10月15日一軒目「1頭に2つしか取れない部位とは」
直腸は、ふんわりと歯の間で踊り、甘く消えていく。
ああ、体の力が抜けるからもうやめて。
一頭から二個しか取れないというコメカミは、噛み締めれば噛みしめるほどに味が湧き出て、ふられたトリュフ塩が色気を呼ぶ。
こいつはワインだ、ちこうよれ!
チレは、そのかすかなエグミを消すよう、和歌山の上質な山椒が振られて、脂の甘みを持ち上げる。
あとは、焼酎を飲み、ワインを飲み、大笑い。
鳥茂
- 電話番号
- 03-3379-5188
- 営業時間
- 月~土 17:00~翌1:00 (L.O.24:00)
- 定休日
- 定休日 日曜
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10月15日二軒目「日本のスパ」
Japanese-style meat sauce spaghetti@純喫茶ミロ
画廊喫茶ミロ
- 電話番号
- 03-3291-3088
- 定休日
- 定休日 日曜・祝日
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10月16日「サラダは生きていた」
サラダは男だった。
葉脈を傷つけられ、塩と赤ワインヴィネガーをすりこめられ、オイルをまぶす。
「どうだお前ら、まだ生きているか? これでお前らの力を見せてみろ」。三谷シェフは、菜っ葉の根性に語りかける。
菜っ葉は見事に応えて、歌い出す。
腕を天に伸ばし、口の中で、甘み、ほろ苦味、香りを発散させる。
「どうだ人間! これが俺らだ。俺らの命だ」。
これがサラダである。
世に多くある、人間と菜っ葉が馴れ合ったサラダではない。
料理とは、人間と食材との命のやり取りでもある、ということを教えてくれるサラダである。
「こんなにかけるんですか? と言ってしまうくらい、グリュイエールをたっぷりかけるんです」。
チーズのうま味が心を溶かし、玉子の甘みに腹を抱えて笑い、きのこの香りにむせび泣く。
「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」のキノコのオムレツ。
L’esprit MITANI a Guethay (レスプリ・ミタニ ア ゲタリ)
- 電話番号
- 03-5771-3008
- 営業時間
- 火曜18:00~L.O.24:00、水曜~土曜12:00~15:00(L.O.14:00)、18:00~24:00(L.O.23:00)、 日曜12:00~17:00(L.O.15:30)、18:00~24:00(L.O.23:00)
- 定休日
- 定休日 月曜
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10月17日一軒目「熟れた味わいの鮨とは」
酢飯の酸味が、カーブを描いて舌の上を流れていく。
そこに年増の艶を漂わすサワラがほぐれ、気品の中にエロスを秘めた白皮ぐじが身をよじる。
肝を抱いたカワハギは、「酒を飲んでね」と耳元で囁き、4日目の秋刀魚は、際どさの中に命の色香を滲ませる。
塩漬けしてから塩を抜いたという筋子は、筋がなく滑らかで、まるで今腹から出てきたばかりかのような自然の甘みで笑わせる。
ぶりの握りは、口を開けた瞬間、ねちっこい香りが立って、熟れた脂が舌をたぶらかす。
木村さんは、爽やかな方なのに、どうしてこんなエロイ寿司を握るのだろう。
二子玉川にて。
㐂邑(きむら)
- 電話番号
- 03-3707-6355
- 営業時間
- 昼の部 水曜日・日曜日のみ12:00~の1部制、夜の部 17:30~19:30 19:30~21:30の2部制
- 定休日
- 定休日 月曜
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10月17日二軒目「旨い豆」
「どうなのよ」と、豆がたずねる。
「君の重さが心地いいよ」と、ペンネが答える。
「オリーブ油とにんにく、水とローズマリーだけでじっくり炊かれたからね。僕の甘みが素直に出ていると思うんだ」。豆は自信たっぷりに笑った。
「本当にそうだね。甘みがどこまでも優しい。甘みに思いやりがあるなあ」。
「そうかい」。豆はさらに嬉しそうに笑った。
「君の思いやりに応えるために、僕も柔らかく柔らかく茹でてもらったんだ」。
「そうか、だから僕は君に、こんな気持ちよくもたれることが出来るんだね」。
「もっともたれて、からんで、抱き合って、一つになろう!」
「ああ気持ちがいい。溝のない本当のペンネに出会えて、僕も幸せさ」。「ほら食べる人たちの顔見てごらん」。
「ああ笑っているね。輝いているね」。
「生まれ変わっても、また一緒になろうね」。
メゼババ
- 電話番号
- 03-3636-5550
- 営業時間
- 17:00~翌2:00
- 定休日
- 定休日 不定休
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