いつもオモロイことが起きる渋谷、百軒店の知る人ぞ知る焼肉店

【連載】小石原はるかの「いま、飲みにゆきます」 五軒目  トレンドに詳しく、「東京最高のレストラン」から「東京カレンダー」などに至るまで、引っ張りだこの小石原さん。そんないろんな店を知り尽くした彼女が愛している店とは?ホントの、いい店うまいい店に飲みに行っていただく。

2015年12月29日
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いつもオモロイことが起きる渋谷、百軒店の知る人ぞ知る焼肉店
Summary
・ディープな渋谷で異色の焼肉店
・ご主人は大阪・神戸で肉に携わって17年のベテラン
・実はファッション関係者も集まる店

前々回の原稿のマクラでご紹介した、酒飲みの守り神こと「ミラグレーン錠」(日邦薬品工業)は、目下“心の(アルコール対策薬品及びサプリメント)ベストテン第1位”でして、ことに、年末年始の連日連夜なノンストップ・ドリンキング中は必携アイテムであります。むしろ、ミラグレーンの飲み過ぎで、顔がオレンジ色にならないように注意すべきレベル!(※使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しくお使い下さい!) 

なんといってもこのミラグレーン、【効能・効果】の欄がちょっとどうかしているというかなんというか……、筆頭の「二日酔」はそりゃまあ当然ですが、続いての「流行性肝炎」「脂肪肝」という記載を見ると「え、そんな大変そうな病気にも効くの?」とたじろぐ。が、ミラグレーン様の威力はそんなもんじゃ納まらない。以降、
「肝硬変」(え!?)、「黄疸」(これはそこまでの驚きなし)、「アルコール中毒」(だいぶゴッツいのキタ━(゚∀゚)━!)、そして「薬物中毒」(工エエェェ(´д`)ェェエエ工!!!)、果ては「自家中毒」(これって案外マイナーですが、自家製のものを食べて発症する中毒、ではなく、ストレスなどの理由で尿中・血中ケトン体が急増して起こる、主に子供が罹る中毒症状)まで網羅。医者要らずにも程があるってもんです。

ディープなロケーションの先にあるもの

そんなミラグレーン錠を教えてくれたのが、今宵訪れております『ヤキニク ホルモン どうげん』の店主、金京男さん。もう、これだけで道玄坂方面に足を向けて寝られないわけですが、唯一無二、ケッタイな店を開いてくれてありがとう、とも言いたい! まずこの店、渋谷・百軒店のどんつき、ホテル街の入り口にあるのです。

よって、やましいことゼロな間柄の男性とサシで焼きましょう、という展開時、若干先方に気を使うロケーション。が、言い換えればこの導入はファーストインパクト抜群。そして店に一歩入るとインパクト、さらに、倍!(©大橋巨泉@クイズダービー)。瓶ビールのケースを積んでベニヤ板を載せて作ったDIYなテーブルの上にガスロースター。しかもダクトなし。なんというざっくり感!

が、一方で肉は決してざっくりしていない。A4黒毛和牛の肩ロースを、筋肉別にカットしているのだけれど、筋が複雑に入り組んでいる肩周りを捌くのは、腕利きの職人でなくてはできぬ仕事。

実は金さん、2009年に東京に居を移してこの店を開く前は、大阪・神戸で17年間、焼肉店や肉の卸売を手がけていたベテラン。肉の扱いは、お任せあれぃ〜!(©勘定奉行)なのであります。そんな肉にしっかりとからめてあるタレも、お通しの山盛りキャベツも、おかんのキムチも、上々の味わい。よって生ビールも、やかんで出てくるマッコリも、かち割ワインもノンストップ・ドリンキングせざるを得ない! そして〆は名物「ザ・麺」がお約束!

意外な人との出会いが楽しめる店

で、このプロフィールだけ読むと、ストイックな焼肉職人像を想像するかと思うのですが、営業中は、上の写真のような感じでテーブルを回ってお客さんと飲みながらトーク、が通常の接客スタイル。焼肉の世界に入る前は、アパレルのワールドのラグビー部所属だった金さん、ファッション方面とラグビー方面に顔が広く、共通点がありそうなお客さん同士を自然に紹介してくれる上に、足繁く通う常連客が多いため毎夜店内で知り合い同士がばったり遭遇する率も異様に高く、さながら会員制サロンの趣。かくいう小石原も、来ると必ず知っている人に会うし、誰かしら、新しい人と出会わせてもらっているなあ、と改めて(註・小石原が長年ウォッチし続けている、ともさかりえのブログに頻出する文末)。

そして金さん自身も、いつのまにか某大手芸能プロダクションの文芸部に所属して映画やCMでちょこちょこ存在感を発揮、と意外な方面に世界を広げつつあるのが、これまた愉快痛快(©怪物くん)。お肉とお酒を媒介に、ここに集う人にとってオモロイことが起きたり増えたりする、そんな店。

正直、常連へのエコヒイキが割とあからさまに存在する店ではあります。が、「あやぶむなかれ。歩まずば道は無し。踏み出せばそのひと足が道となり、そのひと足が道となる。迷わず行けよ、行けばわかるさ」(©アントニオ猪木)。みんな最初は一見だった、というわけで“百見は一食に如かず”。これをよんで行ってみたくなったなら、電話予約ののちミラグレーン錠を懐に忍ばせて、道玄坂から『渋谷道頓堀劇場』『喜楽』『名曲喫茶ライオン』前を通りすぎて、たどり着かれたし。“ROAD TO 常連”を歩んでみるのも、いいもんですよ。

<メニュー>
ミカヅキ 1,100円
シャブ焼 600円(1枚)
ザ・麺 500円

ヤキニク ホルモン どうげん

住所
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-20-9 河合ビル 1F
電話番号
03-6416-1729
営業時間
18:00~0:00
定休日
定休日 不定休 ※要予約
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/13wa1cyn0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。