世田谷生まれの女性が福岡で開眼した、はしご酒の楽しさ
今回のはしご酒案内人は、湯布院から福岡に出店を果たした「さめじま精肉店」の取締役であり、併設の鉄板焼きレストラン「La Boucherie S」のフロアを切り盛りする一方、福岡のおしゃれストリート、けやき通りのマンションの一室でエステサロンを営む鮫島真樹(さめじままき)さん。東京都世田谷区で生まれ、中学生までを横浜で過ごした真樹さんは、父の病気療養のため大分へ移住。20歳のとき、湯布院で精肉店を営むご主人と出会い、21歳で結婚して湯布院で暮らすようになった。
湯布院では、信頼のおける牧場から未経産黒毛和牛を一頭丸ごと仕入れ、ご主人が自ら捌く「さめじま精肉店」と併設の「焼肉さめじま」を共に切り盛りしていたが、顧客の殆どが福岡や東京の県外客だったことから、本店をご主人の実家に任せ、約5年前、福岡に店を構えることになった。
「はしご酒をするようになったのは、福岡で暮らすようになってから。殆ど知り合いもいなかった私に、隣で飲んでいた人や、通りすがりに会った人が、一緒に飲もう!と声を掛けてくれることに感動しましたね」と、真樹さんは当時を振り返る。
■0次会はスイーツとワインのマリアージュを満喫
この日、訪れたのは、パティシエでありソムリエールでもある香月友紀さんが一人で切り盛りする「WINE&SWEETS tsumons」。通りに面したスペースではワインやスイーツを販売し、奥のカウンターでは、約15年に渡り福岡のスフレ専門店で修業を重ねた香月さんによる焼きたてのスフレや、スイーツに合うようにとセレクトされたワインを楽しむことができる。
「エステサロンからレストランへ向かう途中、ふと立ち寄ることが多いですね。冷静に凛として、遠くから自分を見つめ直す場所でもあります」と、真樹さん。優しく語りかける香月さんとの会話も、真樹さんの心を和ませてくれるそうだ。
「エクストラ エクストラ チーズ スフレ」(1,550円)。グラスワインは950円〜、泡は1,000円〜。
「真樹さんは、甘いのがあまりお好きじゃないから」と、香月さんがオススメしたのは、「エクストラ エクストラ チーズ スフレ」。ワインを飲みながら待つこと約30分。甘さ控えめでチーズの風味豊かなスフレは、シャンパンやワインとの相性も抜群だ。
0次会なのに時間を忘れ、ついつい長居してしまい、慌てて次の店に向かった。
WINE&SWEETS tsumons (ワインアンドスイーツつもん)
- 電話番号
- 092-791-8511
- 営業時間
- 16:00〜24:00頃
- 定休日
- 定休日 日曜
- 公式サイト
- http://wine-sweets.com/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■期待を裏切られたことのない話題の中国料理店
真樹さんがディナーに選んだのは、「中国菜 四合院凛丹(しごういんりんたん)」。
「六本松にある本店は何度か訪れていますが、『凛丹』は、さまざまな食材を、味はもちろん、視覚でも楽しませてくれるので、期待を裏切られたことがありません。私がお店を選ぶときに考えるのは、ここにいけば“絶対”がある、期待を裏切らないお店であることですね」。
六本松にある本店がオープンしたのは、2014年1月のこと。香辛料や香草などを巧みに操り、想像を超える発想力で独創的なひと皿を完成させるオーナーシェフの河津充征さんが生み出すメニューの数々は、瞬く間に福岡のグルマンたちの話題となり、予約の取れない店として知られるようになった。
真樹さんが必ずオーダーするのは、「皮蛋とトマト・アボカドの胡麻ソースサラダ」(1,080円)。見た目の美しさに加え、トマトやアボカドの食感、胡麻の風味などが絡み合う絶妙な味わいは、一度食べるとヤミツキに。このシリーズ第二夜に登場した「とどろき酒店」黄小晃さんがセレクトしているという自然派ワインとの相性も抜群だ。
ラム肩ロースと大蒜の茎玉葱のクミン塩炒め(1,512円)
ようやく訪問を果たした真樹さん。河津シェフとの久しぶりの再会に、話は尽きない様子だった。
中国菜 四合院凛丹 (チュウゴクサイシゴウインリンタン)
- 電話番号
- 092-752-5200
- 営業時間
- ランチ11:00~14:00、 ディナー17:30~23:00(22:00 L.O.)
- 定休日
- 定休日 火曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■原田さんマジックに酔いしれる
歩くこと2分。真樹さんが、この日の〆に向かったのは「OPIUM」。店主・原田すぐるさんと真樹さんが出会ったのは、遡ること6年ほど前のこと。共通の知人の結婚式で同じテーブルに座ったのが始まりだったそう。
福岡に住み始めるようになり、真樹さんは原田さんが営む「OPIUM」に訪れるようになった。
グラスに注いだ後、状態を整えていく原田さん
「お酒は、いちばん美味しい状態でご案内したいと思っています。いちばん美味しいというのは、ストレスのない状態のこと。お酒自体が持っている滑らかな味わいで、最後まで酸味を感じることなく飲めるよう、状態を整えてご提供しています」と、原田さんは言う。
「原田さんがセレクトしてくれるものは絶対的な信頼性があり、誰を連れて行っても楽しんでもらえるので重宝します。あの独特の話し方も説得力があって、うん、うんと聞き入ってしまいますね」。
「実はフードも美味しいんですよ」と真樹さん。この日は、「真ダコのテリーヌ」「キノコとベーコンのキッシュ」、「かぼちゃとサツマイモのムース」「フォアグラとブリオッシュ」を1皿に盛りつけてくれた。
福岡で暮らし始めて数年。真樹さんは、福岡での人と人との繋がり、そこから始まるはしご酒を存分に楽しんでいる様子。店を出ると、「あと一軒、呼ばれちゃって…」と、中洲方面に消えて行った真樹さん。彼女のはしご酒は、さらに続いていくのだった。
OPIUM (オピューム)
- 電話番号
- 092-732-8481
- 営業時間
- 20:00〜翌2:00
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。