独特の空気感で恵比寿に吸い寄せるナチュラルなワインだけのスタンドから
恵比寿駅東口を出て3丁目方面に向かい恵比寿郵便局交差点の手前、マンションに入る道のこんな場所に店があるのか?と思う場所にこの店はある。「Winestand Waltz」と名づけられたワイン(ビールなど他のお酒もないし、原則シャンパーニュもあまり置いていない)と少しのつまみ(ケークサレとか)を出す立ち呑みの店だ。
店主・大山恭弘さんはヴァンナチュールの世界ではかなりの有名人。独特のワインセレクトとサービススタイルに賛否両輪あるが、ハマる人はかなりハマる一軒だ。そんな大山さんが選んだのは、フランスの天才醸造家の1本。
VdF rouge Trois ptit'ours et puis s'en va VINIBRATO(ヴァン・ド・フランス ルージュ”トロワ・プティ・ウルス・エ・ピュイ・ソン・ヴァ”/ヴィニブラート)
大山さんが紹介してくれたのは、かなり長い名前の一本。なんと現在は佐渡に移住し、ブドウや野菜を栽培しながらワインバーを経営している天才醸造家、ジャン・マルク・ブリニョ(以下、JMB)氏のフランス・ジュラ産ワイン。直訳すると「Trois ptit'ours」は「3匹の熊」、「et puis s'en va」とは「去りゆく」という意味。これは、JMBが3番めの子供が生まれたのを機にジュラの蔵を閉じ、人生の一つの区切りをつけたことを指す。セパージュはサヴァニャン、プールサールという黒ブドウにシャルドネを混ぜている。ビオロジックやビオディナミで栽培されたブドウを天然酵母で発酵、濾過や清澄などは行わずに、酸化防止剤も一切添加せずに瓶詰めしている。
<大山さん>
JMBのワインは自由な味なんです。そう思うのは彼を知っているからかもしれないですけどね。ジュラの蔵を閉じて急に佐渡に来てしまったりする人だから。
ただ、とにかく、ぜんぜん「どこにもない味」というかJMBにしか出せない味だと思います。ワインの味も彼の行動、生き方と同様ヒッピー的な自由さですね。
僕が彼にはじめて会ったのは日本なんです。実は以前、わざわざジュラまで会いに行ったんですよ。それなのにその時は日本に来てたりするし。
彼のワインとの出逢いはたしか、2004年ヴィンテージのサヴァニャンでした。当時、こういったテイストのワインはなかったですね。酸化しきっている感じというのでしょうか。そもそも、彼のワインを飲むまでジュラなんてそんなに飲む機会はなかったんです。ところが、その飲み心地、言葉にできない個性にやられました。
特にこのトロワ・プティ・ウルス・エ・ピュイ・ソン・ヴァと同様、彼が白と赤をはじめて混ぜたレユル(Rayure)というキュヴェが忘れられないですね。
それから、Sun of a Beach(サン・オブ・ア・ビーチブドウ)というブドウの栽培かワインの醸造かに失敗して、捨てようと思ったのに、とりあえず瓶詰めしてみたら美味しかったという不思議な1本もありましたね。
JMBのワインは本当にわからない。
つかみどころがないんです。
でも、何か心をぐっと掴まれる。
彼のワインにはレシピがないんでしょうね。ありあわせのものでちゃっちゃと美味しい料理を造ることができる人がいるけど、そんな感じです。
まさに、川の流れのようなワイン。
流れに無理に逆らうよりも、流れに任せて、、、僕もそんな風に生きたいです。
winestand Waltz (ワインスタンド・ワルツ)
- 営業時間
- 18:00~24:00
- 定休日
- 定休日 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。