キーワードはRM
ここ10年ほどのトレンドだろうか、RMのシャンパーニュを見かける機会が増えてきた。RMとはレコルタン・マニピュランの略。自社畑のブドウのみからシャンパーニュを醸造する造り手を指す。大手メゾンのノンヴィンテージより個性的なものが多く、当たり障りのない味わいに飽きてしまったシャンパーニュ・ラヴァーにこそうってつけ。今宵はひとつ、美味しいRMを探しに出るとしよう。
ジャック・セロスばかりが素晴らしいRMにあらず。
猫も杓子もRMの昨今とはいえ、じつのところ、品質の高いRMはほんのひと握り。ブルゴーニュのすべてのドメーヌが大手ネゴシアンより優れたワインを造れるわけではないのと同様に、RMだからといってみんながみんなカリスマRMのジャック・セロスになれるわけではない。では数多あるRMの中でも信頼できる造り手は誰か? その筆頭がピエール・ペテルス。コート・デ・ブランのグラン・クリュ、ル・メニル・シュール・オジェのRMである。
メニルの単一畑で栽培されるシャルドネ
サロンとクリュッグのクロ・デュ・メニルが双璧をなすメニルだが、ペテルスの「レ・シェティヨン」もひけをとらない。メニルの単一畑レ・シェティヨンに所有する、樹齢の高い3つの区画のシャルドネのみから造られた特別キュヴェ。当然ミレジメで、単一クリュ、単一品種、単一ヴィンテージという点でも、サロンやクロ・デュ・メニルに並ぶ。
現行ヴィンテージは2006年。熟成の長さだけはさすがに2002年のサロンや2000年のクロ・デュ・メニルに及ばないとはいえ、8年の熟成で何の不満があろうか。
わずか10センチの表土の下にチョーク層というメニルの土壌は、ワインにピュアな酸味と力強いテンションをもたらし、長期熟成のポテンシャルを発揮する。では今開けたらまだ早すぎて飲みづらいかといえば、比較的気温の高かった2006年だけに、ふくよかさが酸味をうまくオブラートに包む。サロンと同じく樽は一切使わぬ方針にもかかわらず、アフターに感じられるほのかなナッツのニュアンスが香ばしい。
さて、どこで飲めるのかと知人に相談すると、銀座の「ラ・ニュイ・ブランシュ」にあるという。マニアックなワインを揃えていることで有名なワインバー。オーナーソムリエの幅紀長さんのセレクトは間違いがない。どうやら今はアルバの白トリュフのシーズン。極上のブラン・ド・ブランに白トリュフのパスタ。ちょっと寄るつもりがつい長居してしまいそうだ。
※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら
La Nuit Blanche (ラニュイブランシュ)
- 電話番号
- 03-6909-9561
- 営業時間
- 18:00~
- 定休日
- 定休日 日曜 (祝日は営業。月曜が祝日の際は、日曜に営業し月曜休み)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。