【連載】小石原はるかの「いま、飲みにゆきます」

トレンドに詳しく、「東京最高のレストラン」から「東京カレンダー」などに至るまで、引っ張りだこの小石原さん。そんないろんな店を知り尽くした彼女が愛している店とは?ホントの、いい店うまいい店に飲みに行っていただく。

2015年09月14日
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レストラン・ショップ
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【連載】小石原はるかの「いま、飲みにゆきます」
Summary
・香港料理の名店として知る人ぞ知る存在だった「艇家」が移転
・以前とは違うスタイルで「飲み」に力を入れる
・赤羽の地下飲食街という穴場

赤羽、だけと繁華な東口ではなく、静かな西口に!

我々酒飲みの間ではお馴染みのおクスリ、ゼリア新薬「ヘパリーゼ」で川平慈英が歌い踊っているCM曲はなぜ歴代クラシックなのか?(ブラームス「ハンガリー舞曲第5番ト短調」、モーツァルト「ピアノソナタ第11番第3楽章(トルコ行進曲)」、チャイコフスキー「バレエ 白鳥の湖 第2幕から 4羽の白鳥たちの踊り」、ラヴェル「ボレロ」etc. ) そんな、世の中的には些細なことを必要以上に考えながら今宵も飲んでおります、こんばんは。

別所哲也が“ハムの人(©丸大食品)”なら、不肖・小石原は“肉の人”というイメージを持たれがちです。もちろんそれは間違ってはいないのですが、肉のお供は常にお酒!だし、なんなら夏の盛りの食欲減退時であれば「カレーは飲み物(©ウガンダ・トラ)」気取りで「晩ごはんはビール」でもいい。というわけで、今後は「肉とアルコール」を並列で推していきたい。そんな野望を込めて始めますのが、この「いま、飲みにゆきます」。お肉もいいけど、お酒もね!

というわけで今回飲みにゆくのは、赤羽。が、目指すは年季の入った飲み屋が多数軒を連ねる東口方面ではなく、比較的落ち着いている西口。イトーヨーカドーのちょっと先の地下飲食街です。正直言って「こんな寂しげなところにいいお店があるの?」と不安になりそうなロケーションなのですが……あるんです(©川平慈英)! お店の名前は『Nomka』。“飲むか?” “飲むか! ”そんな呑兵衛ふたりのコール&レスポンスが聞こえてきそうですが、店名の由来は、違う違うそうじゃそうじゃない(©鈴木雅之)「飲み」という単語と、店主の五十嵐祐二さんがこの店を開く前に営んでいたお店の名前『艇家(ていか)』を合体させて、Nomi+teika=Nomka!

本物の中華が食べられるけど、あくまでも「飲み屋」

奥様手書きの文字がかわいらしいメニューは「冷たいつまみ( “早めに出ます!”という但し書きが親切)」と「温かいつまみ」の二部構成。気軽に飲みに来てもらうお店にしたい、という願いと、厨房が手狭で火力を必要とする料理は難しいという制約から、食材とタレ類を仕込んでおけばさっと出せる冷たいメニューが必然的に増えた、と五十嵐さん。「でも、やってみたら冷たいつまみが思っていた以上に喜ばれて。結果的にラッキーでした」とにっこり。

「ホタテと豆腐のわけぎソース」は、緑色も鮮やかなタレの塩加減がピシャッ!と決まっているし、じっくりと味を入れた「豚スネの煮こごりハム」も、お酒が進むこと進むこと。「真鯛のさしみサラダ」もこれまたタレが見事だし、「大根とセロリの紹興酒漬け」も箸休めにいいんだ、これが。どの皿にも、専門学校時代から中華一筋。香港に本店を持つ広東料理店に勤め、本店で働いた経験も持つ五十嵐さんの技が、さりげなく活きている。そう、ここのお料理、基本は中華なのです。でも円卓ぐるぐる回して大皿をみんなでシェア!というのではなく、あくまで飲み屋さん。そこのところ、誤解なきよう。

で、当然、あたたかいつまみも素敵ぞろい! ホッキ貝の黒豆ソースは、お刺身でもおいしい鮮度抜群のホッキ貝を少しだけ蒸して火を入れることで甘味増幅。「おいしいつけだれ(メニュー上では“つけだれ”に赤い強調点つき!)を添えたハチノスのやわらか煮」や、ぷりっぷりの「おつまみ海老ゆでわんたん」、〆ではなくつまみとしての麺料理「香港やきそば」etc.、あと2回行けば定番チームは全メニュー制覇できるはず、と目下闘志メラメラ。

ワインでガッツリと楽しむべし。

合わせるお酒のラインナップは、ワインが優勢。ビール(ヱビス生)や紹興酒のボトルもあるけれど、力を入れているのはワインです。夫婦ふたりで選んだリストには、ひとつずつに愛のあるひとこと解説が添えてある。自然派の銘柄も織り交ぜつつ、全体的に穏やかな味わいのセレクション、という印象。そしてそれは五十嵐さんご夫妻の印象に通じるところでもあり。口数は少なく、お客さんにあれこれと話しかけるタイプでは決してない。けれど、こちらの様子をきちんと見ていて、的確なタイミングで取り皿を出してくれたり、飲み物を尋ねてくれたり。そういうぐあいに、客をもてなしたいという気持ちがはしばしから伝わってくるから、言葉はなくとも居心地がいい。

というわけで、食べて、飲んで、楽しんで、潔くほろ酔って参りました! ここは、おいしいものとお酒を2〜3人で和やかに分かち合いたいとき、もしくは、おいしいものとお酒を独り占めしたいときにおすすめしたい場所。小さいお店だから、行く前には必ず電話を入れるべし。忙しいとすぐに出られないこともあるけど、少し時間を空けてかけるとつながりますから(体験談)!

<メニュー>
ホタテと豆腐のわけぎソース 880円
真鯛のさしみサラダ 1,180円
大根とセロリの紹興酒づけ 300円
ホッキ貝の黒豆ソース蒸し 1,480円
おいしいつけだれを添えたハチノスのやわらか煮 980円
おつまみ海老ゆでわんたん 880円
香港やきそば 1,100円

写真・岡本 寿

Nomka

住所
〒115-0055 東京都北区赤羽西1-7-1 ループ館B1F
電話番号
03-5948-4233
営業時間
18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日
定休日 日・祝休(不定休の月もあり)
公式サイト
http://r.goope.jp/nomka

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。