目黒で飲む。いまパリのナチュラルなビストロで愛されている１本

TOKYO NATURAL WINE ELEVENも2周目。3番手はパリに本店を持ち、ナチュラルワインの世界では知らない人がいないと言われる、「Le Verre Volé （ル・ヴェール・ヴォレ）」。その東京店にあたり、隠れたグルメタウンとして知る人ぞ知る目黒・元競馬場前にある「Le verre volé à Tokyo（ル・ヴェール・ヴォレ・ア・東京）」店主・宮内亮太郎さんに次なるオススメを訊いた。

宮内さんが2本目のオススメとして選んだのは、南仏・ラングドック産の1本。2014年が初ヴィンテージ（VDF＝ヴァン・ド・フランスにカテゴライズされているので、表立ったヴィンテージの表記はない）で、日本ではまだあまり知られていないけれど、パリのナチュラルワイン界隈では既に人気だという造り手によるロゼだ。今回、オススメだという理由とは？

＜宮内さん＞
実は、パリの「Le Verre Volé」時代に、この造り手、オリヴィエと一緒に働いていたんですよ。
僕が厨房で彼はサーヴィス。

2009～2010年の間の半年ほどでしたが、その後彼は、同じくナチュラルワインの世界では知らない人のいない20区の大人気のビストロ「Le Baratin（ル・バラタン）」や11区にあって世界のベストレストランの常連、2015年は21位に入った「LE CHATEAUBRIAND（ル・シャトーブリアン）」などでもサーヴィスをしていたはずです。

彼はもともと南仏の出身で、大学で法律を学んだ後、ニースにあるナチュラルワインの代表的なお店「La Part des Anges（ラ・パー・デ・サンジュ）」で働いていた時にこんなワインがあるんだということを知り、ハマったようで、パリに出てきたんです。

とにかく人当たりのいい、陽気な南仏の人らしい性格でした。
彼は、ラングロールのワインが好きで、働いていた当時も仕事終わりに一緒によく飲みました。
そんなこともあってか、彼の造るこのロゼはラングロールのタヴェル・ロゼに似たニュアンスがあります。

セパージュはグルナッシュ50％、サンソー50％なんですが、グルナッシュ特有のスパイスやサンソー特有の酸が強いという性質をよく考えてロゼにしたという感じですね。

酸化防止剤については、ほんの少しだけ入っているニュアンスがあります。
これは、いつも議論になるところですが、僕自身も酸化防止剤ゼロのほうが好きです。
ただ、生活のため、ワインを待っていてくれる人のため、最低限の生産量を確保するためにはリスクを避けたいというのは理解できることです。

実は、パリの自然派界隈でもこのあたりの話にはよくなるところで、ストイックに酸化防止剤ゼロでなければいけないということではないだろうと言われています。
ただ、その一点以外、添加物と呼べるものは入っていません。
栽培や醸造は修業先であるティエリー・アルマンやフィリップ・バレットを手本としていて、7.5haをほぼ一人で管理し、自然栽培しているんです。
醸造も全房を使用し、発酵に３週間、ピジャージュやルモンタージュも数回しか行わないとのことです。

味はもちろんですが、彼の明るい性格がいろんな店の人たちからも気に入られ、愛され、リーズナブルなプライスということもあり、既に大人気となっているんです。

そんな、彼のワインを一度飲んで欲しいですね。

＜お店での価格＞
ボトル5,800円