ウニたっぷりの名物から名焼鳥、〆は(福岡だけど)そば。

【連載】「私を"はしご酒"に連れてって(福岡で)」第二夜  福岡の酒飲みは1軒では帰らない。ほぼ必ず2軒目に行くし、2軒目を出たら次の店…。職住近接ゆえ終電や終バスを逃しても笑顔で楽しく飲んでいる。“はしご酒”文化が根付くこの街の遊び方を毎回伝授いただく。

2015年10月14日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • ビストロ
  • 福岡
  • 連載
  • はしご酒
ウニたっぷりの名物から名焼鳥、〆は(福岡だけど)そば。
Summary
・二人目は、東京から来た街の人気者
・連日満席の焼鳥は二回転目に
・シメはラーメン、ではなく、、、

■第二夜:「とどろき酒店」黄 小晃さん オリジナリティ溢れるもてなしのビストロへ

今回、はしご酒に連れてっていただいたのは、福岡在住3年目という黄 小晃(こう しょうこう)さん。街の人々からは、黄ちゃんと呼ばれ、ここ福岡でも愛されている存在。とにかく食べること、飲むことが大好きで、20代は東京の「DEAN&DELUCA」やカフェなどで働いていたという。約4年前、黄ちゃんはとあるビストロの立ち上げスタッフとして福岡にやってきた。

「その店のスタッフとして働くのは3カ月と決まっていました。当時、『とどろき酒店』の轟木渡さんから『うちで働いてみない?』と声を掛けていただいたのですが、3カ月限定のつもりだったし、ひとまず東京に戻って、半年悩んで、2013年4月、スーツケース1つで再び福岡にやってきました」

「とどろき酒店」と言えば、全国の銘酒と自然派ワインをいち早く取扱い、全国にその名を轟かせる酒販店だ。黄ちゃんが福岡で暮らすことを決めたのは、福岡の居心地の良さに加え、「とどろき酒店」で働けることに魅力を感じたからという。

待ち合わせの時間、黄ちゃんは颯爽と自転車で現れた。福岡は街全体がコンパクトで坂が少ないため、自転車で行動する人が多い。彼女も福岡ライフを満喫しているというわけだ。

そんな黄ちゃんとのはしご酒は、福岡のグルマンたちを魅了しているビストロ「Yorgo」からスタート。

フランスや東京の店で経験を重ねた店主・川瀬一馬さんは、2014年6月、奥様の実家がある福岡にこの店を構えた。ご覧の通り、調理台とカウンターに仕切りはなく、スタッフとの距離がとても近い。

「よく通る道なので、窓から中を覗くんです。ちょっと挨拶だけして帰ろうと思っているのに、『寄って行かないの?』と言われると、結局、寄っちゃうんですよね」

一度食べるとヤミツキになる「ウニとジャガイモ」(写真上・1,000円)や、季節ごとに合わせるフルーツなどが変わっていく「〆サバと水ナス、マスカットのマリネ」(写真下・1,000円)など、確かな技術と遊び心のバランスが絶妙な“川瀬”料理の数々が、福岡の人々を虜にする。

「一人のときはポーションを少なめにしてくれるなど、心遣いが素晴らしい。自然派ワインの選択肢が広いのも嬉しいし、何より川瀬さんの人柄が魅力。一人でも来るし、県外から来る友人や知人を連れてくることも多いですね」

Yorgo(ヨルゴ)

住所
〒810-0023 福岡県福岡市中央区警固2-15-20 まどかビル1F
電話番号
092-725-8277
営業時間
18:00~1:00(L.O.24:00)
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/7gbs125x0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

■丁寧な仕事が光る焼鳥をワインとともに

続いて訪れたのは、話題の店が次々にオープンする注目のエリア・大手門の「焼とり 鳥次(ちょうじ)」。東京時代からこの店の噂を聞いていた黄ちゃんは、福岡に来てすぐ、現在のボスである「とどろき酒店」の轟木さんに連れてきてもらったそうだ。

メニューは肉5種、野菜4種、う玉1本のコース(10品2,500円)が基本。朝びき鶏を自分たちで22、3部位に捌き、お客の好みやバランスを考えながら5本を選ぶ。一通り10本いただいた後は、リクエストも可能だ。

カウンター14席のみのこぢんまりした店ゆえ、連日予約で埋まってしまいがちだが、黄ちゃんは21時を過ぎた2回転目を狙って訪れることが多いそうだ。

「福岡の店は遅くまでやっているところが多いから、2回転目で入っても次に行ける店がある。店の前まで来て席が空いていないときは、近所の店で軽く飲みながら、連絡が来るのを待つこともありますね」

この店の店主・小林龍治さんは、お向かいにある「クロマニヨン」や次にご紹介する「出谷右衛門」、そして彼女が勤める「とどろき酒店」などと一緒に、自然派ワインを絡めたイベントなども手掛けている。

焼とり 鳥次(ちょうじ)

住所
〒810-0000 福岡県福岡市中央区大手門1丁目8-14
電話番号
092-715-4301
営業時間
18:00〜L.O.23:00(最終入店22:30)
定休日
定休日 日曜、祝日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/ffdar1h50000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

■〆の1杯はラーメンではなく十割そば

この日、最後に訪れたのは、黄ちゃんが(閉店時間に間に合えば)かなりの頻度で訪れるという「出谷右衛門(でやえもん)」。

「やっぱり最後は麺。美味しいお出汁で身体を落ち着かせて、帰路につくのが理想ですね」

ここ「出谷右衛門」は、店主の出谷一晴さんが、「おいしい日本酒とそばを楽しんで欲しい」と2013年1月にこの店を開いた。お世話になった方々のお酒を届けたいと、伯楽星(宮城)や東洋美人(山口)、土佐しらぎく(高知)などの日本酒を揃える。

この日いただいたのは、広島「宝剣酒造」の「呉の土井鉄(くれのどいてつ)」。口当たりがやわらかく、すっきりした後味が特徴だ。

「最後にお蕎麦や出汁を欲して来るんですけど、結局、つまんで飲んで、最後にお蕎麦で〆る感じですね」

この日の〆は「鴨せいろ」(1,400円)。そば湯を入れて最後まで飲み干した。

アテも蕎麦も、1人客の場合はハーフサイズに調整してくれる、出谷さんの心遣いも嬉しい。また、日本酒以外にも、黄ちゃんが大好きな自然派ワインも揃えている。

「つまみも蕎麦も、1人の場合はハーフサイズで提供してくれる。そんな出谷さんの心遣いが嬉しいですね。ここでは基本的に日本酒をいただきますが、大好きな自然派ワインも揃えているので、時々いただいています」


福岡へ越してきて3年目。酒場やイベントなどを通じてできた友達は数知れず。街に出れば、必ず誰かに出会う福岡。彼女のように、気になるお店があれば、一人でも飛び込んでみる——少しの勇気があれば、福岡の夜は、さらに楽しくなるはずだ。

出谷右衛門(でやえもん)

住所
〒810-0074 福岡県福岡市中央区大手門3-1-15-1 1F
電話番号
092-725-1789
営業時間
17:00〜翌1:00(L.O.24:30)
定休日
定休日 日曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/aftkwzys0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。