大森の人気焼肉店『板門店』なら12品コース3,000円から! 最強コスパの焼肉を喰らえ

ひと口に“焼肉好き”といっても、好みは人それぞれ。グループで焼肉を食べに行った場合など、「結局自分の好みの肉を選べなかった」ということは珍しくありません。「ちょっぴりでいいから、自分が食べたい肉を味わいたい…」という方に朗報。大森にある老舗焼肉店『板門店(ハンモンテン)』では、鮮度や切り方にこだわった上質なお肉を1枚193円から注文できるんです!

桑原恵美子

創業は1967年、大森で3代続く老舗焼肉店

『板門店』は、JR京浜東北線・大森駅と、都営浅草線・馬込駅のほぼ中間にある焼肉店。1967年創業で、現在の店主で3代目。地元で長く愛され続けている焼肉店だ。

それぞれの駅から10分ほど歩いた環七通り沿いにある『板門店』(写真上)。角地に面していて、「焼肉」の大きな看板が遠くからも目立つ(画像提供/『板門店』)。

入口近くには広々としたテーブル席があり、隣のフロアは居心地のいいソファ席も。

奥には、靴を脱いであがることのできる小上がりの掘りごたつ席まである。1人焼肉でも家族連れでも、グループでの宴会でも対応可能で使い勝手がよさそうだ。

”1枚オーダー“のヒントは焼鳥から。「焼肉の楽しみ方はもっと広げられる」

店主は3代目となる木戸大碩(きど・だいせき)さん(写真上)。『板門店』で提供している一品料理は、創業者である木戸さんの祖母が家族のために作っていた家庭料理をベースに、改良を加えたもの。韓国料理ではあってもそれほど辛みが強くないので、辛いものが苦手な女性や子供にも好評だ。

「辛さが強すぎると、その刺激を和らげようと味覚が少し麻痺します。すると、旨味もわかりにくくなる。僕自身があまり辛すぎる料理が好みではないこともありますが、バランスを間違えない味づくりを心掛けています」と木戸さん。

木戸さんはいろんなお店の食べ歩きが大好きで、肉を1枚から注文するスタイルを思いついたのは焼鳥屋で食事をしていた時。「一貫から注文できる寿司、1~2本から注文できる焼き鳥など、小ロットから注文が出来るスタイルを焼肉に落とし込めないか?」と思い、“1枚売り”を始めた。

確かに1枚からオーダーできることで、「コースで食べて美味しかったお肉を、追加でもう1枚だけ食べたい」「いろんな部位を食べ比べたい」「食べたことのない部位に挑戦してみたい」など、これまで焼肉店でかなえられなかったいろんなことがかなえられる。

肉は木戸さん自らが目利きをして仕入れ、「1枚1枚、最高に美味しく味わってもらえるストーリーを考えながら」(木戸さん)切り方を工夫している。

希少部位「カイノミ」が1枚293円! こだわりの「上ロース」が1枚440円!

1枚からオーダーできる肉の例を紹介しよう。

「上ロース(タレ)」(写真上)は、A4からA5クラスの黒毛和牛のもも肉「トモサンカク」を使用。

「その店の個性・特徴は料理の味付け、特に焼肉のタレに出ると思っています。一番差が出るのは、カルビなどの味付けに使うモミダレ。次点でホルモンなどに使われる味噌ダレ、バランス取りの難しい塩ダレ。この上ロースはぜひ、うちの自慢のタレを揉みこんだ『タレ焼き』から召し上がってみてください」(木戸さん)。

やや厚切りのスライスなので、甘みのある脂と、それに負けない赤身のうまみがはっきりと感じられる。やや甘めのタレが、肉の脂の甘みをさらに引き出している。

「カイノミ」(写真上)はカルビの一種で、赤身のうまみとほどよい脂、ほどけるような食感のやわらかな赤身の繊維が特徴。タレ焼きがおすすめだが、塩でさっぱり味わうのにも向いているという。

「上ミノ」(牛の一番目の胃袋/写真上)は、ホルモンの中でも木戸さんが一番好きな部位。そのため特にこだわりが強く、厚みのあるオーストラリア産のミノの中でもとくに厚みのある部位だけを1枚40gというボリュームで提供している。

「肉厚で柔らかい中にも最後の“ジャキツ”と噛み切るミノ独特の食感を奥歯で感じられるように、ミノの表側のみに深く切れ込みを入れています。そうすることで奥歯、耳、脳に印象が刻まれて、『あの食感をもう一度食べたい』と、味以外の強い印象を残せれば、という狙いがあります」(木戸さん)。

40gというのは、木戸さん基準の“一口で食べることが出来る限界サイズ”であり、「実際は多くのお客様は食べやすい好みの大きさにカットして召し上がられています」とのこと。ミノ好きな方に絶対に食べて欲しい一品だ。

肉4種類+ホルモン2種類を含む全12品のコースも3,000円から!

1枚ずつのオーダーも人気だが、この店の一番人気は、12品で3,000円という驚きの価格の「スタンダードコース」。

「板門店サラダ」と、具材たっぷりの手の込んだタレがかかった「旨辛冷奴」(写真上)。これだけでお酒がぐいぐい進みそうだ。

「キムチ」「ナムル」「サンチュ」(写真上の右から時計まわり)。食材の下ごしらえから味付けまで、家族伝来の方法で心をこめて漬けているというキムチは、見た目は赤くて辛そうに見えるが意外にマイルド。複雑なうまみとともに、白菜の甘みもしっかり感じられる。ビビンバの素材となるナムルも1品1品味付けを調整し、丁寧に作っている。

「お肉はもちろん鮮度管理や切り方も大事ですが、突き詰めて言うとお金を出せば、いい肉が手に入ります。その意味で、店にしか出せない個性はやはり、料理の味付けにあると思うんです」と木戸さん。

肉は写真上左から時計まわりに、赤身の一番人気「カルビ」、「ロース」、肋骨と肋骨の間にあたる部位「中落ちカルビ」、「タン塩」の4種。

「タン塩」(写真上)は、「上タン塩」や「厚切り上タン塩」のスペックに満たない赤身の部位を、両面から細やかなスリット加工を施しているので、歯切れよくタン独特のうまみも味わえる。

板門店のロースは、黒毛和牛の「シンタマ」と呼ばれる内モモの脂肪の少ない赤身肉を薄く切りだしているのが特徴。できるだけ大きく薄くするために、観音開きにしている。やや強火でサッと炙り、両面に軽く焼き色がつく焼き加減がベストとのこと。ロース肉ならではのきめ細かくなめらかな食感と柔らかさを堪能できる。

ホルモン2種は日によって種類が変わるが、取材日は「無限ホルモン」(シマチョウ/牛の大腸)(写真上・左)と「マルチョウ」(小腸)(同・右)。

『板門店』でとくに人気の高いホルモンが、肉厚で甘い脂たっぷりの和牛の「シマチョウ」。やや強火で肉を焼き、脂に焦げ目がつくくらいで食べると、まさに“無限”に食べ続けたくなる美味しさだ。

じつは『板門店』には、2種類の「シマチョウ」メニューがある。もともとは、脂のたっぷりのったシマチョウを「ホルモン」というメニュー名で提供していた。しかし木戸さんは「脂ののっていないシマチョウも美味い」「これを差別化して商品化したい」と考えた。

「脂ありのホルモンに比べてさっぱりしているから、いくらでも食べていられる」という感想をダイレクトに伝えるために考えたのが「無限ホルモン」で、その魅力を知ってもらうためにコースメニューに組み込んだという。

コース料金(3,000円)内で、シメをメニュー30種以上から選べる!

価格を考えるとこのコース内容の充実度だけでも驚きだが、さらに驚くのは、シメを既存の麺・ご飯・スープ類のメニューから自由に選べること。その選択肢はなんと、30種類以上。クッパも冷麺もビビンバもチゲもスンドゥブも、選び放題なのだ。

3,000円のコースでありながら、なんと「石焼きチーズビビンバ」(写真上/単品1,320円)もチョイス可能。

この料理は、無類のチーズ好きでもある木戸さん考案。「これでもか」というほどふんだんにチーズを使い、チーズの味わいを活かすためのさまざまな工夫がされている。

例えば同店の通常のビビンバでは焼肉のタレで味付けをした挽肉を使用しているが、やや濃いめの味付けにするため、石焼チーズビビンバでは使用していない。また歯切れの点でチーズの邪魔になる小松菜のナムルを使用していない。チーズ好きならではの、徹底したこだわりだ。

運ばれて少し時間を置いてからよくかき混ぜ、パリパリの香ばしさを楽しむもよし(上の写真右)。運ばれてきてすぐに全体を念入りに混ぜると、トロトロのチーズリゾットのようになる。

これだけでももちろん美味しいが、味変用のハチミツが添えられているのでぜひ試してみて欲しい。木戸さんが、ピザ店で「クワトロフォルマッジ(4種のチーズ)」のピザを食べた時、添えられたハチミツをかけたら美味しかったことから考案。「ボリュームがあるので、後半、少し加えると、また全然違う味わいになります」(木戸さん)。

木戸さんの一押しは、約3カ月がかりで開発して完成させた「担々麺(赤)」(写真上/単品990円)。運ばれてきた時から、ただごとでないゴマの香りが広がる。

辛味もあるが、驚くのはそのまろやかさとコク。あまりに大量の練りゴマを使うので、リーズナブルな価格にするために、店でゴマを摺って練りゴマを自作している。担々スープに味変で酢を加えることがあるが、このスープは最初から酢を加えているので、濃厚なのに後味に独特のさっぱり感がある。麺にからまる挽肉は、牛タンの赤みの歯ごたえのある部分を粗目に挽いたもの。通常の挽肉と比べてはるかにうまみが強く、しっかりした”肉感”がある。

「うちの濃厚な「コムタンスープ」(牛骨などからとるスープ)で担々麺を作ったら、絶対に究極に美味しい担々麺ができると思ったのです。そこからベースの味を作るまで何十軒も担々麺を出す店を食べ歩き、3カ月間ほど毎日、時には1日に2~3食作って研究しました」(木戸さん)。

それだけ思い入れがあるだけに、このスープを最後まで味わい尽くせるよう、担々麺を食べ終わった人に、まだお腹に余裕がありそうなら半ライスをすすめることもあるという。

何度も繰り返すが、これだけ手のかかったシメの料理が、12品3,000円のコースの中で味わえるのだ。

蔵元から取り寄せている、オリジナルブレンドの”どぶろくマッコリ”も人気

ドリンクのおすすめは、安永3年(1774年)創業で、清酒「有の川」で知られる『有賀醸造』(福島県)から取り寄せている『板門店』オリジナルブレンドのどぶろく「マッコルリの華」(写真上)。

マッコリは甘口が多いが、これは濁り酒特有のコクはありつつもキリッとドライな飲み口で、発酵の微発泡による爽快さもあるため、焼肉との相性は抜群。「お酒が好きな方ほどハマる味ですが、ほどよい酸味もあって意外に飲みやすいので、マッコリが苦手という人もぜひ試してみてください」(木戸さん)。

「もっと焼肉を楽しめないか」…異業種からも貪欲に学びたい

木戸さんが食べ歩き好きなこともあり、肉の1枚売りを始めとする『板門店』スタイルには、異業種からインスパイアされたアイデアが多い。

「焼肉店という本道から脱線してはいけないけれど、異業種から学べることはとても多いと感じています。僕は自分が偏食ともいえるくらい肉好きなこともあって、同じ肉好きな人に共感してもらえるのが何よりもうれしい。自分たちが創り出した味やストーリーを共有し、その輪を広げていけるように、情報としても咀嚼して伝えていくことが、これからの課題です」(木戸さん)。

「大丈夫なのか」と心配になるほどコスパのいい店だが、決してそれだけではおすすめしたくない。安心して食べる喜びを味わい尽くせる店であり、提供する側と喜びを共有できる店だからこそ、本当に肉が好きな人、食べることが好きな人にこの店を心から強く推したい。


【メニュー】
上ロース 440円(1枚)/2,200円(1人前)
カイノミ 293円(1枚)/1,760円(1人前)
上ミノ 424円(1枚)/1,271円(1人前)
スタンダードコース(全12品) 3,000円 ※受付人数2名以上
マッコルリの華  440円(グラス) 1,980円(五合徳利)

撮影:榊 智朗
※「石焼きビビンバ」「担々麺」のみ桑原恵美子

板門店

住所
東京都大田区山王2-42-7
電話番号
050-5484-7862
営業時間
11:30~24:00
(L.O.23:30、ドリンクL.O.23:30)
ディナー 17:00~24:00
(L.O.23:30)
営業時間中は店内飲食、テイクアウトいずれも可能です。
2階席は23時クローズとなります。
定休日:不定休日あり
年末年始(2024年12月31日・2025年1月1日)
※年に1~2回程スタッフ研修のためにお休みを頂く場合がございます。
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/p778200/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。