クレイジーケンバンド小野瀬さんの天丼食べ歩き、横浜・豊野丼

食べ歩きを文章にし出したのは1990年代後半。文字だけのパソコン通信からインターネットに以降し始めた時期です。私はもうその頃にはインターネットに自分のホームページ（懐かしい言い方）を持っていて、そこに細々と自分が食べたモノの感想やら何やらを載せておりました。
まだ現在のようにモバイル環境などなく、自宅や会社のデスクトップで見るのみ。写真のアップも容易でなく、ほぼテキストだけのコンテンツ。写真もナシであれがウマかったこれがどうだったと書いても反応は薄く、ほぼ仲間内だけの閲覧で満足しておりましたが、どこでどうして知られたのかその後数年してから私のホームページの文章を読んだ方から食べ物に関するエッセイを書いて欲しいとオファーを受けたりしました。
どんな形であれ発表していなかったら誰の目にも触れなかったわけで、自分のやりたい事は何でもやって人の目に触れるようにしておくべきだなぁと感慨に耽りました。

そしてその当初から自分のテーマにしていたのが天丼です。天丼。何でまた天丼だったのか。私の初期食べ歩きの重要なガイドになっていたのが「ベストオブ丼（どんぶり）」（どんぶり探偵団編 文春文庫ビジュアル版 ※現在絶盤）と云う本です。徹頭徹尾「丼愛」に溢れた本。私はこの愛に感銘を受けて食べ歩きをするようになりました。そして数ある丼の中でどうしても気になったのが天丼と云うジャンル。

カツ丼のパワフルさ、親子丼のジェントルさ、海鮮丼の華やかさなどに比べると、天丼はどうも地味でジジイっぽい感じがする。どんなに豪華に盛りつけてもやはりそんなに華やかにはならない。でもそこがとても気に入ったのです。
私は天丼で行こう。中学の頃のあだ名もジジイだったしね。決めたからには自分の一番好きな天丼を探そう。そんな事を考えていた20世紀の世紀末でありました。何やってたんだかね。でもクレイジーケンバンドもその頃にスタートしたのです。
もうすぐ20年。天丼を探し求める旅も大体同じくらいになります。
20年もやると何となく威厳が出て来ます。来ないか。
とにかくいっぱい天丼を食べました。全国各地北から南まで、高いのから安いのまで、ウマイのからそんなでもないのまで。ニューヨークに行ってまで天丼を食べました。また行きたいなニューヨーク。ああニューヨーク。じゃなくて天丼の話ね。

20年近く天丼を食べ歩いた私の大好きなお店。関東と関西に一軒ずつあります。今回は関東の横綱を紹介。横浜は南区、市営地下鉄阪東橋駅近くに「よこはまばし商店街」があります。そこの大通公園側入口からちょっと外れたところに「豊野丼」と云う天丼専門店があります。

数件隣に同じような名前のお店があってそこでも天丼を出していますが、他の丼も出していますのですぐ見分けられます。天丼専門店の方にどうぞ。
テレビや雑誌などでも度々取り上げられております。こちらの天丼を最初に食べたのはまだ20世紀。以来ずっとずっと通い続けて、ようやく最近顔見知りになれました。ここで顔見知りになるともうオーダーを聞いてもらえません。その時に一番ウマイモノを天ぷらにして天丼を作ってくれます。

そして丼に載らない分は別皿にて、何皿も出る事あり。素材によってタレだったり生姜が利いたタレだったりカレー塩だったり色々な味付けで出て来ます。季節の魚介、牡蠣も鮭もイカも銀宝も鯨も登場。野菜の種類も常にいっぱい。

天ぷらはすっきりした油でサクッと軽く揚げてくれるので、大量に食べても食後に胃もたれだとか胸焼けだとか一切ありません。

ウマウマウー。

こちらのマスターは常にジョークを口にしているジョーカー。
店内には油より熱いダジャレが飛び交います。でも女性にはとっても優しい。常連でなくても通常メニューが格段にウマイので心配無用。ノーマルでかなりご飯の量が多いので小食な方はご飯少なめコールをお忘れなく。よほどの大食漢でない限り大盛などと口にしないよう。何時行っても最高の満足を得られる店。美味しかったです！ 御馳走様でした！