渋谷や原宿といった若者の遊び場となっているエリアに比べ、完全な差別化ができている美食エリアの代表格「恵比寿」。dressing読者もこの街にグルメな思い入れを持っている人は多いはず。大人が集まる所以は、JR山手線沿線というアクセスの良さに加え、六本木・中目黒という大人の遊住タウンを結ぶ日比谷線の中間にあり、洗練された景観を持つ複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」があることではないだろうか。そんな多様な大人の趣向性を内包する恵比寿エリアのグルメ事情を、「ぐるなび」が蓄積する最新の飲食店データからひも解いてみる。
恵比寿駅周辺に立地する飲食店は7軒に1軒が「バル」!?
「ぐるなび」が持つ飲食店の詳細なデータによると、東京都内の全飲食店において、「バー、バル」という飲食店ジャンルが占める割合が7.2%だったのに対して、恵比寿駅を最寄りとするエリアでは15.2%を占めている(2015年12月時点)。視覚的に言えば、およそ7軒に1軒が「バー、バル」という計算だ。中でもここ数年、グルメな大人から脚光を浴びているのはお酒とともにこだわりの料理も楽しめる「バル」というジャンルだ。
ではなぜ恵比寿エリアがバル激戦区となったのか。今年3月にオープンしたスペインバル「バル・ペピート」の太田 聡シェフに、その経緯を伺った。
恵比寿東口に店を構え、約10年に渡って日本のバルブームを牽引し続けてきたスペインバルの巨匠・檀上桂太シェフの店「ティオ・ダンジョウ」は今年調布へ移転したが、その跡地に檀上シェフの意思を継いでできたお店が「バル・ぺピート」だ。「ティオ・ダンジョウ」で壇上シェフと10年前から共に腕を振るっていた太田シェフ。彼が見守り続けてきた恵比寿のバル文化の変遷とは?
「1995年にスペインレストランとして恵比寿東口で開業した『ティオ・ダンジョウ』が、2005年に同店が入るビル1階のガレージだったスペースを改装し、スペインバルとしてオープンしたのが、恵比寿にバル文化が根付きはじめたきっかけでしたね」
2000年代に突入して間もない頃の恵比寿は、大人のグルメタウンとして一躍注目を浴びつつあったが、代官山に近い西口エリアが飲食店の出店ラッシュだった一方、東口エリアには流行りの店はほとんどなかった。その後、食への関心が高い大人が恵比寿に集まってきたことで、2005年頃には東口エリアにも客足が伸びていき、「ティオ・ダンジョウ」周辺にも次々とお店がオープンしていく。狭いエリアに飲食店がひしめきあい、近場で飲み歩ける、という理由からバル文化の創世記がここに興ったのだ。
現在では、「ティオ・ダンジョウ」のようなスペインバル以外にも、イタリアンバールをはじめ、専門店ブームが後押しして特定ジャンルに特化した肉バル、魚バル、天ぷらバル、日本酒バルなど、多種多彩なバルが開店している。そもそもバルの定義とはなんだろうか?
バルの本場であるスペインへも何度も足を運んだことがあり、バル事情に精通した太田シェフが考える定義は“一日中みんなが自由に使える社交場”だという。
そんな本場に近いバルを目指したという「バル・ペピート」。平日19時以降に、少人数のグループ客が店内を埋め尽くすのは日本の一般的なバルの入り時間と同じだが、17時の開店と同時に、30歳から上は80歳くらいまでの常連がカウンターへやってきて、「ウィスキーをくれ」「グラッパからスタート」と、馴染みの光景が繰り広げられるのは、本場のバルを目指すこの店ならではだ。ひとりでフラッときて、好きに帰ることができる気軽さも魅力なのだろう。これは、このエリアに存在する多くのバルにも共通する傾向といえるかもしれない。フリーランスで仕事をする人が集まる土地柄も影響しているだろう。
スペイン流にバルをハシゴして恵比寿の夜を楽しむ
端から端までバルがところ狭しとならぶ本場スペインのバルストリートとまではいかないが、「バル・ペピート」がある周辺の通りも、都内屈指のバル街として名高い。恵比寿駅東口から明治通りへ出るまでのエリアにバルが集中しているため、1品ずつ食べて飲んで、次のバルへ……と繰り返し、最終的に気に入ったお店に戻って飲み直すという、本場さながらの「バルストリート」の使われ方をよく目にする。現在では、もちろん西口エリアにもバルは多く存在する。
大人が入りやすいオープンな構えに、入り口外にまであふれるような客の活気は、社交場の匂いがするだけでなく、自然と客が客を呼ぶ導線となっていくことも、バルストリートの特性のひとつといえよう。バルのこういった使い方や特性を熟知しているお客さんが多く集まっていることが、恵比寿エリアに独自のバル文化が根付くことにつながったのだ。
写真(バル・ペピート取材分)/海保竜平
恵比寿エリアのオススメ「バル」5選
最後に今の恵比寿を代表するバルをご紹介。スペインバルの代表格「バル・ペピート」をはじめ、ロティサリーチキンに特化したバルから肉バル、中華バルなどその表情はさまざま。年末の夜は、ぜひスペイン流にバルをハシゴしてみてはいかがだろうか。
カンタラナス バル・ペピート
- 電話番号
- 03-6277-4114
- 営業時間
- 月~金17:00~24:00(L.O.23:00)、土14:00~24:00(L.O.23:00)
- 定休日
- 定休日 日・祝
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
QUEEN OF CHICKENS 恵比寿店
- 電話番号
- 050-5787-6371
- 営業時間
- ランチ 月~金11:30~14:30、土11:30~15:00、ディナー 月~木17:30~23:30(L.O.22:30)、金 17:30~翌3:30(L.O.22:00)、日・祝日13:00~23:00(L.O.22:00)
- 定休日
- 定休日 無休※13時より通常ディナー営業(ランチメニューはなし)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
京鼎樓バル 恵比寿 (ジンディンロウバル エビス)
- 電話番号
- 050-5789-8114
- 営業時間
- 月~金ランチ11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー17:30~24:00(L.O.23:00)、土ランチ・ディナー12:00~23:00(L.O.22:30)、日・祝日ランチ・ディナー12:00~22:00(L.O.21:30)
- 定休日
- 定休日 不定休※年末年始は休み(2015年12月31日~2016年1月3日) ※1月4日から通常営業
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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恵比寿バール the MEAT CIRCUS
- 電話番号
- 050-5799-2080
- 営業時間
- 月~土・祝前日17:00~翌5:00(L.O.4:30)、日・祝日17:00~24:00(L.O.23:30)
- 定休日
- 定休日 第2月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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アジアン屋台バル クアトロ
- 電話番号
- 050-3467-1528
- 営業時間
- ディナー・バー:16:55~翌5:00(L.O.4:00、ドリンクL.O.4:30)(※毎日安定の朝5時まで営業!!)
- 定休日
- 不定休日あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。