熟成鮨、ミートソース、そして素晴らしい味わいの豆の話

【連載】マッキー牧元の「ある一週間」 第10週  日本を代表する食道楽の一人、マッキー牧元さん。彼はどんなものを食べて一週間を過ごしているのか。「教えていいよ」という部分だけを少しのぞき見させていただく。

2015年11月21日
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熟成鮨、ミートソース、そして素晴らしい味わいの豆の話
Summary
・代々木でワインと焼鳥
・御茶ノ水のミートソース
・四谷で男らしいサラダ
・二子玉川のエロい?寿司
・亀戸の旨すぎる豆

10月15日一軒目「1頭に2つしか取れない部位とは」

直腸は、ふんわりと歯の間で踊り、甘く消えていく。
ああ、体の力が抜けるからもうやめて。
一頭から二個しか取れないというコメカミは、噛み締めれば噛みしめるほどに味が湧き出て、ふられたトリュフ塩が色気を呼ぶ。
こいつはワインだ、ちこうよれ!
チレは、そのかすかなエグミを消すよう、和歌山の上質な山椒が振られて、脂の甘みを持ち上げる。
あとは、焼酎を飲み、ワインを飲み、大笑い。

鳥茂

住所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-6-5
電話番号
03-3379-5188
営業時間
月~土 17:00~翌1:00 (L.O.24:00)
定休日
定休日 日曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/5ugdww0x0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

10月15日二軒目「日本のスパ」

Japanese-style meat sauce spaghetti@純喫茶ミロ

画廊喫茶ミロ

住所
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-4-6
電話番号
03-3291-3088
定休日
定休日 日曜・祝日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/rxp62eh30000/

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10月16日「サラダは生きていた」

サラダは男だった。
葉脈を傷つけられ、塩と赤ワインヴィネガーをすりこめられ、オイルをまぶす。
「どうだお前ら、まだ生きているか? これでお前らの力を見せてみろ」。三谷シェフは、菜っ葉の根性に語りかける。
菜っ葉は見事に応えて、歌い出す。
腕を天に伸ばし、口の中で、甘み、ほろ苦味、香りを発散させる。
「どうだ人間! これが俺らだ。俺らの命だ」。
これがサラダである。
世に多くある、人間と菜っ葉が馴れ合ったサラダではない。
料理とは、人間と食材との命のやり取りでもある、ということを教えてくれるサラダである。

「こんなにかけるんですか? と言ってしまうくらい、グリュイエールをたっぷりかけるんです」。
チーズのうま味が心を溶かし、玉子の甘みに腹を抱えて笑い、きのこの香りにむせび泣く。
「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」のキノコのオムレツ。

L’esprit MITANI a Guethay (レスプリ・ミタニ ア ゲタリ)

住所
〒160-0011 東京都新宿区若葉2-7
電話番号
03-5771-3008
営業時間
火曜18:00~L.O.24:00、水曜~土曜12:00~15:00(L.O.14:00)、18:00~24:00(L.O.23:00)、 日曜12:00~17:00(L.O.15:30)、18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/gag6vhku0000/
公式サイト
http://www.lesprit-mitani.com/laccueil.html

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10月17日一軒目「熟れた味わいの鮨とは」

酢飯の酸味が、カーブを描いて舌の上を流れていく。
そこに年増の艶を漂わすサワラがほぐれ、気品の中にエロスを秘めた白皮ぐじが身をよじる。
肝を抱いたカワハギは、「酒を飲んでね」と耳元で囁き、4日目の秋刀魚は、際どさの中に命の色香を滲ませる。
塩漬けしてから塩を抜いたという筋子は、筋がなく滑らかで、まるで今腹から出てきたばかりかのような自然の甘みで笑わせる。
ぶりの握りは、口を開けた瞬間、ねちっこい香りが立って、熟れた脂が舌をたぶらかす。
木村さんは、爽やかな方なのに、どうしてこんなエロイ寿司を握るのだろう。
二子玉川にて。

㐂邑(きむら)

住所
〒158-0094 東京都世田谷区玉川3-21-8
電話番号
03-3707-6355
営業時間
昼の部 水曜日・日曜日のみ12:00~の1部制、夜の部 17:30~19:30 19:30~21:30の2部制
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/gczs600/
公式サイト
http://www.sushikimura.tokyo/

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10月17日二軒目「旨い豆」

「どうなのよ」と、豆がたずねる。
「君の重さが心地いいよ」と、ペンネが答える。
「オリーブ油とにんにく、水とローズマリーだけでじっくり炊かれたからね。僕の甘みが素直に出ていると思うんだ」。豆は自信たっぷりに笑った。
「本当にそうだね。甘みがどこまでも優しい。甘みに思いやりがあるなあ」。
「そうかい」。豆はさらに嬉しそうに笑った。
「君の思いやりに応えるために、僕も柔らかく柔らかく茹でてもらったんだ」。
「そうか、だから僕は君に、こんな気持ちよくもたれることが出来るんだね」。
「もっともたれて、からんで、抱き合って、一つになろう!」
「ああ気持ちがいい。溝のない本当のペンネに出会えて、僕も幸せさ」。「ほら食べる人たちの顔見てごらん」。
「ああ笑っているね。輝いているね」。
「生まれ変わっても、また一緒になろうね」。

メゼババ

住所
〒136-0071 東京都江東区亀戸6-26-5
電話番号
03-3636-5550
営業時間
17:00~翌2:00
定休日
定休日 不定休

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。