8月23日「ミソが濃い」
「シェフス」で40年来出し続けている「車海老の香り蒸し」は、ミソが濃い、河口近辺を行き来している明蝦を使う。
淡水と海水の入り混じるミネラル豊かな水域で育った車海老は、滋味をたっぷりと蓄えている。
まずは身にかじりつき、やさしき甘みに微笑んだら、頭にかじりつく。
殻ごとちゅうちゅうと吸いながら、濃密なミソが舌に絡みつき、官能を刺激するコーフンに酔い、その酔いに酒を合わせる。
そしてそのミソが溶け出た蒸し汁にご飯を落として、よくよく混ぜたら一気呵成。どんないい人でも、分け与えたくなくなる味の勢いがあって、脇目も振らず、無言で食べて箸を置く。
たまりません。
<メニュー>
車海老の香り蒸し 4,000円(税別)
CHEF’S(シェフス)
- 電話番号
- 03-3352-9350
- 営業時間
- 18:00~L.O.21:00
- 定休日
- 定休日 日曜、祝日(GW休、盆時期休、年末年始休)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
8月24日「桐ケ谷の危険な鮨」
やはり「なかのや」は危険なのである。
金ちゃんは、アワビやミル貝の作りなんかも出してくれるけど、茶ぶりナマコや自分で干した青柳や、アワビの肝を漬け込んだやつ、アナゴ肝煮などをタイミングよく、次々と出してくれるんだから。
こりゃあ、もう、飲むしかないでしょという話になる。
握りになる頃にゃ、へろへろだけどしっかる覚えているよ。
酢飯を、温度も酢の具合も握りもよくなったね。
まあこの間来た時には、店の酒が次々と空瓶になったからね。
今日も調子よく一升ちょっとはへえったかな。
途中誤字脱字は酔っ払いに免じてご勘弁。
こんな危険、大好きだなあ。
なかのや
- 電話番号
- 03-6417-4180
- 営業時間
- 18:00~22:30
- 定休日
- 定休日 月曜日
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8月29日「白桃の気品」
白桃は望んでいるのだろう。
日本人が、宝物のように扱い、気品のある甘さを汚さぬように扱っていることに感謝しながらも、望んでいるのだろう。
私をもっといたぶって。たくましくしてと。
そんな望みを叶えたデセールが、銀座「ドミニク・ブシェ」にあった。
桃を赤く染めるのは、クロゼイユの甘いソース。
赤く、濃く、甘みを強めたソースは、桃抱き合い、高め合う。
繊細な桃の甘みは、ソースに負けることなく、艶を帯びて、我々を夢の中へと誘ってゆく。
思わぬ桃のあでやかさに、心が揺れ動き、唇がひりりとしびれる。
アラン・デュカスが「世界一のメルバ」と絶賛したという、
波多江篤シェフ渾身のデセール「桃のポシェ メルバスタイル バニラアイスクリーム」。
ドミニク・ブシェ トーキョー
- 電話番号
- 050-5487-1248
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- ランチ 12:00~15:30
(L.O.13:30)
ディナー 18:00~23:00
(L.O.20:30)
- 定休日
- 水曜日
夏季休業、年末年始休業、イベント等による定休日変動あり
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8月30日「旧き良き皿うどん」
人は「ねちねち」に弱い。
調査によれば、最も弱いのは「もちもち」らしく、それに「しこしこ」や「しゃきしゃき」が追随する。
どちらかというと、「ねちねち」は忘れがちであるが、たまに出会うとやられてしまう。
博多の皿うどんは、その「ねちねち」で誘惑する。
元祖の「福新楼」によれば、冷蔵庫がない時代に、麺を油で揚げて保存していた。
しかし揚げた麺はゴワゴワで、食べづらい。
そこでスープで煮込み、柔らかくすることことを思いついたのだという。
炒めた野菜にスープを注いで、軽く煮込む。
野菜を鍋から取り出し麺を入れ、醤油と少量の砂糖を入れて10分煮込む。
しかるのち野菜を戻し完成する。
食べれば麺は、ねちっねちっと歯の間で弾み、吸い込んだ油のコクとスープのうま味と甘みを舌に広げる。
これはクセになる。
具は、キャベツに人参、もやしに木耳、西門蒲鉾店の紅白蒲鉾と角天、豚肉で、麺と一緒に食べても、麺の味をリフレッシュさせるために交互に食べてもよし。
僕は後者が好きで、最後はわざと麺だけが残るようにする。
そして麺だけの味を、しみじみと味わいながら箸を置くのである。
<メニュー>
福建炒麵 博多皿うどん
1,050円(税別)
中国菜館 福新楼
- 電話番号
- 092-771-3141
- 営業時間
- 月~日 11:30~22:00 (L.O.21:00)
- 定休日
- 定休日 火曜 年末年始
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8月31日「世界一隠微な炒飯」
この時間にアップしてはいけないと思いつつ
油の香りとご飯の甘い香り、そしてトリュフの香りが混じり合う、世界で一番隠微な炒飯である。
ご飯の熱で取り分けている時点から、香りが漂い、目前に運ばれてコーフンする。
油でコーティングされた米は、油っぽさを微塵も感じさせず、口の中でハラハラと踊りながら、トリュフの香りを撒き散らす。
極微塵に切られたトリュフも、米一粒一粒にへばりついて、不敵な笑いで刺激する。
明らかに反則である。
正しき反則である。
青山「ダイニーズテーブルのトリュフ炒飯」。
<メニュー>
2名盛りで2,000円(税込・サ別)夜のみの提供
DAINI’S table(ダイニーズテーブル)
- 電話番号
- 03-3407-0363
- 営業時間
- 11:30~15:00 (L.O.14:30)、17:30~23:00 (L.O.22:00)
- 定休日
- 定休日 日曜
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