意されている。

14時過ぎには、台湾風の豆乳スイーツ、豆花(トウファ)や自家製のプリンなどのスイーツ。豆類とスーパーフードと呼ばれるキヌアをトッピングしたサラダ類も登場。各種メニューは、もちろんテイクアウトも可能だ。

健康とおいしさが並ぶ食卓

夜は身体にすっと馴染んでいく自然派ワインと、健康志向のアジアンタパスで楽しむディナータイム。香り野菜と肉味噌の生春巻や、三種おつまみ(煮卵、ザーサイ、なます)、ベトナム風のゆで鶏(ジーロー)、 タイ風オムレツ、キヌアと豆のビタミンボール(キヌア&ビーンズ)などが、すべて350円で用意されている。

自然派のワインも、ハウスワインの「セビアンコムサ」のほか、リーズナブルなものが揃う。「セビアンコムサ」は直訳すると「これええやん!」、インポーターのディオニーと生産者が共同で開発した、超コスパのワインだ。

濃くなめらかな豆乳、グラスフェッドバター、オーガニックコーヒー、広島・生口島の生産者から直接届く無農薬の瀬戸内レモン…。造り手の熱が伝わるさまざまなヘルシーフードを、「おいしさ」にまとめたのは、洋と和を知り抜いたシェフが考えた日本人が馴染み深いアジアの食、健康アジアンだ。

スポーツ業界と飲食、違うフィールドで戦ってきた2人の共通のテーマだった、健康とおいしさをきちんと並べて融和すること。『豆なダイナー』は、おいしさと健康というナイフで切り取られた、アジアの街角では見つからない、身体に優しいアジアの食卓だ。送る日常をすこやかに過ごすための心地いい風は、今アジアから吹いている。

アジアの風には、幸いが住んでいる。


【メニュー】
6:30〜9:30
アメリカンブレックファースト/アジアンブレックファースト 1,000円

究極のバタートースト 400円
海老の香りのシェントウジャン 550円
バインミー各種 600円
豆乳フレンチトースト 650円
アジアンチキンカレー 900円
チキンフォー 700円
豆乳坦々チキンフォー 800円
ベトナムゆで鶏ジーロー飯 900円
豚ロースアジアンローストルーロー飯 900円
パワーサラダ 800円
ビタミンボール(ミニサラダ) 300円
カットバケット 200円

オーガニックコーヒー/オーガニックアイスコーヒー 300円
オーガニックエスプレッソ/自家製オーガニックレモネード/オーガニックルイボスティー 400円
老舗豆腐店の濃い豆乳(HOT/ICE) 350円
ヒューガルデン 800円
グラスワイン 700円〜
ボトルワイン 3900円〜

自然派ワインと楽しむアジアンタパス)
ALL 350円
香り野菜と肉味噌の生春巻き
三種おつまみ(煮卵、ザーサイ、なます)
ベトナムゆで鶏 ジーロー 二種のソース添え
豚ロースアジアンロースト ルーロー
タイ風オムレツ
ビタミンボール(キヌア&ビーンズ)
バインミー (ハーフ)
・ジーロー
・ルーロー
・サバ
ナッツ&ドライフルーツ

豆なダイナー

住所
〒110-0015 東京都台東区東上野4-1-1 HOTEL EMIT UENO 1F
電話番号
03-5830-6666
営業時間
6:30~21:30(L.O.20:30、ドリンクL.O.20:30) ※新型コロナウイルス感染拡大により、夜間の営業時間が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください
定休日:無
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/57kdv4j70000/

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