男臭いスタイル
昨日の昼、久しぶりに会った大学時代の友人から、「エリック・ベネイ」のチケットを手渡された。今晩、席を予約したのに大事な仕事が入って行けなくなったという。ライヴの会場は青山の「ブルーノート東京」。最近、ハウスシャンパーニュがシャルル・エドシックになったと、その友人が教えてくれた。ちょっと男臭いシャルルのスタイルは、ブルーノートの雰囲気によくマッチしている。
同門に赤いラベルを纏い、より派手な印象のパイパー・エドシックが控えているせいか、シャルルの存在はいくぶん地味。しかし、じつのところその造りたるやこだわり満載。ひと口試せば、シャンパーニュ・ラヴァーのハートを鷲掴みにすること請け合いである。
6年もの長い年月の熟成
ブリュット・レゼルヴNVの品種構成は、ピノ・ノワール40%、シャルドネ40%、ムニエ20%。平均10年寝かせたリザーヴワインが40%も含まれている。瓶詰めから澱抜きまでの熟成期間は最低36ヶ月だが、現行のものは2008年に瓶詰めされた2007年ベースのもの。澱抜きは14年12月と裏ラベルに記載されているので、じつに6年もの間、ランス地下にあるチョーク質のセラーで寝かされていた計算になる。この高い比率のリザーヴワインと長い熟成期間が、味わいの複雑さや奥深さに結びついていることは言うまでもない。
クリュッグが認めた味
もうかれこれ20年ほど前になるだろうか。クリュッグ家6代目のオリヴィエに、「自分のメゾンを除いてどこが一番好き?」と尋ねたら、なんの躊躇いもなく「シャルル・エドシック」と即答した。40%におよぶリザーヴワインの比率や実質6年もの瓶内熟成期間(あちらは”最低”6年だけど)を思えば、原酒の樽発酵こそしていないとはいえ、ミニ・クリュッグの称号を与えても失礼にはあたるまい。
今年から新しいセラーマスターに元ヴーヴ・クリコのシリル・ブランが就任。クリコ入社の前にシャルル・エドシックでも就職活動をしていたという彼なら、メゾンのスタイルを崩すことなく、さらに品質を高めてくれるだろう。
ソウルフルな歌声ときめ細かな泡
「ブルーノート東京」といえば、ジャズの殿堂だが、ステージを彩る音楽ジャンルはジャズのみに留まらない。現代R&Bのヒーロー、エリック・ベネイのソウルフルな歌声とともに、シャルル・エドシックのキメ細かな泡がビートを打つ。
ステージが始る前にしっかり食事をとっておくのが、紳士のたしなみ。11月は27周年のスペシャルディナーに、シャルル・エドシックのブリュット・レゼルヴが1杯サービスされるという。
※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら
ブルーノート東京
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