ほんの数年前までは、「立ち呑み」といえばオヤジの社交場的色彩が強く、その独特のローカルルールや店構えなどから、誰でもが簡単に立ち入ることが出来ない特殊な場所だったと言えるだろう。
しかしながら、西麻布あたりのスタイリッシュなバーから、本格和食、はたまたフレンチやイタリアンにいたるまで間口が広がり、スタイリッシュな人たちや若い女性までが普段遣いするようになり、その存在は完全に市民権を得たといえるだろう。
そんななか、また注目したい立ち呑み店が恵比寿にオープンした。
油の臭いがつかない天ぷら
10月19日にオープンした「喜久や」は、天ぷらを中心とした料理が楽しめる立ち呑み店。「安い、旨い。かっこいい」をテーマに明るく、クリーンな店内で天ぷらとともに日本酒やワインが味わえる。

天ぷらを気軽でリーズナブルに味わえる店ではあるが、そのレベルは侮れない。しっかりと油分が切られた衣はカラッと揚がっているが、中の素材の水分は適度にキープ。しっとりとした旨みがある上、冷めても一定のレベルを保ったままなので、話に夢中になっても大丈夫。
また、天ぷらというと油を使うので、どうしても服に臭いが付きがちだが、こちらでは何時間かいても気になるレベルの臭いにはならなかった。
そんな部分も女性にウケるだろう。
天ぷらは、定番のエビや穴子などはもちろん、辛子明太子、生麩、はたまたパクチーなどといった変わり種まで。その他、おばんざいメニューも充実している。


酒は基本的に国産の日本酒、焼酎、ワインだが、天ぷらを日本にもたらしたポルトガルのワインだけは例外的に置かれているのも面白い。
特にヴィーニョ・ヴェルデ=緑のワインと呼ばれる、微発泡でアルコール度も低いポルトガルのテーブルワインと天ぷらはさすがの相性だ。

インターナショナル
これまで、どうしてもかしこまった高級店かチェーンの天丼屋という極端な選択になりがちだった天ぷらだが、今後このスタイルを広げていきたいというから期待できる。
また、オーナーが以前アパレルのバイヤーをしていたという経験から、海外にも目を向けており、今後は欧州やアメリカTACHINOMI文化を広げていきたいという。ここ数年、スペイン・バスクのサン・セバスティアンあたりでバルを巡るというスタイルを楽しむ日本人が増えてきたが、今度は日本から“TACHINOMI”文化を輸出する順番といったところだろうか?

この恵比寿店でも、場所柄外国人客の姿も多く見受けられ、外国語が話せるスタッフも常駐。そこに界隈のサラリーマン、OL、学生、らが肩を寄せ合い飲んでいる姿はなかなかにスタイリッシュだ。

<天ぷら>
大海老400円、穴子300円、蓮150円、さつま芋150円、アスパラ180円、雲丹400円、辛子明太子280円、なまふ300円、パクチー300円など
喜久や
- 電話番号
- 03-5422-9077
- 営業時間
- 11:00~15:00、16:00~0:00(フードL.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)
- 公式サイト
- http://kikuyajp.com/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
